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第4章 富国弱兵
第4章 富国弱兵~8 まさかのお土産!需要な材料がっ!
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8 まさかのお土産!重要な材料がっ!
ルシエが久しぶりに男爵邸に現れた。
普段は海上交易のために自前の高速スクーナー船スカーレット号で海を走り回っているために留守がちであった。
ほっそりと長めの船体のスカーレット号は帝国内では類を見ないほどの高速船である。
その分、荷物の積載量は少ないのだが運搬する積荷が嵩張らない物ばかりであるので何とかなってはいた。
クローリーたちが思うように動かせる船はスカーレット号ただ1隻でしかなかったので大忙しだ。
そこでスカーレット号のコピーのような船を新たに建造し、ルシエの配下の船員から新しい船の船長を選び出して運用する予定だった。
そのため最近のルシエの航海は新船長教育のためでもあった。
これがなかなか難航している。
沿岸だけを航海する船はともかく、ルシエのように洋上を航海するためには文字が読み書きできることと数学が必要だった。
初歩の三角函数などがそうで、洋上で位置を把握するための天測航法などになくてはならない知識なのである。
操船の腕が良いというだけではスカーレット号のような遠洋交易船の指揮はできない。
帝国の多くの商船が絹の国や砂の国の商船のように自在に航海できない理由はここにある。
識字率とその先にある数学の知識が足りないのだ。
なので陸地が常に見える沿岸航海ばかりしかできないのである。
もちろん。長年の勘に頼るという手段もあるにはあるのだが……。
その結果は想像に難くないだろう。
そういう意味でもルシエは帝国においてなら稀有で貴重な人材だった。
これで獣人族でなければ立場はかなり違ったはずである。
それと知って仲間と認めてくれるのはクローリーたちくらいのものなのだ。
当然忙しいのだが、珍しく顔を出した。
それは『ある』お土産があったからだ。
「ヒンカさん。これで良かったか?」
重そうに持ってきた寝袋でも入りそうな大きな革袋の中から、一塊の何かを取り出した。
白色に若干の斑が入混じった石のようなものだった。
岩塩の塊にも見える。
「おー。良く見つけて来たのじゃ」
持ち上げて見たり匂いを嗅いでみたり。
もちろんそんなことで識別ができないのだが、それっぽい感じには見える。
「へぇ。何スか。それ」
横目に見ていたクローリーが口を挟む。
「これか?肥料なのじゃ」
ヒンカは事も無げに言った。
「肥料?」
「そうじゃ。色んな野菜や植物を植えておるから、土壌改良に使うのじゃ」
「へぇー」
クローリーはあいまいに頷いた。
「前に沙那も言っていたじゃろ?硝酸カリウムじゃ」
「しょ……なんスか?」
「妾の国では手軽で使いやすい肥料として化学肥料がある。主に窒素、リン、カリウムで配合されておるのじゃ」
ヒンカや沙那の世界では家庭菜園にも安価に使うことができる。
配合比率が大きく袋に表示されている姿で知られている。
「この地域でも有機肥料は色んな形で使っておるが。これは即効性が高いのと、寄生虫や病気にかかりにくいのじゃ」
有機肥料……といっても糞尿を発酵させて使うものだ。
効能は悪くないのだが、寄生虫や病気を媒介しやすいのが欠点なのだ。
ヒンカはそれを解決したかった。
そして何より化学肥料は使いやすい。
彼女のいた世界でも人口爆発の最大の功労者は、食料増産の元になった化学肥料の普及である。
「しかし良く見つけて来たのじゃ。自然には手に入りにくいはずじゃ」
「ん。……岩塩のように固まって採掘できる場所が砂の国にあった」
ルシエは淡々と応える。
いったいどこまで探しに行っていたのだろうか。
「ほう……」
ヒンカは少し首を傾げた。
硝酸カリウムは湿気にとても弱く、すぐに反応してしまうために自然界で大量に取得することがほとんど不可能なのだ。
「それって……チリ硝石みたいな感じー?」
沙那が顔を出した。
