魔法刑事たちの事件簿

アンジェロ岩井

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ワイドエリアチェイス編

死霊の防壁 後編

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だが、男にとってそんな事をいくら考察したとしても、男にこんな状況が打破できるとは思えない。大人しく武装解除する事にした。その場でレーザーガンを投げ落とす。
「オレの負けさ、あんたは良くやった。ただ、誰かの携帯電話で警察を呼ぶ前に、一つだけ、教えてくれないか?あくまでも一つだぜ」
と、男は懇願するように手を合わせる。
絵里子は「しょうがないわね」と呟くと、腕を組みながら説明する。
「あたしのもう一つの魔法はなのよ」
「創造?」
と、首を傾げたのは男だけではなく、孝太郎を除く白籠市のアンタッチャブル一同もだ。
「ええ、昔からあたしには様々なもの……つまり、何でも生み出せる魔法があってね、すごく強い魔法で、対峙した魔法師を死に至らしめる可能性があるかもしれないから、滅多なことでは使わないようにしているんだけれど……」
と、絵里子は他のメンバーから何故刈谷阿里耶逮捕時に使わなかったという質問をされないのための、説明をしてから、その魔法について語り出す。
「あたしの大切な人を……孝ちゃんを傷付けられ時だけは別よ、あたしの制御リミッターが外れて、そいつにその魔法を浴びせてしまうの」
「その魔法の名前は?」
「あたしはそのあらゆる物を創り出せる魔法をこう呼んでいるわ……創造神クリエティブ・ゴッドと……」
男はいや、孝太郎と絵里子を除くメンバーはようやくあれだけ色々なものを瞬時に出せた現象を理解した。絵里子が魔法を使い、戦闘を有利に進められる物を創り出していたのだ。
「参った。降参だよ、そんな神様相手じゃあ、オレは到底敵わんよ、さぁ、絵里子さん……あんたの手でオレに引導を渡してくれないか?」
男は腕を自ら後ろ手に組み、手錠を掛けられるのを待っている。と、全員には思われたが、それは全員の大いなる勘違いであった。男は右手の指の隙間にポケットに入っていた釘を忍ばせていたのだ。
男は絵里子に気付かれないように、釘を動かし、手錠を解錠した。そして、絵里子が自分に背中を見せた瞬間に……。
「もらったァァァァァァァ~~!!! 」
男は自由になった両手を使い、武器保存ワーペン・セーブから、一本のナイフを取り出し、それを絵里子に向かって放り投げる。
幸い、倒れていた孝太郎が男の異変に気が付いていたので、大声で親愛なる姉に知らせたために、重賞は免れたのだが。
「うっ……うううう」
絵里子の脇腹をナイフが掠める。絵里子はナイフの傷のために、その場でうずくまってしまう。
「さてと、その状況じゃあ、創造神クリエティブ・ゴッドなんて、大層な魔法も使えんだろ?オレの手で始末してやるよ」
男がナイフを子供がやるお手玉のように放り投げて遊んでいると。
「おい、お前……」
端正な唇をめくり、歯を剥き出しにしている孝太郎が腹の痛みなどないように向かってくる。
「オレの……オレの姉貴に……何をしたァァァァァァァァァァァァァァ~~!!!!! 」
明美と聡子は思わず肩を震わせてしまう。自分たちが見たどの表情よりも、恐ろしい顔を浮かべていたからだ。
「いやね、ナイフで少し傷を入れてやっただけさ、後で始末するがね、あの女の厄介な魔法がなければ、オレの魔法がこの場を制するのさッ!」
「黙れェェェェェェ~~!!! 」
怒りのあまりに、白目まで剥き出しにしている孝太郎には今や男の言葉は何の意味もない。自分の破壊の拳を男に向けるのだが。
「ふふ、無駄なんだよなぁ~お前のようなカスがどんな魔法を繰り出そうともなッ!」
男の固い防壁の前に、またもや孝太郎の拳は押し退けられてしまう。
「くっくっ、言っただろう?オレの防壁は無敵の防壁だと……お前の魔法は何でも勝てると聞いていたが、オレの防壁ばかりは破壊できんようだな」
孝太郎は拳をギュッと握り締め、薄く形の良い唇を握り締めながら思った。
(アイツ……どんな魔法を使っているんだ?オレに破壊できない物質はない筈……うん、待てよ、もしかして、アイツの防御壁のバリヤーはのか、それこそでも使っているとか……)
孝太郎はそう考えるしかないと思った。そうでなければ、自分の拳が跳ね返される理由が説明できない。
(だが、分かったところでどうなるんだ?分かったとしても、アイツに勝てないのは変わらない事実だし、オレは到底打開策なんて思い付かない……)
孝太郎は次に、男に隙がないかを確認した。
(アイツには、隙があるようで、隙がない、その点は掃除屋というべきだろうか、だけどな、どこかに隙がある筈なんだ……風水だって常に凶の位置を記しているんだ。だから、隙がない筈は無いんだ)
孝太郎はそう心に決めると、男に向かって突撃していく。
だが、男はそれを見ても、尚も余裕があるという表情を崩そうとしない。
「やれやれだね、オレが防御しかできんとでも思うのか?いけ、お前らッ!」
その言葉に、男を守っていた防御壁が崩れ、小さな幽霊のようなものが孝太郎に襲い掛かる。
(やはり、幽霊だったかッ!)
孝太郎の予想は当たっていた。後はどうやってこの男を倒すかだろう。
いや、孝太郎にはもう打開策は思い付いていた。
孝太郎は男との空間を破壊し、孝太郎に男が飛ばした幽霊に接触する前に男の側にたどり着く。
「きっ、貴様どうやって……」
「お前をブチのめす方法をずっと考えていたのさ……このクズ野郎がッ!」
孝太郎は渾身のストレートを男に浴びせる。男はジャケットから色々な小物を落としながら、転がっていく。
やがて、孝太郎は男の小物から免許証らしきものを発見した。
「ふんふん」
「そのクソッタレの名前は?」
聡子の問いに一人だけで楽しむのも面白く無いと、孝太郎は免許証に書いてある事をそのまま喋った。
「ヘェ~小早川新太……西暦2327年に地上車ラウンドカー並びに浮遊車スカイアップ・カーの免許証を取得か……」
「まぁ、免許証から分かるデータはこんなもんだろ、それより署の方と、救急車を呼んでくれ、姉貴が心配でたまらないんだ」
その言葉に聡子は急いで、携帯端末を取り出し、孝太郎に言われた組織を呼んだ。
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