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アメノという男
アメノという男(1)
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食堂の椅子に座ってコーヒーを啜るアメノをリンツは大きな緑色の目をきつく細めて睨む。
それに気づいたアメノがカップから口を離し、猛禽類のような目を向ける。
「なんだ?俺の顔に餡子でも付いてるか?」
「来る前に何甘いもん食ってきてるんすか」
リンツは、呆れたように言いながらも表情は笑っていない。
「王都の老舗で新作のどら焼きを試食したんだ。10箱ほど買ってきたから子ども達に配ってやれ。お前も食べろ」
「それは有り難く頂くっす」
リンツは、即答する。
アメノは、話しは終わったとばかりにリンツから目を反らし、コーヒーを啜る。
「・・・あの子・・本気で連れて行くんすか?」
リンツの問いにアメノは反応せず、コーヒーを啜る。
「・・・そういう契約だったはずだ」
「ええっ所長からはそう聞いてるっす。あの子を引き取るのに旦那から多額の寄付があったって。それこそこの施設の入居者達が一年は楽に暮らせるくらいの」
しかし、リンツは、感謝どころか笑いもしない。
むしろそんな決断をした所長を始め施設を運営するお偉方に対する怒りが感じら、アメノに疑いの目を向ける。
「あの子をどうするつもりっすか?」
「・・・どうもしない」
アメノは、リンツから目を反らしたままコーヒーを啜る。
「俺が世話になってる宿屋が人手不足で嘆いてるから給仕でもしてもらうさ」
「混じり者に?」
リンツは、鼻で笑う。
「閑古鳥が鳴いて宿が潰れるだけっすよ」
アメノは、猛禽類のような目でリンツを一瞥する。
「お前はちゃんと働いてるだろう?」
「私は、魔法使いっす。まともとは程遠い。それに・・」
リンツは、それ以上告げずに唇を噛み締める。
アメノもそれ以上は言わずコーヒーカップに口を付けようとする。
「半竜だからっすか?」
アメノの手が止まる。
「半竜だからあの子を引き取ろうと思ったっすか?あの人の代わりにするんすか?」
アメノは、答えない。
底が透けそうなくらいに減ったカップの中をじっと見る。その中にいる何かを覗き込むように。
「あの子はあの子っす。酷い目にあってとても傷ついてるっす。初めての人間種の世界に戸惑ってるっす。怖がってるっす。だから身代わりじゃなくあの子をちゃんと・・」
「身代わりなんかじゃない」
アメノは、ぼそりっと呟く。
リンツは、大きく目を開ける。
「あいつの代わりになんて誰もなれやしない」
そう言ってコーヒーを飲み干した。
リンツは、意味が分からず形の良い眉を顰めてもう一度、質問しようとする。
「お待たせいたしました」
品のある女性の声が食堂を流れる。
2人の目が食堂の入り口に向く。
歪み曲がった2本の角を生やし、目が血を落としたように赤く輝いた女性が入ってくる。
保護施設の看護師だ。
「少し準備に戸惑いまして申し訳ございません」
女性は丁寧に頭を下げる。
恐怖を与える風貌と反し、顔立ちは美しく、とても礼儀正しい。
その後ろに続くように少女が入ってくる。
しかし、その姿は先ほどまで着ていた病衣ではない。
「おおっ」
リンツは、思わず感嘆の声を上げる。
少女は、小さな花弁模様を散りばめた薄桃色の着物を身に纏っていた。異国の衣装である着物のことは良く分からないリンツだが打掛も長襦袢も下駄も高級品であることがよく分かる。長い黒髪も綺麗に解かされて、左肩に流れるように整えられている。
その姿は同性のリンツですらため息を吐くほど美しく、頭の2本の角と目下に並んだ3つの白い鱗が無かったらとても混じり者には見えなかったろう。
しかし、当の少女は女子なら心踊るような美しい格好をしているのに表情はとても暗く、俯いたままだ。
リンツもその様子に気付き、唇を固く結ぶ。
アメノは、椅子に座ったままテーブルに肘を付いて少女を見た。
「素敵なお着物ですね。アメノ様」
何も言わない少女の代わりに看護師がにこやかに笑って答える。
「お着物の着付けなんて久しぶりだったので少し戸惑いましたが何とか出来ましたよ」
そう言って少女の肩を優しく掴んで前に出す。
少女は、戸惑い、よろけそうになりながら看護師と並ぶ。
