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第七章 里帰りと収穫祭編

第122話 日常へ

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子どもたちにせがまれて、いろいろな魔法剣を見せていたら、宿屋に戻るのが遅くなってしまった。

 でもあんなに見せて見せてと言われてしまうと、断れるはずもない。子どもたちが喜んでくれたのだから、それでいいのだ。

 宿屋で朝食を摂りながら、そろそろ帰ろうかなと考える。行きたいところには行けたし、ここでゆっくりしようにも、孤児院で子どもたちと遊ぶくらいしかすることがない。

 マリーの家、冒険者ギルド、それに孤児院──よし、回り損ねたところはないな。じゃあ今日帰るとして、師匠とヘルガさんに何かお土産を買って帰らなくては。

 といっても、この村自体は何か特産品や名物があるわけでもないし、人も来ないからこれといったお土産というものもない。うーん……マリーのところのパンを買って帰るかな。

 * * *

 コルネが里帰りに行ってしまい、暇を持て余したロンドは街の市場に来ていた。コルネと一緒に遊べるゲームや掘り出し物はないかと、道の両側に並ぶ露店を見て回る。

 これも持っているし、それはこの前買った──などと思いながら歩きつつ、初めて見る子どもには鑑定石を使って、適性を調べるのも忘れない。

 結局、何も見つからないまま露店の出ている通りの端まで来てしまったロンドは、トボトボと歩いて道場へと戻る。

 道すがら、コルネくんはいつ帰ってくるのかな、なんて考えていると、ふと道端で遊んでいた子どもたちの会話が耳に入る。

「収穫祭楽しみだね!」
「うちはパパとママと一緒に回るんだ!」
「いいなー」

 そう行って走り去っていく子どもたち。

「収穫祭……?」

 そういえばもうそんな季節か、とロンドは思う。

 収穫祭はラムハで毎年行われているお祭りだ。その名の通り、秋に採れた作物に感謝して皆で祝う祭りで、他の村からも人がやってきて街全体がどんちゃん騒ぎになる。

 そんな大盛り上がりの一大イベントだが、去年はちょうどドラゴンの幼体が出て中止になってしまった。

 突如ロンドの頭の中に、コルネがお祭りではしゃぐあるはずのない記憶が流れ込む。何かを閃いたのか、道場へと帰るロンドの足取りは急に軽くなった。
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