作業用ということでアレキサンダー男爵家のメイド服を纏っている。
丈夫で汚れにも強い優れモノだ。
ただ、そこはJC?JK?な沙那であるからスカートは短く詰めてある。
その方がかわいく見えるからだ。
ちらちら見える生足はクローリーにとって気が気ではなかったが。
「良く知っておるのう」
「社会の授業でやったよー?」
沙那の時代はすでに科学的に合成できるのだが、嘗ては乾燥した地域で発見された硝酸カリウム鉱石を大規模に掘削して取引されていたのだ。
代表的なものがチリ硝石である。
実はある目的のために世界中に輸出されてもいた。
「その硝石って言葉は聞いたことあるっスな」
クローリーはふと思い出した。
「賢者がとても欲しいと言ってたやつっス」
「ああ」
ヒンカは頷く。
「火薬の原料じゃから」
「それっス」
クローリーの頭の中で何かが繋がった。
糞尿を下水道で集めて賢者が作ろうとしていたのものだ。
なるほど。肥料でもあるということに合点がいく。
「でも、あんまりお奨めはしないのじゃ」
火薬が未発明な帝国世界ではいろんな常識をひっくり返す……特に戦争には大きな影響を与えるだろう。
「この世界で火薬を使うとなれば、魔術師いらずの強力な兵器にもなるのじゃ」
「武器っスか」
「沙那みたいな娘が自分を守るために銃を持つとかだけなら良いんじゃが……」
「さにゃに?」
「剣も魔法も使えない娘には頼りになる力になる、この世界は危険じゃから」
「どんなものなんスかねぇ」
クローリーには銃がどういうものか想像もできない。
「てっぽーつくれるのー?」
沙那が食いついた。
「できなくはないだろうけど、思ったほど簡単にはいかないと思うのじゃ」
実はこの場で実銃を撃った経験があるのはヒンカだけだった。
沙那はもちろん賢者も銃の所持が限りなく困難な国にいたのだ。
海外旅行でもしなければ触るチャンスもない。
「積極的に戦争に使うんじゃなくて護身用ってなら協力も吝かではないのじゃ」
強力な武器を手にした時、クローリーが心変わりをするかもしれないという不安が無いわけではない。
行き過ぎた力は人を変えることを何度か目にしてきている。
「賢者が喜ぶかもしれないっスな」
クローリーも硝石に触れてみる。
「でも、何か見覚えありそうなそうでないような感じっス」
「それはそのはず」
ルシエが表情を変えずに言った。
「火焔石だよ」
「い?」
「クローリーさんが使ってた火炎の魔法の材料」
「お?」
クローリーは慌てて構成要素が入ったポーチから取り出す。
「これっスか?」
指で摘まめるほど小さいものだ。
「それ」
ルシエが小さく頷いた。
「魔術協会にも卸してるって聞いた」
「マジっスかあああー」
まさか自分で持っているものの中にあるとは思ってもみなかったのだ。
「けっこう高っけーんスけど。この塊でいくらっスか?」
「まあまあ高い。その塊で4ソルリン銀貨」
「安っっっ」
クローリーは直径1センチにも満たない塊を見せる。
「魔術協会じゃ、これ1個でドカル金貨2枚っスよ!」
「それ、ボッタクリ」
「くっそぉぉぉー!そんなに安く仕入れていたんスかー!」
それは入手元を秘匿して吹っ掛ける典型的な品物の一つだったのだ。
とはいえ輸送費用や使用頻度などを考えると帝国では妥当といえなくもない。
「樽10個ほど買ってきた。肥料って聞いてたから」
「かなりの量っスなー」
だから火炎魔法撃ち放題!とならないところがクローリーだった。
「いろんな実験が出来そうっス」
その様子を見てヒンカは少し安堵した。
「それ、火を点けると燃えるんだよー」
沙那が理科の実験を思い出そうとする。
「大昔の学者さんが調子に乗って燃やして家を焼いちゃったんだってー」
これは火薬発明以前にあったことらしい。
不老長寿の薬を作ろうとた錬金術師が盛大に火事を起こしたそうな。
「扱いには気を付けてねー」
* * *
硝石の入荷に驚き、そして最も興奮したのは賢者だった。
「銃に大砲に爆弾!夢が広がるでござるなあ!ブヒィ」
彼の脳内では異世界での火薬チート武器によるチート戦争で自分が英雄になる勇ましい姿があった。
