上 下
153 / 228
第一章 王国編第二部(中等部)

エピソード125 王立学院中等部入学しました

しおりを挟む
「えー、コホン……王立学院中等部の新入生の皆さん、ご入学誠におめでとうございます。また、保護者の皆様もお子様のご入学について心よりお喜びを申し上げます。
 この晴れがましい王立学院中等部の入学式にお忙しい中ご来賓としてご臨席を賜りましたマクウィリアズ王国宰相のアーロン・ウィンゲート侯爵様をはじめ多数のご参列の皆様に厚く御礼申し上げます。
 本日ここに今新たに王立学院中等部に九十名が入学いたしました。私達教職員一同も新たな新入生を迎えて大変喜ばしい気持ちでいっぱいです。
 さて、本校は設立以来百年以上の…………………

 本校への就職者の中には、希望して本校で教員を執るべく戻って来てくれた卒業生もいます。このことは、学校妙意に尽きることで教職員一同大変嬉しく思うと同時に、教育機関として卒業生が社会に出るという一つの…………………………………………

 さらに、卒業生が社会で活躍し、その根底で受けた王立学院での教育が、大きな試練が立ちはだかったときに発揮すると考えております。
 教職としての役割は限られていますが、社会貢献する人材の育成は、本校の教育方針のひとつですが、いかに貢献したかは生徒本人のみが知り、社会が評価することでしょう。学校としては、卒業生がこのマクウィリアズ王国、いやニーベラル大陸で活躍する上で、本校で学んで良かったと思える教育を目指していきたいと考えています。
 現在、マクウィリアズ王国では王都への人口の一局集中化また辺境伯領の局所的集中化があります。この集中化したところは………………………………
 貴族や平民問わず異種の文化価値観が混ざりあうことによって新たな文化を創造することが大切になります。その文化や価値観を持った人材を送り出すことをひとつとして当時のマクウィリアズ王の意向により王立学院を造られる事となりました。
 このように極めて魅力ある学院で、皆さんは二年間または五年間学ぶことになります。是非、この王立学院で学ぶことに対して誇りを持って頂きたいと思います。このことが、ここで学ぶ大きな力となり………………………………………………………… 

 さて、皆さんは望むと望まざるとに関わらず、学院生活という社会の小さな縮図の中ですが、大きな渦の中で生きていくことになります。これからは思わぬ人とも、知らない人との繋がりが増える事があるかもしれません。
 その繋がり一つ一つを見極めて将来の人脈となるか否かを判断する決断力を養う場でもあります。
 これからの世の中では、常識に捉われない一般的な考えを超えた新たな社会を迎えようとしているのではないでしょうか。学院内での貴族と平民との格差社会も設立されてから少しずつ境界線は薄れつつあります。
 これからの時代では人が……………………………

 一人ひとりが世情を見据えて学び、様々な視点をしっかりと持ち、今後学んでほしいと思います。
 そして、将来は人々にとって真に豊かな世の中の実現に貢献する人になっていただきたいと思います。貴族として領民に慕われる存在となる為に、また貴族でなくとも、文官、騎士、商人、様々な職種に就く事でマクウィリアズ王国の繁栄を支える事はできます。
 ここ王都も歴史と文化、そして自然に溢れた素晴らしい街です。この街で皆さんは、かけがえのない青春を送ろうとされています。
 新入生の皆さん。現在のワクワクとした初心は、つい忘れがちです。
 高い志や初心やしっかりとした目標を持ち、そして同じ志の友人が得られれば苦しいときや辛い時も乗り越えていけるはずです。ぜひ頑張って頂きたいと思います。
 最後に保護者様に於かれましては、お子様の教育を王立学院に託していただき誠にありがとうございます。もちろん、生徒本人の努力も不可欠になりますが、本校には将来のマクウィリアズ王国に貢献できる高いレベルの育成という目標をもとに、学力や様々な活動など通して、豊かな人間性の育成に教職員一丸となって生活指導に当たりたいと思っておりますので、ご理解よろしくお願いいたします。
これをもって入学式の式辞とさせていただきます」

 何やらぽっちゃりとした優しそうな白髪の男性……学院長だと思われる方の挨拶だろう。
 オレは何度か意識を失いながら話を聞いていた。

「クライヴ、やっと起きたんだね」

 隣に座っているモーガンがいつもの悪い笑みを浮かべている。
 初等部の時と違い、ホールの大きさや人の多さ等桁違いだ。
 万が一の避難の際に中等部と高等部全員と教職員の約六百人収容できた良いと思うのだが…………まさか野球でもするつもりか?
 その広さは何と縦横二百メートルで高さ百メートル………………

(必要か? この広さ……何万人収容するつもりだよ…………どこのライブだよ!)

 オレにとっては相変わらずツッコミどころ満載な学院なんだが、他の生徒はへぇ~ぐらいしか思っていない……

 その後、各先生の挨拶がありオレはまた意識を失いかけていた。
 そして最後に学院の学食を提供する食堂の料理長の紹介があった。

 オレ達は忘れていた……あの……料理長の存在を…………
 何とオレ達の中等部入学と同時期に王立学院分校から王立学院へ昇格したシェフを呼び戻して、自分が王立学院の料理長に就いたらしい…………
 そして料理長は獲物を見るような細い目をして、誰かを探していた………………
 その時!
 オレは料理長と目が合った!
 料理長をオレの顔を見てみつけたと言わんばかりの怪しい笑みを浮かべて挨拶を終えて去っていった。

「ねぇ、アレって絶対アンタの事見てたわよ」

 モーガンのもう一つ横に座っているフィーネも気づいたらしく、オレにそっと声をかけてきた。

「確かに……ぼくにもクライヴを見て不気味な笑みを浮かべたように見えたよ」

 オレの隣に座るリアナも料理長の奇行を見ていたようだ。

(みんな怖い事言うなよ……学食に毒とか入れられたりしないよな?)

「クライヴ……気をつけてね…………ボクの予想では食堂に行って学食を頼むと………………」

 モーガンはオレに話しかけておきながら途中から意味深な事を言って真顔のまま何も言わなくなった……

「いやいや、何でオレが親父ギャグの人料理長に目をつけられるんだよ。オレ別に何もしてないしみんなの勘違いだろ?」

 オレの言葉にモーガン達はジト目でオレを見てきた。

(何でだよ! どうしてみんなしてそんな目でオレを見るんだ!)

 
………………………………………………………


「それでは新入生の皆さん。クラス分けを行うので、そのままホールに残っていて下さい」

 いかにも教頭先生と言う言葉が似合う黒のセミロングにキリッと眼鏡、割と年配な几帳面そうな女性がオレ達新入生に言葉をかけた。

 その先生が次に発した言葉で、クラス分けが決められる事となった。

(クラスメイトに恵まれますように!)
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜

月風レイ
ファンタジー
 グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。  それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。  と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。  洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。  カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

異世界に転生したのでとりあえず好き勝手生きる事にしました

おすし
ファンタジー
買い物の帰り道、神の争いに巻き込まれ命を落とした高校生・桐生 蓮。お詫びとして、神の加護を受け異世界の貴族の次男として転生するが、転生した身はとんでもない加護を受けていて?!転生前のアニメの知識を使い、2度目の人生を好きに生きる少年の王道物語。 ※バトル・ほのぼの・街づくり・アホ・ハッピー・シリアス等色々ありです。頭空っぽにして読めるかもです。 ※作者は初心者で初投稿なので、優しい目で見てやってください(´・ω・) 更新はめっちゃ不定期です。 ※他の作品出すのいや!というかたは、回れ右の方がいいかもです。

処理中です...