「ただ、一人で着るのはまだ難しいかと。今日はよろしいかと思いますが今後は普通の服を・・・」
「・・・それじゃあ意味がない」
アメノは、苛立つような白髪を掻く。
その仕草に少女は、びくっと身体を震わせる。
アメノは、椅子から立ち上がると少女にゆっくりと近づく。
少女は、顔を青ざめ、俯かせたまま身体を震わせる。
アメノは、少女の前に立つ。
少女は、震えたまま顔を上げることが出来ない。
暗黒竜達に虐げられた恐怖が、彼の刀に心臓を貫かれた時の痛みと恐怖が蘇る。
「ほら、ちゃんとご挨拶しなさい。これからお世話になる方よ」
看護師は、少女の肩を叩いて促す。
少女は、兎のように怯えながらも顔を上げる。
「だ・・・」
少女は、震える声を絞り出す。
「旦那様。これからどうぞよろしくお願い致します」
着物に着替えている最中に看護師に教わった言葉をなぞるように言う。
アメノは、猛禽類のような目をきつく細める。
「旦那様・・?」
アメノは、彼女の発した言葉を繰り返す。
不機嫌そうに。
少女の顔の顔が青ざめる。
失敗した。
恐怖が少女の心を支配する。
しかし、アメノが怒りの目を向けたのは少女にではなくリンツにであった。
「お前が変なこと言うからこいつが真似したろう」
そう言って拗ねた子どものように唇を尖らせる。
そのあまりに子どもっぽい仕草に少女は目を丸くする。
「その風体で王子様となんて呼べないっすよ。紅玉の勇者様ならともかく」
リンツは、肩を竦める。
「普通に名前で呼べ!」
「今更、もう無理っすー!」
リンツは、可愛らしく舌を出す。
アメノは、悔しげに歯を噛み締め、半眼でリンツを睨みながら少女に向き直る。
2人の言い合いに少女は、きょとんっとする。
その様子から感じられるのは単なる顔見知りではなくそれ以上の親密な、父たる白竜の王とその仲間の関係とも違う親近感のようなものが感じられた。
「着物は苦しくないか?」
顔は、不機嫌そうなのにこの言葉には優しさが滲んでいた。
少女は、驚きつつも頷く。
「はいっ。着心地と言うのでしょうか?とても良いです」
「そうか」
アメノは、安心したような息を吐く。
「それなら手足の傷も隠れるし良いかと思ってな」
少女は、目を大きく開き、両手を見る。
暗黒竜に噛みちぎられた枷のような傷跡は着物の袖で見事に隠れていた。
リンツと看護師もアメノの意図に気付き、ああっと納得する。
「この国の女子の衣服はよく分からなくてな。祖国の物を用意させてもらった」
そう言って照れくさそうに頬を掻く。
「名前は?」
「へっ?」
少女は、間の抜けた声を上げる。
「お前の名前は何という?」
「名前・・・」
少女は、戸惑いながらも口に出す。
「娘・・・我が子と・・父からは呼ばれてました」
少女の言葉に3人は目を見合わせる。
「ああっなるほど・・・」
「人ならざる者に固有の名前は必要ありませんものね」
混じり者の2人は思わず納得する。
アメノは、眉根を寄せる。
「・・・好きな言葉はあるか?」
「好きな・・言葉でございますか?」
アメノは、頷く。
「名前がないのは不便だからな。お前の好きな言葉でも物でもいいからとりあえずの名前にしよう」
言葉・・・。好きな物・・・。
(雪・・空・・お花・・お父様・・)
脳裏に浮かぶ好きなもの。
しかし、そのどれもを思い出す度に暗黒竜達に虐げられた記憶が蘇り、苦しくなる。
少女は表情を青ざめ、襟を握りしめる。
「ございません・・」
少女は、小さな声で言う。
「好きな言葉もございません。旦那様のお好きな言葉でお呼びください」
そう言って頭を下げる。
アメノは、猛禽類のような目を細める。
「分かった」
アメノは、小さく息を吐く。
「後でゆっくり考えるとしよう」
そう言って少女に背を向ける。
「そろそろ出発する」
アメノは、看護師を見る。
「他に必要な手続きはありますか?」
急に丁寧語で話しかけられた看護師は露骨に驚いた顔をする。
「ごっございません。どうぞお気をつけて」
看護師は、深々と頭を下げる。
アメノは、再び少女に向き直る。
「・・・正面口で待つ」
そう言うと少女の横を通り過ぎ、食堂の入り口に向かう。
「畏まりました。旦那様」
少女は、アメノの背中に頭を下げる。
アメノの足が止まる。
「アメノだ」
アメノは、不機嫌に言う。
少女は、目を大きく開く。
「俺を呼ぶ時はアメノだ。それ以外は認めん」
