成り上がりたいのなら勝手にどうぞ。僕は『テリトリー』で使い魔と楽しく過ごす事にします

すみ 小桜(sumitan)

文字の大きさ
3 / 84

003

しおりを挟む
 「ほら飯だ」

 僕は、馬車で運ばれて牢屋の中に入れられた。
 そこには、僕より明らかに年下の子供達が十数人。そして皆、同じ色のチョーカーをしている。シルバーだ。

 スキル持ちのチョーカーはシルバーで、国からスキルを買ってスキルを初めて得た者はブラックだった。

 パンが放り込まれると、皆一目散にパンに群がった。僕も一つ手にして食べる。
 固いけどいつも食べているパンと一緒だ。

 次の日、パンを食べ終わると全員が荷馬車に乗せられた。
 休憩を挟みつつ三日ぼど馬車に揺られた早朝だった。荷馬車に座ったまま寝ていると、外が騒がしい。
 ホロがめくられ、知らない人が中を覗き込んで来た。
 皆、身構える。

 「安心しろ。我らカモミール隊が助けに来た」

 そう言われても僕は、彼が何者かわからなかった。
 その後、国営の部隊だと説明を受ける。

 「私達は、ルエタール街に配属されている騎士団だ。君達を保護する。悪いが人数が多いので、この馬車で街まで行く。具合が悪い者はいるか?」

 赤髪のお兄さんがそう言うも誰も何も返さない。
 仕方なさそうにお兄さんは、馬車に乗り込んで来た。
 こうして、僕達はルエタール街へと運ばれたのだった。



 「君は、ラシルさんでいいかな? おや、今日が誕生日で15歳になったみたいだね」
 「あ、そう言えばそうかも」

 とうとう15歳になってしまった。
 お金も巻き上げられ、これからどうしたらいいのだろうか。

 「君は、ジャト町に住んでいたのかい?」
 「いえ、その町の近くの村なんですけど。あの、どうしてそんな事までわかるんですか?」
 「そのチョーカーに記憶されている。と言ってもシルバーの者だけだ。えーと、君のスキルは『テリトリー』? 聞いた事がないスキル名だね。もしかして、固有スキルかい?」

 僕はそうだと頷いた。

 「なるほどそういう事か」
 「えーと、どういう事ですか?」
 「大抵の者は、スキル鑑定後にスキル隊になるべく連れて行かれる。そして、15歳になって大人になる時には、自分で生計を立てられるようになる」

 そうなんだ。
 でも連れて行かれなかったって事は、僕のスキルではなれなかったって事かな。

 「うーん。どうする? 前の場所に戻るかい。たぶん、合わない職業だとかなり稼ぎが少ないと思うのだけど。前は何をしていたの?」
 「農業です。実は、大人になっちゃうのでジャト町に農業系のスキルを買いに来たのだけど、思っていたより高いというか……」
 「なるほどね。スキルがあるから農業系のスキルを買わずにいたんだね。そして、合わなかったら14歳になったら買いに行くつもりでいたと。スキルの仕組みを知らなかったんだね」

 カモミール隊員は、うんうんと頷いている。

 「うーん。戻ってもきっとお金にならないだろうね。今月から君は、魔四マヨ銅貨1枚を払わないといけないだろうし」

 そうだった! それが問題なんだよね。僕の給金は殆どが食費に消えていく。だからこのままだと僕だけでは税金が払えないんだ。その為にスキルを取得しに来たのだった。

 「本来なら君の意見など聞かずに親元か職場に送り届けるのだけど、君はもう大人だから君の意見を聞ける。どうする? ここで冒険者になってみるかい」
 「ボウケンシャ?」
 「知らないか。色んな依頼を受けて、仕事を達成すると報酬が貰える。報酬が給金って事だね。1回に貰えるお金は多いけど、毎日出来るとは限らないし、決まった寝床もない。ただしギルドに入る事が出来れば、自身が依頼をこなしていなくても給金は貰える。金額は、契約内容によるけどね」

 そんな仕事があるんだ。でも僕に出来るだろうか。

 「僕にできますか?」
 「冒険者は、国民なら誰でも登録できるよ。他の仕事をしつつ冒険者をやっている人もいるから。ただ登録料がかかるんだ」
 「え……僕、お金取られちゃったし、お金なんてありません」

 カモミール隊員が少し考え込んだ。そして頷いた。

 「だったら判定球はんていきゅうで、判定しよう。大人になら使えるんだ」
 「えーと、それを使うとどうなるんですか?」
 「本当の事を言っているかの判定に使うものなんだけど、君が持ってきたという金額を正直に言ってもらって、それが本当だとなれば、手続きして返金される可能性がある」
 「え! 本当ですか?」
 「申請しないとなんとも言えないけど。たぶん通ると思うよ」
 「だったらそれします!」

 帰るにしろ、冒険者になるにしろ、お金が戻って来るならするしかない。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ

音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。 だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。 相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。 どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

処理中です...