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1万文字以内短編
おじさんを誘拐します(約10分 男1女1)
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ジャンル【コメディ・ハートフル】
配役 2名
おじさん(見た目怖そうだけど根は優しい)
幼女(天真爛漫)
○公園からスーパーへ向かう道
幼女:「じぃぃ~っ……」
おじさん:「……あ?」
幼女:「わたしは誘拐犯だぞ」
おじさん:「……はぁ?」
幼女:「これから、おじさんを誘拐するの!」
おじさん:「………あのなぁ嬢ちゃん。遊んで欲しいのかもしれねぇが、そんな物騒な遊びをするもんじゃねぇぞ。おじさん今からスーパーに行くのよ。あっちでお友達と健全なプニキュラごっこでもしてきなさい」
幼女:「誘拐なの! おじさんは誘拐されたんだから、そんな自由に動いてちゃだめなの~!」
おじさん:「おいおい、ついて来んなって…変な目で見られるだろうが。どっか行け。しっしっ」
幼女:「誘拐犯はそんなカンタンに解放してあげないの!」
おじさん「だあぁ~、もうめんどくせぇなぁ、おいしょっと!」
幼女:「ぎゃ! はなせヘンタイ~! 誘拐犯を持ち上げるなぁ~!」
○公園
おじさん:「はい着地。公園に戻って来ましたよ。暗くならないうちにおうちに帰りな」
幼女:「もぉ~っ! ……なんで、…なんでうまくいかないの…?」
おじさん:「あのなぁ……んなもん上手くいってどうすんだよ」
幼女:「ちっちゃい子誘拐したら、遊んでくれるんだと思われて喜ばれちゃうし、おねえさん誘拐したら、かわいいわねぇ~ってほのぼのされちゃうし……もうおじさんしかいないと思っておじさん誘拐しても、また失敗しちゃう……」
おじさん:「…おじさんを何だと思ってるんだ。とにかく、これ以上お前さんと一緒にいるとおじさんおまわりさんに捕まっちゃうから。もうバイバイな」
幼女:「……ぐすっ、……ぐす…っ」
おじさん:「………んぁ?」
幼女:「うわああああああああああん!」
おじさん:「うおおおおい泣くな! 俺が泣かせてると思われるだろ! あ! これ違うんですよ! なんか勝手に泣き出して!」
幼女:「(泣き続ける)」
おじさん:「どうすりゃいいんだよぉ~!」
幼女:「(泣き続ける)」
○公園からスーパーへ向かう道
幼女:「キャハハ、すごーい! たかーい!」
おじさん:「…これ、ちゃんと親子に見えてんのかね? 親戚のおっさんとかでもいいけど。頼むから変質者とだけは間違えないでくれよ~?」
幼女:「おじさん背高いね! パパの肩車よりたかーい!」
おじさん:「なぁ嬢ちゃんよ。おじさんほんとにもうスーパーに卵買いに行かねぇとさ。カミさんにぶっ殺されんのよ。怖ぇんだからなウチのカミさんは」
幼女:「えー! だめだよぉ! 誘拐されてる人がスーパーに卵買いに行くなんて聞いたことないもん」
おじさんN:『……コイツは何で、そんなに誘拐にこだわるんだ? うちにも同じ年頃の娘がいるが、こんな遊びしてんの見たことねぇし、よその子供らだって、こんなことしねぇよな?』
おじさん:「なぁ、お前さん今日お友達と一緒じゃねぇのか? 学校はどうした? 休校日か?」
幼女:「………」
おじさん:「?」
幼女:「学校……逃げてきた」
おじさん:「……? ……はぁっ!? おい、今何て言った?」
幼女:「逃げて来ちゃったから、もしかしたら、みんな探してるかもしれない」
おじさんN:『なんてこった! 学校抜け出してきた幼女をおっさんが肩車してんのか!? 完全に俺誘拐犯だろ!!』
おじさん:「探してるかもしれないじゃねぇだろ! みんな心配してるぞアホ! このまま交番行くからな! 逃げんじゃねぇぞ!」
幼女:「! だ、だめ! おまわりさんに捕まったら、誘拐犯はおしまいなの~!」
