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牢屋のシエルと原っぱのウルラとラエル(子犬、ガット)
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「……っ!」
カビ臭い匂いとポタリ、ポタリ、天井から落ちる水滴が頬に当たり目が覚めた。この臭いは少し前に嗅いだな……となると。
「ここは地下牢か……」
しくった魔法屋でルーに話すと言い。二人に格好をつけた結果がこれか? 不安を纏い、心乱れたまま、部屋に侵入した何者かに襲われて気絶するとは、我ながら情けない。
いま、俺の大半はルーで埋め尽くされている。
しかし、なんのために俺を捕まえたんだ?
丁寧に体を糸でぐるぐる巻きに拘束して、結界で封じ込めて。
だが、こんなちんけな魔法で俺を拘束できると思ったのか……簡単に捕まっといてなんだが、なんとも俺は甘くみられたものだ。
緊急に備えて、俺とラエルは自国で訓練を受けてきている。俺達の師匠――陛下もおっしゃっていた魔法詠唱はなくてもいい。魔法のことわりを理解してさえすれば、おのずと使えてしまうのだよ――と、教えられた。
さてと呼ぶか「俺の元に来い」と杖を部屋から手元に呼んだ。魔法のことわりを身につけているから、杖などなくても良いが……少々、自分の失態に心が荒ぶっている、魔力を安定させて魔法暴発を防ぐためだ。
手に握り、杖の先端を地面に当て「【解除】」と、拘束糸と結界を解除した。
「ふうっ……どれくらい、ここで気絶をしてたんだ?」
時刻を見ようとスラックスを漁ったが、いつもの懐中時計が見当たらない。俺を気絶させた奴に取られたのか……お気に入りだったのに。
仕方がない、ウルラに聞くかと自分の使い魔に念話を飛ばす。
『ウルラ、聞こえるか?』
『……っ、あ、主人?』
あるじ? いつもは偉そうに名前を呼ぶくせに。
その言葉に……ウルラから焦り、不安、を即座に感じとった。
『どうした? いつものウルラらしくないな、何かあったんだ?』
聞いても……ウルラはすぐに答えなかった。
『おい、何かあったかと聞いている』
『主人……すまぬ。お嬢がカロールに連れさらわれた」
ルーが攫われた?
『どう言うことだ、ウルラ! 詳しく説明をしろ!』
『わかった……真夜中、騎士が部屋に侵入した際、お嬢と子犬様を連れて窓から出たまではよかった。そのあと、放たれた魔捕獲網に捕まってしまった』
『はあ? 使い魔捕獲網だと? そんなもの、この国にはないはず!』
『ラエルもそう言っていた……お嬢を守れなかった、すまない』
『ウルラ、怪我はしていないか?』
『羽に傷を受けたが、知らないうちに治っていた』
『そうか……』
ルーの部屋に騎士が侵入しただと? さいしんの注意を払っていたのに……なぜだ? 嘘の情報を流し、目眩しをしていたはず……それなのに、カロールにルーの居場所はバレた。
まさか……アイツか?
『ウルラ、その場にルーの弟はいなかったか? 名は確かイアンだ』
『イアン? ソイツだ! 捕獲網を放ち、お嬢を拘束した……』
『そうか、いたか……その場にはカロールもいたのだろう?』
『あぁ、いた ……!』
『いたんだな、わかった。さてと、俺は鬱憤をはらしに、城でひと暴れでもするかな?』
『……主人! 待て落ち着け、我たちもいま向かっておるから。今は落ち着け!』
クク、カロールめ……怒りで、血が逆流するというのはこんな気持ちなのか……ほんと、初めての感情ばかりだ。
『兄貴、僕達も王都に向かうよ』
ラエルからの念話も飛んできた。
『わかった、気を付けてこいよ。ラエル、ウルラにも言ったが……俺はひと暴れしてくる』
"ドガッ!!" 結界ごと牢屋を破壊した。
『兄貴?』
『あるじ? あるじ?』
クク、カロール、イアン、ゆるさんぞ!
いくら、あるじを呼んでも反応なし?
既に、ひと暴れをはじめなのか?
「ラエル!」
「ウルラ、どうしたの?」
「主人が……シエルがひと暴れすると言った後……何かを破壊する破壊音のあとから、反応がない……」
「こっちまだよ、ウルラ」
そう伝えると、子犬様とガットはぶるっと震えさせた。
「ちょっと待て! シエルがキレた? あいつ、今までに、キレたことなんてあったっけ?」
子犬がラエルに聞く。
ラエルは首を振り。
「機嫌がそうとう悪い。までは知ってるけど……キレるのは僕も初めてのことだから分からない。とにかく王都まで急いだほうがいい。早く兄貴を止めないと」
歯切れ悪く、友と弟――2人ともに分からないと言っている。それは自分もだ……主人と契約を交わして5年。
自分もまだ、主人がキレたことなど見たことがない。急がなくては城がなくなる。自分はみんなを乗せ飛び立った。
カビ臭い匂いとポタリ、ポタリ、天井から落ちる水滴が頬に当たり目が覚めた。この臭いは少し前に嗅いだな……となると。
「ここは地下牢か……」
しくった魔法屋でルーに話すと言い。二人に格好をつけた結果がこれか? 不安を纏い、心乱れたまま、部屋に侵入した何者かに襲われて気絶するとは、我ながら情けない。
いま、俺の大半はルーで埋め尽くされている。
しかし、なんのために俺を捕まえたんだ?
