美化係の聖女様

しずもり

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ガーナの街にて

病気の対処法

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座っているリカルドさんの後ろに立つと、両肩にそっと手を置いた私は黒いモヤを払うような仕草をしながら『綺麗になれ~。』と念じた。

リカルドさんの頭から肩にかけて、黒いモヤがまだ少し残っていたんだよね。流石にお店の壁の様に、洗剤で拭き上げる訳にはいかないから、気持ち的には黒いモヤを埃を払う感じでダメ元でやってみる。

この黒いモヤが残っている内は、よくならない気がするから。


けど、二人からしてみれば、結構怪しい動きだったよね。またも『何してるの?』みたいな目で見られてしまったのは仕方がない。


「え~と、肩こりした時とかに、握り拳を作って肩を叩いたりしがちですが、これは間違ったやり方になるんです。

どうしても叩きたい場合は、手のひらを開いた状態で、こんな感じで強すぎない力加減でやってみて下さい。」


お手本を見せながらやってみたけど、この動きでさっきの怪しい動きは誤魔化せたかな。


「え、握り拳じゃダメだったの?」


ルーナさんが少し驚いていた。

そうなんだよね。肩たたきというと、つい握り拳で叩くイメージがあるけど実はよくないんだよね。あと、揉むのも。


「実はそうなんですよ。揉むのもあまり良くないそうなんです。なので今やったやり方や、揉むのではなくて、こんな感じで摩るようにしてみて下さい。

それで四十肩の治し方ですが、簡単な体操をしたり、痛みを少しでも和らげるように日常生活にも工夫が必要になります。」


「「日常生活の工夫?」」


また二人の言葉が重なる。確かに治療とは関係無さそうで驚くよね。


「はい。痛む腕の方で重い物を持たないのは勿論、なるべく肩を冷やさないようにして下さい。
体操をする前にも肩を温めてからやった方が効果もあると思います。」

そう言いながら、カイロやサポーターを思い浮かべるけど、この世界ではたぶん無いよね。

温石とか?でも腰回りとかなら腹巻きに似たような物はありそうだけど、肩は難しいよね。包帯で固定するのも大変そうだしなぁ。蒸しタオルはすぐに冷めてしまいそうだし。

肩を温める良い方法は無いかなぁ。


「あの、リカルドさんは料理人という事は、火魔法が使えるのですか?」


アサド村のジャックさんを思い出しながら聞いてみる。


「ん、あぁ、一応な。」


四十肩の治療の話をしていたのに、急に魔法の話になってリカルドさんは少し面食らっている。


「えーと、そうしたら例えば、手のひらに魔力を集めて少し体温を少し上げる、とか出来ませんかね?

若しくは保温が効く布とか薬草とかは有りませんか?」


「手のひらに魔力を集めて体温を上げる?そんな事やろうと思った事も無いな。」


やっぱりそうか~。お風呂とかサウナが有れば良かったんだけどねぇ。


「そうですか。体を冷やさないようにするだけでなくて、なるべく肩を温めるようにすると良いのですが。

一人では難しいかも知れませんが、包帯や布を巻いたりして肩を少しでも温めるようにしてみて下さい。

それと、寝る時は肩の下にクッションやタオルなど置いて、肩と肘を支える様にして下さい。肘はクッションなどを間に挟むようにして支えます。」


とりあえず日常生活の工夫から説明してみる。


「それで体操ですが、鋭い痛みがある場合は無理に動かすと悪化する可能性があります。そういう時は無理せず『おじぎ体操』をやって下さい。

今、お手本を見せますね。

手をこんな風にだらりと下げたまま、おじぎ、えーと、頭を下げながら上半身だけ前に倒すような、こんな感じをと言うのですが、ゆっくりとおじぎを深くしていって、痛みを感じたところで1~2秒止めて、身体を元に戻します。

この動作を10回ぐらい続けて行って下さい。これがおじぎ体操です。」


「・・・そんな簡単な運動でいいのか?」


リカルドさんが拍子抜けしたような顔をしている。

まぁ、そうなんだよね。他の体操もそうなんだけど、簡単なんだけど地味な動きなんだよ。


「そう思いますよねぇ。でもちょっと実際にやってみて下さい。」

そう言ってリカルドさんにやってみるように促してみる。リカルドさんは怪訝そうな顔をしながら立ち上がると、私の真似をしておじぎをしてみた。


普通の人がこの動作をするなら、本当になんて事のないんだろうけれど、リカルドさんはやっぱり少し体を下げただけで顔を顰めている。


「鋭い痛みがある時に出来る体操がコレなんです。痛みを我慢して無理に他の体操をしても余計に痛くなるので気をつけて下さい。

他には硬くなった肩まわりをほぐす体操や振り子体操などがあるので、やってみますね。」

そう言って、私が四十肩について知っている知識や体操を全てリカルドさんたちに説明した。

「・・・なんだか、効果があるのかはよく分からないけど、地味というか、簡単な体操だねぇ。」


思わず、といった感じで口を開いたのはルーナさんだった。

確かに体操というには大した動きのあるものでは無いんだよねぇ。


ルーナさんでさえ、そう言ってしまうのだから、当事者のリカルドさんからしたら納得出来ないかも知れない。


そう思ってリカルドさんを見てみれば、意外にも不満そうな顔をしておらず、何か考え事をしているような表情をしていた。

そして私の視線に気付いたのか?私を見てすぐに視線を逸らした後に

「まぁ、どうせ、今は何もしてねぇんだ。暇潰しにやってみる、、、。」

気まずそうに小さな声でそう言って、プイっと横を向いてしまった。


散々、態度悪く接していたから気まずいのかも知れないな。


「はい、無理せず朝昼晩にやってみて下さい。」

「お、おぅ。」

リカルドさんはぶっきらぼうに返事をしていたけれど、取り敢えず、黒いモヤも消えているし、少しは気持ちが落ち着いてくれるといいな。


リカルドさんの態度にルーナさんはホッとしたのか少し涙ぐんでいた。

リカルドさんが少しでも前向きになってくれたのが嬉しかったのかも。

すぐに効果は出ないかも知れないけれど、これをキッカケにリカルドさんが物事を前向きに考えられるようになるといいなと強く思った。
















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