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卒業後
635 星暦556年 赤の月 25日 清掃は重要(6)
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「基本的に掃除ってブラシで砂埃を集めて塵取りで拾って、最後に雑巾で拭くんだよね?」
シャルロが漠然と尋ねた。
「素材によるがラグなんかだとブラッシングした後にぬるま湯に浸けて踏み洗いすることもあるようだな」
アレクが付け加える。
俺たち3人とも、基本的に掃除なんてしないからなぁ。
あまり詳しい事は知らないが、一応パディン夫人に聞いた限りではこんな感じだろう。
「まあ、現状のやり方ではイマイチ綺麗ではないな~というのが問題な訳だ。
何だったら絨毯をブラッシングしたり叩いて何が出てくるかを確認した後、ぬるま湯に浸けて踏み洗いするとどんなふうに変わるか確認してみるか?」
というか、洋服を洗った時だって微妙に薄汚れた水に何が入っているかは分からないんだが・・・基本的に砂埃や食べ屑かね?
「そうだね、折角色々実験やって汚れた古い絨毯もある事だし、実験してみようか」
シャルロが立ち上がって実験用にアレクが入手したおんぼろ絨毯の方へ向かった。
絨毯用ブラシでこすってみるが・・・あまり何も出て来た感じがしない。
埃は舞っているんだが、その埃はまた絨毯の上に戻っているので、あまり意味が無い気がする。
「なんかこれ、あまり掃除になってなくない??」
シャルロが絨毯を見ながら呟く。
「何かに立て掛けた状態でブラッシングをして、ゴミが絨毯以外の所に落ちるようにした方が良いのかも?」
アレクが提案する。
確かに。
実際の掃除の時もそう言う事をしているらしいし。
取り敢えず実験に使った古いソファを斜めに倒して、その上に絨毯を掛けてブラッシングしてみる。
またもや埃が宙に舞ったが、今回はかなりの部分が床(と俺たちの上)に落ちたっぽい。
「細かい埃が多いね。
そこそこ大きめの木片とか小石もちょっとはあるけど・・・木片は多分実験の結果だよね」
一歩下がってしゃがみ込んで床を確認しながらシャルロが報告した。
「まあ、クッキーの食べ屑とかだって絨毯の上に落ちて踏みしめられている間に細かい屑になるんじゃないか?
基本的に絨毯から出てくるのは細かい埃っぽい色んなゴミと言って良いんじゃないかな」
床と絨毯を見ながらまとめる。
1刻ぐらいかけて埃が出てこなくなるまでブラッシングした後、ぬるま湯で洗ってみたところ・・・残り湯は汚いグレーになったが、イマイチ何が出て来たのかは分からなかった。
「うう~ん。
折角埃が出ないぐらいまでブラッシングしたのにここまで残り湯が汚れるなんて・・・。
絨毯って洗濯しちゃあいけないんだよね?」
グレーに染まった残り湯を睨みながらシャルロがアレクに尋ねる。
うん。
こんだけ汚い絨毯の上を幼児がハイハイして、そのうえで広げたオモチャを口に入れていると考えると確かにぞっとしないな。
「絨毯っていうのは基本的に洗わないというのが常識だからな。
洗うことが想定されている衣類と違って水に溶けやすい染色剤を使っている事もあるんだ。
うっかりお湯を使ったり日向に干したりして糸が縮むと乾いた時に絨毯ががたがたになるし」
ため息をつきながらアレクが答える。
「取り敢えず、この埃や砂埃を徹底的に取り除いたらどうなるか、試してみよう。
それこそ、埃とか小石サイズの細かい物を押し出すような結界を透過させるような魔具を作ればブラシでこするよりも徹底的に埃とかが落とせるんじゃないか?」
「どうせなら、押し出すんじゃなくって掬い上げるみたいにして、ごみ袋に捨てられるようにした方が楽じゃない?
押し出してそれをまた塵取りで集めるのは面倒だよ」
シャルロが改善案を挙げる。
確かに。
「結界の阻害対象としてぎりぎり指で拾えるぐらいの小石サイズより小さいバラの物体と指定して、斜めに展開した結界を絨毯の上から動かす形にしたら埃が全部とれそうかな?
細かい物を全部取り去ったら家具や床が壊れるとか抉れるなんてことにならないことを確認する必要があるが」
アレクが呟く。
「床板が脆くなったりしないかも確認した方が良いだろうな。
俺たちの絨毯洗浄機を使っていたら床が抜けたなんてことになったら賠償問題もんだ」
あと、考えてみたら部屋によっては天井って意外と埃っぽいんだよなぁ。
展開するサイズと深さをちゃんと制限しないと下の部屋の天井まで掃除することになりかねない。
「壁紙とかの糊や塗装って古くなっても埃よりは大きいよな??
うっかりやったら壁紙の色が落ちましたなんてことになったら困るぜ」
「・・・取り敢えず、試作品を造って色々試してみよう!」
蒼流に絨毯を洗った汚水の始末を頼んでいたシャルロが立ち上がって作業机の方へ向かった。
そうだな。
まずは試作品を造ってみて、どのくらい問題が起きるか確認しよう。
想定外な問題が出てくる可能性だってあるんだし。
【後書き】
古い糊や塗装がどの位細かい粉になってるかが問題かもですね~。
まあ、『バラ』になっている状態だとしたらハタキをかけても同じことが起きそう?