丁寧に体を糸でぐるぐる巻きに拘束して、結界で封じ込めて。
だが、こんなちんけな魔法で俺を拘束できると思ったのか……簡単に捕まっといてなんだが、なんとも俺は甘くみられたものだ。
緊急に備えて、俺とラエルは自国で訓練を受けてきている。俺達の師匠――陛下もおっしゃっていた魔法詠唱はなくてもいい。魔法のことわりを理解してさえすれば、おのずと使えてしまうのだよ――と、教えられた。
さてと呼ぶか「俺の元に来い」と杖を部屋から手元に呼んだ。魔法のことわりを身につけているから、杖などなくても良いが……少々、自分の失態に心が荒ぶっている、魔力を安定させて魔法暴発を防ぐためだ。
手に握り、杖の先端を地面に当て「【解除】」と、拘束糸と結界を解除した。
「ふうっ……どれくらい、ここで気絶をしてたんだ?」
時刻を見ようとスラックスを漁ったが、いつもの懐中時計が見当たらない。俺を気絶させた奴に取られたのか……お気に入りだったのに。
仕方がない、ウルラに聞くかと自分の使い魔に念話を飛ばす。
『ウルラ、聞こえるか?』
『……っ、あ、主人?』
あるじ? いつもは偉そうに名前を呼ぶくせに。
その言葉に……ウルラから焦り、不安、を即座に感じとった。
『どうした? いつものウルラらしくないな、何かあったんだ?』
聞いても……ウルラはすぐに答えなかった。
『おい、何かあったかと聞いている』
『主人……すまぬ。お嬢がカロールに連れさらわれた」
ルーが攫われた?
『どう言うことだ、ウルラ! 詳しく説明をしろ!』
『わかった……真夜中、騎士が部屋に侵入した際、お嬢と子犬様を連れて窓から出たまではよかった。そのあと、放たれた魔捕獲網に捕まってしまった』
『はあ? 使い魔捕獲網だと? そんなもの、この国にはないはず!』
『ラエルもそう言っていた……お嬢を守れなかった、すまない』
『ウルラ、怪我はしていないか?』
『羽に傷を受けたが、知らないうちに治っていた』
『そうか……』
ルーの部屋に騎士が侵入しただと? さいしんの注意を払っていたのに……なぜだ? 嘘の情報を流し、目眩しをしていたはず……それなのに、カロールにルーの居場所はバレた。
まさか……アイツか?
『ウルラ、その場にルーの弟はいなかったか? 名は確かイアンだ』
『イアン? ソイツだ! 捕獲網を放ち、お嬢を拘束した……』
『そうか、いたか……その場にはカロールもいたのだろう?』
『あぁ、いた ……!』
『いたんだな、わかった。さてと、俺は鬱憤をはらしに、城でひと暴れでもするかな?』
『……主人! 待て落ち着け、我たちもいま向かっておるから。今は落ち着け!』
クク、カロールめ……怒りで、血が逆流するというのはこんな気持ちなのか……ほんと、初めての感情ばかりだ。
『兄貴、僕達も王都に向かうよ』
ラエルからの念話も飛んできた。
『わかった、気を付けてこいよ。ラエル、ウルラにも言ったが……俺はひと暴れしてくる』
"ドガッ!!" 結界ごと牢屋を破壊した。
『兄貴?』
『あるじ? あるじ?』
クク、カロール、イアン、ゆるさんぞ!
いくら、あるじを呼んでも反応なし?
既に、ひと暴れをはじめなのか?
「ラエル!」
「ウルラ、どうしたの?」
「主人が……シエルがひと暴れすると言った後……何かを破壊する破壊音のあとから、反応がない……」
「こっちまだよ、ウルラ」
そう伝えると、子犬様とガットはぶるっと震えさせた。
「ちょっと待て! シエルがキレた? あいつ、今までに、キレたことなんてあったっけ?」
子犬がラエルに聞く。
ラエルは首を振り。
「機嫌がそうとう悪い。までは知ってるけど……キレるのは僕も初めてのことだから分からない。とにかく王都まで急いだほうがいい。早く兄貴を止めないと」
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