あるいは白羽扇を持った軍師だろうか。
「さっそくドワーフ鍛冶のガイウス殿に頼んでくるでござる。ブフフ」
ルシエが久しぶりに男爵邸に現れた。
普段は海上交易のために自前の高速スクーナー船スカーレット号で海を走り回っているために留守がちであった。
ほっそりと長めの船体のスカーレット号は帝国内では類を見ないほどの高速船である。
その分、荷物の積載量は少ないのだが運搬する積荷が嵩張らない物ばかりであるので何とかなってはいた。
クローリーたちが思うように動かせる船はスカーレット号ただ1隻でしかなかったので大忙しだ。
そこでスカーレット号のコピーのような船を新たに建造し、ルシエの配下の船員から新しい船の船長を選び出して運用する予定だった。
そのため最近のルシエの航海は新船長教育のためでもあった。
これがなかなか難航している。
沿岸だけを航海する船はともかく、ルシエのように洋上を航海するためには文字が読み書きできることと数学が必要だった。
初歩の三角函数などがそうで、洋上で位置を把握するための天測航法などになくてはならない知識なのである。
操船の腕が良いというだけではスカーレット号のような遠洋交易船の指揮はできない。
帝国の多くの商船が絹の国や砂の国の商船のように自在に航海できない理由はここにある。
識字率とその先にある数学の知識が足りないのだ。
なので陸地が常に見える沿岸航海ばかりしかできないのである。
もちろん。長年の勘に頼るという手段もあるにはあるのだが……。
その結果は想像に難くないだろう。
そういう意味でもルシエは帝国においてなら稀有で貴重な人材だった。
これで獣人族でなければ立場はかなり違ったはずである。
それと知って仲間と認めてくれるのはクローリーたちくらいのものなのだ。
当然忙しいのだが、珍しく顔を出した。
それは『ある』お土産があったからだ。
「ヒンカさん。これで良かったか?」
重そうに持ってきた寝袋でも入りそうな大きな革袋の中から、一塊の何かを取り出した。
白色に若干の斑が入混じった石のようなものだった。
岩塩の塊にも見える。
「おー。良く見つけて来たのじゃ」
持ち上げて見たり匂いを嗅いでみたり。
もちろんそんなことで識別ができないのだが、それっぽい感じには見える。
「へぇ。何スか。それ」
横目に見ていたクローリーが口を挟む。
「これか?肥料なのじゃ」
ヒンカは事も無げに言った。
「肥料?」
「そうじゃ。色んな野菜や植物を植えておるから、土壌改良に使うのじゃ」
「へぇー」
クローリーはあいまいに頷いた。
「前に沙那も言っていたじゃろ?硝酸カリウムじゃ」
「しょ……なんスか?」
「妾の国では手軽で使いやすい肥料として化学肥料がある。主に窒素、リン、カリウムで配合されておるのじゃ」
ヒンカや沙那の世界では家庭菜園にも安価に使うことができる。
配合比率が大きく袋に表示されている姿で知られている。
「この地域でも有機肥料は色んな形で使っておるが。これは即効性が高いのと、寄生虫や病気にかかりにくいのじゃ」
有機肥料……といっても糞尿を発酵させて使うものだ。
効能は悪くないのだが、寄生虫や病気を媒介しやすいのが欠点なのだ。
ヒンカはそれを解決したかった。
そして何より化学肥料は使いやすい。
彼女のいた世界でも人口爆発の最大の功労者は、食料増産の元になった化学肥料の普及である。
「しかし良く見つけて来たのじゃ。自然には手に入りにくいはずじゃ」
「ん。……岩塩のように固まって採掘できる場所が砂の国にあった」
ルシエは淡々と応える。
いったいどこまで探しに行っていたのだろうか。
「ほう……」
ヒンカは少し首を傾げた。
硝酸カリウムは湿気にとても弱く、すぐに反応してしまうために自然界で大量に取得することがほとんど不可能なのだ。
「それって……チリ硝石みたいな感じー?」
沙那が顔を出した。
作業用ということでアレキサンダー男爵家のメイド服を纏っている。
丈夫で汚れにも強い優れモノだ。
ただ、そこはJC?JK?な沙那であるからスカートは短く詰めてある。
その方がかわいく見えるからだ。