シャルロが漠然と尋ねた。
「素材によるがラグなんかだとブラッシングした後にぬるま湯に浸けて踏み洗いすることもあるようだな」
アレクが付け加える。
俺たち3人とも、基本的に掃除なんてしないからなぁ。
あまり詳しい事は知らないが、一応パディン夫人に聞いた限りではこんな感じだろう。
「まあ、現状のやり方ではイマイチ綺麗ではないな~というのが問題な訳だ。
何だったら絨毯をブラッシングしたり叩いて何が出てくるかを確認した後、ぬるま湯に浸けて踏み洗いするとどんなふうに変わるか確認してみるか?」
というか、洋服を洗った時だって微妙に薄汚れた水に何が入っているかは分からないんだが・・・基本的に砂埃や食べ屑かね?
「そうだね、折角色々実験やって汚れた古い絨毯もある事だし、実験してみようか」
シャルロが立ち上がって実験用にアレクが入手したおんぼろ絨毯の方へ向かった。
絨毯用ブラシでこすってみるが・・・あまり何も出て来た感じがしない。
埃は舞っているんだが、その埃はまた絨毯の上に戻っているので、あまり意味が無い気がする。
「なんかこれ、あまり掃除になってなくない??」
シャルロが絨毯を見ながら呟く。
「何かに立て掛けた状態でブラッシングをして、ゴミが絨毯以外の所に落ちるようにした方が良いのかも?」
アレクが提案する。
確かに。
実際の掃除の時もそう言う事をしているらしいし。
取り敢えず実験に使った古いソファを斜めに倒して、その上に絨毯を掛けてブラッシングしてみる。
またもや埃が宙に舞ったが、今回はかなりの部分が床(と俺たちの上)に落ちたっぽい。
「細かい埃が多いね。
そこそこ大きめの木片とか小石もちょっとはあるけど・・・木片は多分実験の結果だよね」
一歩下がってしゃがみ込んで床を確認しながらシャルロが報告した。
「まあ、クッキーの食べ屑とかだって絨毯の上に落ちて踏みしめられている間に細かい屑になるんじゃないか?
基本的に絨毯から出てくるのは細かい埃っぽい色んなゴミと言って良いんじゃないかな」
床と絨毯を見ながらまとめる。
1刻ぐらいかけて埃が出てこなくなるまでブラッシングした後、ぬるま湯で洗ってみたところ・・・残り湯は汚いグレーになったが、イマイチ何が出て来たのかは分からなかった。
「うう~ん。
折角埃が出ないぐらいまでブラッシングしたのにここまで残り湯が汚れるなんて・・・。
絨毯って洗濯しちゃあいけないんだよね?」
グレーに染まった残り湯を睨みながらシャルロがアレクに尋ねる。
うん。
こんだけ汚い絨毯の上を幼児がハイハイして、そのうえで広げたオモチャを口に入れていると考えると確かにぞっとしないな。
「絨毯っていうのは基本的に洗わないというのが常識だからな。
洗うことが想定されている衣類と違って水に溶けやすい染色剤を使っている事もあるんだ。
うっかりお湯を使ったり日向に干したりして糸が縮むと乾いた時に絨毯ががたがたになるし」
ため息をつきながらアレクが答える。
「取り敢えず、この埃や砂埃を徹底的に取り除いたらどうなるか、試してみよう。
それこそ、埃とか小石サイズの細かい物を押し出すような結界を透過させるような魔具を作ればブラシでこするよりも徹底的に埃とかが落とせるんじゃないか?」
「どうせなら、押し出すんじゃなくって掬い上げるみたいにして、ごみ袋に捨てられるようにした方が楽じゃない?
押し出してそれをまた塵取りで集めるのは面倒だよ」
シャルロが改善案を挙げる。
確かに。
「結界の阻害対象としてぎりぎり指で拾えるぐらいの小石サイズより小さいバラの物体と指定して、斜めに展開した結界を絨毯の上から動かす形にしたら埃が全部とれそうかな?
細かい物を全部取り去ったら家具や床が壊れるとか抉れるなんてことにならないことを確認する必要があるが」
アレクが呟く。
「床板が脆くなったりしないかも確認した方が良いだろうな。
俺たちの絨毯洗浄機を使っていたら床が抜けたなんてことになったら賠償問題もんだ」
あと、考えてみたら部屋によっては天井って意外と埃っぽいんだよなぁ。
展開するサイズと深さをちゃんと制限しないと下の部屋の天井まで掃除することになりかねない。
「壁紙とかの糊や塗装って古くなっても埃よりは大きいよな??
うっかりやったら壁紙の色が落ちましたなんてことになったら困るぜ」
「・・・取り敢えず、試作品を造って色々試してみよう!」
蒼流に絨毯を洗った汚水の始末を頼んでいたシャルロが立ち上がって作業机の方へ向かった。
そうだな。
まずは試作品を造ってみて、どのくらい問題が起きるか確認しよう。
想定外な問題が出てくる可能性だってあるんだし。
【後書き】
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