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ガルド城の秘密
第105話-ユリの答え-
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「さっきのカルロスさんとの話なんだけど……」
私はユリに尋ねた。
カルロスさんとユリの会話。それは短いながらも印象に残る話だった。
カルロスさんが奥から戻ってきて、ユリもバレルさんを送って帰ってきた時にユリがカルロスさんに質問を切り出した。
『カルロス様、助けて頂きありがとうございました。お聞きしたい事があるのですがよろしいでしょうか?』
『あぁ、何かな?』
『最後相手を気絶させましたが、私の目では間違いなく、一太刀入れることの出来る場面でした。相手は凶器を持ってかかって来ました。その相手に対して情けをかける必要はあったのでしょうか』
そのやりとりは近衛騎士を目指すユリだからこその疑問。私達は一度は相手を退けた。でも殺さなかった事で私達は再び窮地に追いやられた。だからユリも聞いたのかもしれなかった。
『あなたは相手を殺したかったのですか?』
その言葉にユリは何かを言いかけて、押し黙った。
『悪人だから殺して良いとはならないと私は思っています。何故かと問われると答えは『生き物だから』と私は言うでしょう。そして殺さないのが正解だとも思いません』
その言い方はどこかバレルさんを思い出す。
『殺すのは最後の手段です。騎士たるもの相手を制圧できる力、技量を持たねばならないと私は思います。もちろん人それぞれ考えがあります。どんな手でも主を守らなければならない。そんな時は私も殺すことを躊躇いません』
ユリの目はカルロスさんを向いている。だけどカルロスさんのその言葉を聞いて私とガルド公に目を向けた。
『私も……私も、騎士を目指しています。近衛騎士に。だからあなたの言葉を聞いてみたかったんです。どうすれば近衛騎士になれるかと思って』
『そうでしたか。なら言葉を送ります。『貴方らしくなりなさい』と。真似をしても窮屈なだけです。ただ人の言葉を参考にして、自分を磨いていけば、良い騎士になれるでしょう。しかし、驚きました。近衛騎士を目指しているとは……」
カルロスさんの驚く顔は珍しいと横のガルド公が呟いた。
『もしかして、私がここに来る前にあの男と交戦したのはあなたですか?』
『はい、私だけではなくバレルさん。怪我をしていた人と一緒にでしたが』
『てっきり男性の客人が1人で貴方達を守っていたものと。失礼致しました。それでは改めて感謝の言葉を。あの男はかなり弱っておりました。今回私が殺さずに勝てたのは貴方達の力が合ってこその戦果でした。貴方は立派な騎士になると思います。今後も騎士になる夢を、目標を捨てないでください』
地面に膝をついて感謝の言葉を述べるカルロスさん。その言葉にユリでもない私が何故か涙が出そうになる。
『そんな、立って下さい。私だけではありません。フランソワ様、バレルさん。二人が居てこその結果です。私だけだったら……勝てなかった。仮に勝てても間違いを犯していたかも知れません。『悪人だから殺して良い』正直そう考えていました。でも、フランソワ様とバレルさんに諭されて、貴方様に教えて頂き、私はそれが間違いだと思いました。ありがとうございました』
カルロスさんが立ち上がってユリの手を取った。
『誇りなさい』
短い一言をユリに送る。ユリの顔が晴れていく。年頃の少女の表情に。大人びて見えていたユリ。だけどそれは間違いでもあった。ユリもまだ学生で、少女なんだ。
「ユリは、カルロスさんの答えを聞いて納得できた?」
「えぇ、私は私で、私の考えで近衛騎士を目指していきます。女だからと言って無理なこともありません。そして強くもなります」
そう言い切るユリ。その表情は初めてみた時よりも凛々しく、気高く、少女の可愛さを秘めていた。
私はユリに尋ねた。
カルロスさんとユリの会話。それは短いながらも印象に残る話だった。
カルロスさんが奥から戻ってきて、ユリもバレルさんを送って帰ってきた時にユリがカルロスさんに質問を切り出した。
『カルロス様、助けて頂きありがとうございました。お聞きしたい事があるのですがよろしいでしょうか?』
『あぁ、何かな?』
『最後相手を気絶させましたが、私の目では間違いなく、一太刀入れることの出来る場面でした。相手は凶器を持ってかかって来ました。その相手に対して情けをかける必要はあったのでしょうか』
そのやりとりは近衛騎士を目指すユリだからこその疑問。私達は一度は相手を退けた。でも殺さなかった事で私達は再び窮地に追いやられた。だからユリも聞いたのかもしれなかった。
『あなたは相手を殺したかったのですか?』
その言葉にユリは何かを言いかけて、押し黙った。
『悪人だから殺して良いとはならないと私は思っています。何故かと問われると答えは『生き物だから』と私は言うでしょう。そして殺さないのが正解だとも思いません』
その言い方はどこかバレルさんを思い出す。
『殺すのは最後の手段です。騎士たるもの相手を制圧できる力、技量を持たねばならないと私は思います。もちろん人それぞれ考えがあります。どんな手でも主を守らなければならない。そんな時は私も殺すことを躊躇いません』
ユリの目はカルロスさんを向いている。だけどカルロスさんのその言葉を聞いて私とガルド公に目を向けた。
『私も……私も、騎士を目指しています。近衛騎士に。だからあなたの言葉を聞いてみたかったんです。どうすれば近衛騎士になれるかと思って』
『そうでしたか。なら言葉を送ります。『貴方らしくなりなさい』と。真似をしても窮屈なだけです。ただ人の言葉を参考にして、自分を磨いていけば、良い騎士になれるでしょう。しかし、驚きました。近衛騎士を目指しているとは……」
カルロスさんの驚く顔は珍しいと横のガルド公が呟いた。
『もしかして、私がここに来る前にあの男と交戦したのはあなたですか?』
『はい、私だけではなくバレルさん。怪我をしていた人と一緒にでしたが』
『てっきり男性の客人が1人で貴方達を守っていたものと。失礼致しました。それでは改めて感謝の言葉を。あの男はかなり弱っておりました。今回私が殺さずに勝てたのは貴方達の力が合ってこその戦果でした。貴方は立派な騎士になると思います。今後も騎士になる夢を、目標を捨てないでください』
地面に膝をついて感謝の言葉を述べるカルロスさん。その言葉にユリでもない私が何故か涙が出そうになる。
『そんな、立って下さい。私だけではありません。フランソワ様、バレルさん。二人が居てこその結果です。私だけだったら……勝てなかった。仮に勝てても間違いを犯していたかも知れません。『悪人だから殺して良い』正直そう考えていました。でも、フランソワ様とバレルさんに諭されて、貴方様に教えて頂き、私はそれが間違いだと思いました。ありがとうございました』
カルロスさんが立ち上がってユリの手を取った。
『誇りなさい』
短い一言をユリに送る。ユリの顔が晴れていく。年頃の少女の表情に。大人びて見えていたユリ。だけどそれは間違いでもあった。ユリもまだ学生で、少女なんだ。
「ユリは、カルロスさんの答えを聞いて納得できた?」
「えぇ、私は私で、私の考えで近衛騎士を目指していきます。女だからと言って無理なこともありません。そして強くもなります」
そう言い切るユリ。その表情は初めてみた時よりも凛々しく、気高く、少女の可愛さを秘めていた。
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