ちらちら見える生足はクローリーにとって気が気ではなかったが。
「良く知っておるのう」
「社会の授業でやったよー?」
沙那の時代はすでに科学的に合成できるのだが、嘗ては乾燥した地域で発見された硝酸カリウム鉱石を大規模に掘削して取引されていたのだ。
代表的なものがチリ硝石である。
実はある目的のために世界中に輸出されてもいた。
「その硝石って言葉は聞いたことあるっスな」
クローリーはふと思い出した。
「賢者がとても欲しいと言ってたやつっス」
「ああ」
ヒンカは頷く。
「火薬の原料じゃから」
「それっス」
クローリーの頭の中で何かが繋がった。
糞尿を下水道で集めて賢者が作ろうとしていたのものだ。
なるほど。肥料でもあるということに合点がいく。
「でも、あんまりお奨めはしないのじゃ」
火薬が未発明な帝国世界ではいろんな常識をひっくり返す……特に戦争には大きな影響を与えるだろう。
「この世界で火薬を使うとなれば、魔術師いらずの強力な兵器にもなるのじゃ」
「武器っスか」
「沙那みたいな娘が自分を守るために銃を持つとかだけなら良いんじゃが……」
「さにゃに?」
「剣も魔法も使えない娘には頼りになる力になる、この世界は危険じゃから」
「どんなものなんスかねぇ」
クローリーには銃がどういうものか想像もできない。
「てっぽーつくれるのー?」
沙那が食いついた。
「できなくはないだろうけど、思ったほど簡単にはいかないと思うのじゃ」
実はこの場で実銃を撃った経験があるのはヒンカだけだった。
沙那はもちろん賢者も銃の所持が限りなく困難な国にいたのだ。
海外旅行でもしなければ触るチャンスもない。
「積極的に戦争に使うんじゃなくて護身用ってなら協力も吝かではないのじゃ」
強力な武器を手にした時、クローリーが心変わりをするかもしれないという不安が無いわけではない。
行き過ぎた力は人を変えることを何度か目にしてきている。
「賢者が喜ぶかもしれないっスな」
クローリーも硝石に触れてみる。
「でも、何か見覚えありそうなそうでないような感じっス」
「それはそのはず」
ルシエが表情を変えずに言った。
「火焔石だよ」
「い?」
「クローリーさんが使ってた火炎の魔法の材料」
「お?」
クローリーは慌てて構成要素が入ったポーチから取り出す。
「これっスか?」
指で摘まめるほど小さいものだ。
「それ」
ルシエが小さく頷いた。
「魔術協会にも卸してるって聞いた」
「マジっスかあああー」
まさか自分で持っているものの中にあるとは思ってもみなかったのだ。
「けっこう高っけーんスけど。この塊でいくらっスか?」
「まあまあ高い。その塊で4ソルリン銀貨」
「安っっっ」
クローリーは直径1センチにも満たない塊を見せる。
「魔術協会じゃ、これ1個でドカル金貨2枚っスよ!」
「それ、ボッタクリ」
「くっそぉぉぉー!そんなに安く仕入れていたんスかー!」
それは入手元を秘匿して吹っ掛ける典型的な品物の一つだったのだ。
とはいえ輸送費用や使用頻度などを考えると帝国では妥当といえなくもない。
「樽10個ほど買ってきた。肥料って聞いてたから」
「かなりの量っスなー」
だから火炎魔法撃ち放題!とならないところがクローリーだった。
「いろんな実験が出来そうっス」
その様子を見てヒンカは少し安堵した。
「それ、火を点けると燃えるんだよー」
沙那が理科の実験を思い出そうとする。
「大昔の学者さんが調子に乗って燃やして家を焼いちゃったんだってー」
これは火薬発明以前にあったことらしい。
不老長寿の薬を作ろうとた錬金術師が盛大に火事を起こしたそうな。
「扱いには気を付けてねー」
* * *
硝石の入荷に驚き、そして最も興奮したのは賢者だった。
「銃に大砲に爆弾!夢が広がるでござるなあ!ブヒィ」
彼の脳内では異世界での火薬チート武器によるチート戦争で自分が英雄になる勇ましい姿があった。
あるいは白羽扇を持った軍師だろうか。
「さっそくドワーフ鍛冶のガイウス殿に頼んでくるでござる。ブフフ」
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