そう言って食堂から出ていった。
少女は、驚きながらもその背中を視線で追う。
その背中と誰かの背中が重なり、心臓が小さく鳴った。
それに気づいたアメノがカップから口を離し、猛禽類のような目を向ける。
「なんだ?俺の顔に餡子でも付いてるか?」
「来る前に何甘いもん食ってきてるんすか」
リンツは、呆れたように言いながらも表情は笑っていない。
「王都の老舗で新作のどら焼きを試食したんだ。10箱ほど買ってきたから子ども達に配ってやれ。お前も食べろ」
「それは有り難く頂くっす」
リンツは、即答する。
アメノは、話しは終わったとばかりにリンツから目を反らし、コーヒーを啜る。
「・・・あの子・・本気で連れて行くんすか?」
リンツの問いにアメノは反応せず、コーヒーを啜る。
「・・・そういう契約だったはずだ」
「ええっ所長からはそう聞いてるっす。あの子を引き取るのに旦那から多額の寄付があったって。それこそこの施設の入居者達が一年は楽に暮らせるくらいの」
しかし、リンツは、感謝どころか笑いもしない。
むしろそんな決断をした所長を始め施設を運営するお偉方に対する怒りが感じら、アメノに疑いの目を向ける。
「あの子をどうするつもりっすか?」
「・・・どうもしない」
アメノは、リンツから目を反らしたままコーヒーを啜る。
「俺が世話になってる宿屋が人手不足で嘆いてるから給仕でもしてもらうさ」
「混じり者に?」
リンツは、鼻で笑う。
「閑古鳥が鳴いて宿が潰れるだけっすよ」
アメノは、猛禽類のような目でリンツを一瞥する。
「お前はちゃんと働いてるだろう?」
「私は、魔法使いっす。まともとは程遠い。それに・・」
リンツは、それ以上告げずに唇を噛み締める。
アメノもそれ以上は言わずコーヒーカップに口を付けようとする。
「半竜だからっすか?」
アメノの手が止まる。
「半竜だからあの子を引き取ろうと思ったっすか?あの人の代わりにするんすか?」
アメノは、答えない。
底が透けそうなくらいに減ったカップの中をじっと見る。その中にいる何かを覗き込むように。
「あの子はあの子っす。酷い目にあってとても傷ついてるっす。初めての人間種の世界に戸惑ってるっす。怖がってるっす。だから身代わりじゃなくあの子をちゃんと・・」
「身代わりなんかじゃない」
アメノは、ぼそりっと呟く。
リンツは、大きく目を開ける。
「あいつの代わりになんて誰もなれやしない」
そう言ってコーヒーを飲み干した。
リンツは、意味が分からず形の良い眉を顰めてもう一度、質問しようとする。
「お待たせいたしました」
品のある女性の声が食堂を流れる。
2人の目が食堂の入り口に向く。
歪み曲がった2本の角を生やし、目が血を落としたように赤く輝いた女性が入ってくる。
保護施設の看護師だ。
「少し準備に戸惑いまして申し訳ございません」
女性は丁寧に頭を下げる。
恐怖を与える風貌と反し、顔立ちは美しく、とても礼儀正しい。
その後ろに続くように少女が入ってくる。
しかし、その姿は先ほどまで着ていた病衣ではない。
「おおっ」
リンツは、思わず感嘆の声を上げる。
少女は、小さな花弁模様を散りばめた薄桃色の着物を身に纏っていた。異国の衣装である着物のことは良く分からないリンツだが打掛も長襦袢も下駄も高級品であることがよく分かる。長い黒髪も綺麗に解かされて、左肩に流れるように整えられている。
その姿は同性のリンツですらため息を吐くほど美しく、頭の2本の角と目下に並んだ3つの白い鱗が無かったらとても混じり者には見えなかったろう。
しかし、当の少女は女子なら心踊るような美しい格好をしているのに表情はとても暗く、俯いたままだ。
リンツもその様子に気付き、唇を固く結ぶ。
アメノは、椅子に座ったままテーブルに肘を付いて少女を見た。
「素敵なお着物ですね。アメノ様」
何も言わない少女の代わりに看護師がにこやかに笑って答える。
「お着物の着付けなんて久しぶりだったので少し戸惑いましたが何とか出来ましたよ」
そう言って少女の肩を優しく掴んで前に出す。
少女は、戸惑い、よろけそうになりながら看護師と並ぶ。
「ただ、一人で着るのはまだ難しいかと。今日はよろしいかと思いますが今後は普通の服を・・・」
「・・・それじゃあ意味がない」
アメノは、苛立つような白髪を掻く。
その仕草に少女は、びくっと身体を震わせる。
アメノは、椅子から立ち上がると少女にゆっくりと近づく。