おじさん:「その前におじさんがおしまいだろうが~!」
幼女:「……わ、わかった。もうやめる。もうおじさんを誘拐するのやめるから。……だからおまわりさんのとこ行く前に、ひとつだけ、別のおねがいを聞いて?」
おじさん:「何だよ別のお願いって。俺が捕まらないうちに早く言え」
幼女:「……今だけ、わたしを誘拐した気持ちになって、……誘拐するの、どんな気持ちだか教えて?」
おじさん:「………は?」
幼女:「わたしね、誘拐犯さんの気持ちが知りたかったの」
おじさん:「誘拐犯の気持ち…?」
幼女:「わたし、1回だけ誘拐されそうになったことがあるの」
おじさん:「………」
幼女:「知らないお兄さんがね、声かけてきたの……『寂しい』って」
おじさん:「寂しい……?」
幼女:「お兄さん、お友達もいなくて、家族もいなくて、お家に帰ってもひとりぼっちで寂しいって。オトナなのに、泣きそうな顔してわたしに言うの」
おじさん:「………」
幼女:「だからね、わたしがお友達になってあげるって言ったの! そしたらお兄さんすごく嬉しそうでね、わたしも嬉しかった!」
おじさん:「………」
幼女:「それで、これからお兄さんのお家に行こうって、車に乗せてもらうところでね、お友達のママが凄い顔で『警察呼びますよ!』って叫びながら走って来たの」
おじさん:「…! …それで、どうなったんだ…?」
幼女:「お兄さんは、車に乗ってどこかに行っちゃった。おばちゃんは車のナンバーを覚えるのを忘れちゃったって言ってて、電話はしてたけど、捕まえてくれるかどうかわからないって、心配そうにしてた」
おじさん:「そっか……」
幼女:「お兄さん、ね」
おじさん:「ん?」
幼女:「お兄さん、警察呼びますよって言われた時……ううん、つないでたわたしの手が離れた時ね、……すごく、悲しそうな顔してたの」
おじさん:「………」
幼女:「おばちゃんにも、ママにもパパにも先生にも、すっごく怒られちゃった。学校に行ったら、『誘拐されそうになったノロマな子』ってバカにされて、誘拐犯さんのせいでいっぱい嫌な思いしたんだけどね、……でも、それでも誘拐犯のお兄さんのこと、キライになれなかったの。お兄さんが最後になんであんな悲しい顔をしてたのか、ずっとずっと知りたかったの」
おじさん:「おまえ……まさかそれで………」
幼女:「おじさんごめんなさい。わたしが誘拐犯さんになってみたら、お兄さんの気持ちがわかるかなって思って。…でもわからなかったよ。おじさんと遊んで楽しかったって気持ちしか、わたしにはなかったんだもん」
おじさん:「……そうか」
幼女:「ねえおじさん、さっきのお願い覚えてるよね? わたしの代わりに誘拐犯の気持ちになって、どんなだったか教えてって言ったの」
おじさん:「……悪ぃが嬢ちゃん。お前さんにも、俺にも、そのお兄さんの気持ちをわかってやることは、きっと出来ねぇ」
幼女:「なんで?」
おじさん:「それはな、俺にも、お前にも、待っててくれる人がいて、帰れるおうちがあるからだ」
幼女:「………」
おじさん:「だからあんまりみんなに心配かけんじゃねぇ。わかったらおじさんと交番行くぞ。途中でアイスぐらい買ってやる」
幼女:「……うん。わかった!」
○帰路
おじさんN:『あ~、全くどうなることかと思ったぜ。すぐに迎えも来るみてぇだし、あの嬢ちゃんのことはもう心配ねぇだろう。……俺が誘拐犯と間違われたりしてないか、そっちの方は心配だけどよ』
おじさん:「あ~、遅くなっちまったな! 早く卵買って帰らねぇと、怖いカミさんにぶっ殺されちまう。今日は子供らの大好物のオムライスなんだから、卵がなきゃ始まんねぇもんな!」
END
配役 2名
おじさん(見た目怖そうだけど根は優しい)
幼女(天真爛漫)
○公園からスーパーへ向かう道
幼女:「じぃぃ~っ……」
