英華女学院の七不思議

小森 輝

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英華女学院の七不思議 15

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 3年生の写真撮影を見た後の放課後、私と雛ノ森さんは二人で学食に来ていた。
「どう、しましょうか……」
「どう、しますかね……」
 私はコーヒーを、雛ノ森さんは紅茶を飲みながら、思考が壁にぶつかっていた。
 学食は昼間だけでなく、朝や放課後も開いている。もちろん、開いているのは場所だけではない。定食のような料理はないものの、サンドウィッチのような軽食、ちょっとしたお茶請けなんかも置いてある。しかも、全てタダ。それで採算はとれるのかと私も思っていたのだが、そこはこの学校の特色と言うべきか。ここの生徒はほとんどが親がお金持ちのお嬢様で、そして全員女性。タダだからと暴飲暴食するような生徒はいないというわけだ。おかげで、私と雛ノ森さんとの間には10枚程度のクッキーが盛ってある。ただ、二人ともまだクッキーには手をつけられずにいた。
「やっぱり、2年生だったんでしょうか?」
 最初に口を開いたのは雛ノ森さんの方だった。
「それだと3年生の鞄を持っていたって言うのがね……たまたま持っていたなら話は変わってきますが……」
「いえ、いつも同じ鞄でした」
「なら、やはり2年生や1年生ではないと思うんですよね」
 姉のお古を使っているなんてことはまずないだろう。なんと言っても、ここはお嬢様学校。鞄の代金をケチるような親はいない。
「じゃ、じゃあ、退学とかは……」
「それもないでしょうね」
 入学時に学費を全て支払っているので、退学はあり得ない。
「転校はどうでしょうか? 親が海外に住むことになって日本に居られなくなったとか」
「それもないでしょうね。親がいろんな場所に仕事へと行くことを想定した全寮制ですから」
 この学校は全寮制。つまり、生徒全員寮生活をしている。しかも、寮は校内にある。全寮制であるから学食がタダ。そして、お嬢様生徒を安心して預けられるように全寮制で外にでる必要をなくし、さらに、女子校にする事によって悪い虫が付くこともない。親にとっては最高の隔離施設となっているのだ。これが全寮制の女子校なんていう時代錯誤な高校が存在している理由。着任してすぐのころは、ここの生徒はかごの中の鳥だと思っていたのだが、生徒自身は親から離れて生活することを喜んでいたりする。実際、雛ノ森さんも私が想像しているお嬢様とは違い、活発で明るい女子高生というイメージで、伸び伸びと生活している。悩みがなければ、の話だが。
「雛ノ森さんの先輩が何学年かというのも大事ですが、もう少し、先輩のことを教えてもらえませんか?」
「先輩のことですか?」
「はい」
 3年生にはいなかった。2年生とは考えにくい。すぐに解決すると思っていたのだが、案外、手強いので、もう少しその先輩について知っておく必要がある。
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