少女は、顔を青ざめ、俯かせたまま身体を震わせる。
アメノは、少女の前に立つ。
少女は、震えたまま顔を上げることが出来ない。
暗黒竜達に虐げられた恐怖が、彼の刀に心臓を貫かれた時の痛みと恐怖が蘇る。
「ほら、ちゃんとご挨拶しなさい。これからお世話になる方よ」
看護師は、少女の肩を叩いて促す。
少女は、兎のように怯えながらも顔を上げる。
「だ・・・」
少女は、震える声を絞り出す。
「旦那様。これからどうぞよろしくお願い致します」
着物に着替えている最中に看護師に教わった言葉をなぞるように言う。
アメノは、猛禽類のような目をきつく細める。
「旦那様・・?」
アメノは、彼女の発した言葉を繰り返す。
不機嫌そうに。
少女の顔の顔が青ざめる。
失敗した。
恐怖が少女の心を支配する。
しかし、アメノが怒りの目を向けたのは少女にではなくリンツにであった。
「お前が変なこと言うからこいつが真似したろう」
そう言って拗ねた子どものように唇を尖らせる。
そのあまりに子どもっぽい仕草に少女は目を丸くする。
「その風体で王子様となんて呼べないっすよ。紅玉の勇者様ならともかく」
リンツは、肩を竦める。
「普通に名前で呼べ!」
「今更、もう無理っすー!」
リンツは、可愛らしく舌を出す。
アメノは、悔しげに歯を噛み締め、半眼でリンツを睨みながら少女に向き直る。
2人の言い合いに少女は、きょとんっとする。
その様子から感じられるのは単なる顔見知りではなくそれ以上の親密な、父たる白竜の王とその仲間の関係とも違う親近感のようなものが感じられた。
「着物は苦しくないか?」
顔は、不機嫌そうなのにこの言葉には優しさが滲んでいた。
少女は、驚きつつも頷く。
「はいっ。着心地と言うのでしょうか?とても良いです」
「そうか」
アメノは、安心したような息を吐く。
「それなら手足の傷も隠れるし良いかと思ってな」
少女は、目を大きく開き、両手を見る。
暗黒竜に噛みちぎられた枷のような傷跡は着物の袖で見事に隠れていた。
リンツと看護師もアメノの意図に気付き、ああっと納得する。
「この国の女子の衣服はよく分からなくてな。祖国の物を用意させてもらった」
そう言って照れくさそうに頬を掻く。
「名前は?」
「へっ?」
少女は、間の抜けた声を上げる。
「お前の名前は何という?」
「名前・・・」
少女は、戸惑いながらも口に出す。
「娘・・・我が子と・・父からは呼ばれてました」
少女の言葉に3人は目を見合わせる。
「ああっなるほど・・・」
「人ならざる者に固有の名前は必要ありませんものね」
混じり者の2人は思わず納得する。
アメノは、眉根を寄せる。
「・・・好きな言葉はあるか?」
「好きな・・言葉でございますか?」
アメノは、頷く。
「名前がないのは不便だからな。お前の好きな言葉でも物でもいいからとりあえずの名前にしよう」
言葉・・・。好きな物・・・。
(雪・・空・・お花・・お父様・・)
脳裏に浮かぶ好きなもの。
しかし、そのどれもを思い出す度に暗黒竜達に虐げられた記憶が蘇り、苦しくなる。
少女は表情を青ざめ、襟を握りしめる。
「ございません・・」
少女は、小さな声で言う。
「好きな言葉もございません。旦那様のお好きな言葉でお呼びください」
そう言って頭を下げる。
アメノは、猛禽類のような目を細める。
「分かった」
アメノは、小さく息を吐く。
「後でゆっくり考えるとしよう」
そう言って少女に背を向ける。
「そろそろ出発する」
アメノは、看護師を見る。
「他に必要な手続きはありますか?」
急に丁寧語で話しかけられた看護師は露骨に驚いた顔をする。
「ごっございません。どうぞお気をつけて」
看護師は、深々と頭を下げる。
アメノは、再び少女に向き直る。
「・・・正面口で待つ」
そう言うと少女の横を通り過ぎ、食堂の入り口に向かう。
「畏まりました。旦那様」
少女は、アメノの背中に頭を下げる。
アメノの足が止まる。
「アメノだ」
アメノは、不機嫌に言う。
少女は、目を大きく開く。
「俺を呼ぶ時はアメノだ。それ以外は認めん」
そう言って食堂から出ていった。
少女は、驚きながらもその背中を視線で追う。
その背中と誰かの背中が重なり、心臓が小さく鳴った。
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