奇談

《語源》取という漢字

漢字の成り立ちについて、以前説明させていただいたが、皆さんは覚えていらっしゃるだろうか？

詳しい説明は省くが、漢字は形声文字、会意文字、指示文字、象形文字の4種類から成り立つ、ということだった。（詳しい説明は以前の『七という漢字』でご確認いただきたい。）
さて、表題の「取」という漢字だが、これは4種類のうちどれに当たるか、皆さんはご存じだろうか。

実はこの「取」という漢字、会意文字なのである。

それがどうした、と言われそうだが、この「取」という漢字が怖い理由を説明するために、ひとまず会意文字について振り返っておきたい。

会意文字とは、２つ以上の漢字を組み合わせて元の漢字とは違う意味を表した文字である。
今回の場合は、「耳」と「又」を組み合わせた漢字となる。
これがなぜ「物を取る」という意味になるのか。それは、実はこの漢字が「ある様子」を表しているからだそうだ。

それは、戦場で打ち取った敵の首から耳を取る様子である。

そんなアホな、バカも休み休み言えと言われるかもしれないが、きちんと証拠がある。

古代中国では、戦場で敵をどれだけ殺したかの証として、その討ち取った敵の左耳を持ち帰る習慣があった。
その様子から、左に「耳」。右側に物を取る手が変化した形を意味する「又」がくみあわさり、「取」となったのだ。

これはかなりメジャーな説らしく、どこを調べてもそうだと述べられていた。
OK辞典というサイトでは、「取」という漢字の一番目の意味に「耳をきる」、「捕虜や捕獲した動物を数える為に、その耳をきる」とまで書いていた。（どう考えても真っ先に思い浮かぶ意味ではないような気がするが…。）

皆さんもこれから「取」という漢字を書くときは切り取られた「左耳」のイメージを持つと良いだろう。