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6-16 衝撃の話
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「ロザリー。外は寒いから薪小屋で話をしよう。あそこにはベンチもあるから座って話が出来るしな」
「うん。お父さん」
私と父は白い息を吐きながら庭の中に建てられた小さな薪小屋に向かった。
キィ~…
板を打ち付けて作った自家製の小さな小屋の扉を父が開けると、きしんだ音と共に木材の香りが香って来た。
「さ、中へお入り」
父に促されて私は小屋の中に入った。
薪棚の上には薪が山積みになっている。そして小さなベンチが一つ小屋の中に置いてあった。小屋には小さな明り取りの窓が3つついていて、そこから大きな半月が夜空に浮かんでいる様子が見えた。
「すごいね…もうこんなに薪の準備が出来ていたんだね。この分なら冬を越すのは楽かもしれないね」
ベンチに座った私は薪棚を見渡しながら言った。
「ああ、そうだ。ダミアンもフレディもすっかり大きくなって良く働いてくれるようになったからな」
父は私の隣に腰かけると言った。
「お父さん」
「何だい?」
「私…ここに帰って来れて良かったよ。だって…本当はもう二度とこの家には戻ってこられないんじゃないかと思っていたから」
「ロザリー…」
父は悲しそうに顔をゆがめると溜息をついた。
「…本当に…申し訳ございませんでした…」
突然父が口調を変えて頭を下げて来た。
「や、やだ!やめてっ!お父さん!そんな言葉で話すのは…もう二度としないでってお願いしたでしょう?!」
「しかし…。ロザリー様に申し訳なくて…私が不甲斐ないばかりに…」
父は肩を震わせて頭を下げている。
「だったら…申し訳ないって言うなら、そんな態度を取らないで?私は…お父さんの事、本当のお父さんだと思っているんだから…」
今の私は辛いことばかりが多すぎる。そして心の休める場所が無い。常に気を張って、周りに気を遣って生きている。この家が…この場所だけが私の安らげる居場所なのに…!
「すまない…お前がやめてと訴えるなら…その通りにするよ」
父は私の髪を撫でながら笑みを浮かべた。
「お父さん…」
「ロザリー…本当はこんな事言いたくはないのだが…明日、学園に戻るんだ」
「え…?」
父の言葉に耳を疑った。
「な、何で…何でそんな事言うの…?私、本当は学園に戻りたくないんだよ?入学だってしたくなかったのに…どうして…?」
思わず目に涙が浮かび、私は父の腕に縋りついていた。
「…すまない。お前の為なんだ…」
父は苦し気に言う。
「私の…?本当に私の為だって言うなら学園に戻れなんて言わないでよ…」
しかし、父は首を振った。
「駄目だ、ロザリー。お前と…ダミアンの為なんだ…」
「え…?ダミアン…?どうしてダミアンが出てくるの?」
すると父は私の肩を掴むと言った。
「ダミアンは…ユーグ様にはお前を渡さないと言ってるんだよ。お前を連れて逃げると言ってるんだ…」
「ダミアンが…そんな事を…?ひょっとして私を心配して…?」
「いや、そうじゃない。ダミアンは…お前の事を姉ではなく、1人の女性として愛しているんだよ…」
「!」
あまりの突然の話に私は言葉を無くしてしまった―。
「うん。お父さん」
私と父は白い息を吐きながら庭の中に建てられた小さな薪小屋に向かった。
キィ~…
板を打ち付けて作った自家製の小さな小屋の扉を父が開けると、きしんだ音と共に木材の香りが香って来た。
「さ、中へお入り」
父に促されて私は小屋の中に入った。
薪棚の上には薪が山積みになっている。そして小さなベンチが一つ小屋の中に置いてあった。小屋には小さな明り取りの窓が3つついていて、そこから大きな半月が夜空に浮かんでいる様子が見えた。
「すごいね…もうこんなに薪の準備が出来ていたんだね。この分なら冬を越すのは楽かもしれないね」
ベンチに座った私は薪棚を見渡しながら言った。
「ああ、そうだ。ダミアンもフレディもすっかり大きくなって良く働いてくれるようになったからな」
父は私の隣に腰かけると言った。
「お父さん」
「何だい?」
「私…ここに帰って来れて良かったよ。だって…本当はもう二度とこの家には戻ってこられないんじゃないかと思っていたから」
「ロザリー…」
父は悲しそうに顔をゆがめると溜息をついた。
「…本当に…申し訳ございませんでした…」
突然父が口調を変えて頭を下げて来た。
「や、やだ!やめてっ!お父さん!そんな言葉で話すのは…もう二度としないでってお願いしたでしょう?!」
「しかし…。ロザリー様に申し訳なくて…私が不甲斐ないばかりに…」
父は肩を震わせて頭を下げている。
「だったら…申し訳ないって言うなら、そんな態度を取らないで?私は…お父さんの事、本当のお父さんだと思っているんだから…」
今の私は辛いことばかりが多すぎる。そして心の休める場所が無い。常に気を張って、周りに気を遣って生きている。この家が…この場所だけが私の安らげる居場所なのに…!
「すまない…お前がやめてと訴えるなら…その通りにするよ」
父は私の髪を撫でながら笑みを浮かべた。
「お父さん…」
「ロザリー…本当はこんな事言いたくはないのだが…明日、学園に戻るんだ」
「え…?」
父の言葉に耳を疑った。
「な、何で…何でそんな事言うの…?私、本当は学園に戻りたくないんだよ?入学だってしたくなかったのに…どうして…?」
思わず目に涙が浮かび、私は父の腕に縋りついていた。
「…すまない。お前の為なんだ…」
父は苦し気に言う。
「私の…?本当に私の為だって言うなら学園に戻れなんて言わないでよ…」
しかし、父は首を振った。
「駄目だ、ロザリー。お前と…ダミアンの為なんだ…」
「え…?ダミアン…?どうしてダミアンが出てくるの?」
すると父は私の肩を掴むと言った。
「ダミアンは…ユーグ様にはお前を渡さないと言ってるんだよ。お前を連れて逃げると言ってるんだ…」
「ダミアンが…そんな事を…?ひょっとして私を心配して…?」
「いや、そうじゃない。ダミアンは…お前の事を姉ではなく、1人の女性として愛しているんだよ…」
「!」
あまりの突然の話に私は言葉を無くしてしまった―。
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