おじさん:「……あ?」
幼女:「わたしは誘拐犯だぞ」
おじさん:「……はぁ?」
幼女:「これから、おじさんを誘拐するの!」
おじさん:「………あのなぁ嬢ちゃん。遊んで欲しいのかもしれねぇが、そんな物騒な遊びをするもんじゃねぇぞ。おじさん今からスーパーに行くのよ。あっちでお友達と健全なプニキュラごっこでもしてきなさい」
幼女:「誘拐なの! おじさんは誘拐されたんだから、そんな自由に動いてちゃだめなの~!」
おじさん:「おいおい、ついて来んなって…変な目で見られるだろうが。どっか行け。しっしっ」
幼女:「誘拐犯はそんなカンタンに解放してあげないの!」
おじさん「だあぁ~、もうめんどくせぇなぁ、おいしょっと!」
幼女:「ぎゃ! はなせヘンタイ~! 誘拐犯を持ち上げるなぁ~!」
○公園
おじさん:「はい着地。公園に戻って来ましたよ。暗くならないうちにおうちに帰りな」
幼女:「もぉ~っ! ……なんで、…なんでうまくいかないの…?」
おじさん:「あのなぁ……んなもん上手くいってどうすんだよ」
幼女:「ちっちゃい子誘拐したら、遊んでくれるんだと思われて喜ばれちゃうし、おねえさん誘拐したら、かわいいわねぇ~ってほのぼのされちゃうし……もうおじさんしかいないと思っておじさん誘拐しても、また失敗しちゃう……」
おじさん:「…おじさんを何だと思ってるんだ。とにかく、これ以上お前さんと一緒にいるとおじさんおまわりさんに捕まっちゃうから。もうバイバイな」
幼女:「……ぐすっ、……ぐす…っ」
おじさん:「………んぁ?」
幼女:「うわああああああああああん!」
おじさん:「うおおおおい泣くな! 俺が泣かせてると思われるだろ! あ! これ違うんですよ! なんか勝手に泣き出して!」
幼女:「(泣き続ける)」
おじさん:「どうすりゃいいんだよぉ~!」
幼女:「(泣き続ける)」
○公園からスーパーへ向かう道
幼女:「キャハハ、すごーい! たかーい!」
おじさん:「…これ、ちゃんと親子に見えてんのかね? 親戚のおっさんとかでもいいけど。頼むから変質者とだけは間違えないでくれよ~?」
幼女:「おじさん背高いね! パパの肩車よりたかーい!」
おじさん:「なぁ嬢ちゃんよ。おじさんほんとにもうスーパーに卵買いに行かねぇとさ。カミさんにぶっ殺されんのよ。怖ぇんだからなウチのカミさんは」
幼女:「えー! だめだよぉ! 誘拐されてる人がスーパーに卵買いに行くなんて聞いたことないもん」
おじさんN:『……コイツは何で、そんなに誘拐にこだわるんだ? うちにも同じ年頃の娘がいるが、こんな遊びしてんの見たことねぇし、よその子供らだって、こんなことしねぇよな?』
おじさん:「なぁ、お前さん今日お友達と一緒じゃねぇのか? 学校はどうした? 休校日か?」
幼女:「………」
おじさん:「?」
幼女:「学校……逃げてきた」
おじさん:「……? ……はぁっ!? おい、今何て言った?」
幼女:「逃げて来ちゃったから、もしかしたら、みんな探してるかもしれない」
おじさんN:『なんてこった! 学校抜け出してきた幼女をおっさんが肩車してんのか!? 完全に俺誘拐犯だろ!!』
おじさん:「探してるかもしれないじゃねぇだろ! みんな心配してるぞアホ! このまま交番行くからな! 逃げんじゃねぇぞ!」
幼女:「! だ、だめ! おまわりさんに捕まったら、誘拐犯はおしまいなの~!」
おじさん:「その前におじさんがおしまいだろうが~!」
幼女:「……わ、わかった。もうやめる。もうおじさんを誘拐するのやめるから。……だからおまわりさんのとこ行く前に、ひとつだけ、別のおねがいを聞いて?」
おじさん:「何だよ別のお願いって。俺が捕まらないうちに早く言え」
幼女:「……今だけ、わたしを誘拐した気持ちになって、……誘拐するの、どんな気持ちだか教えて?」
おじさん:「………は?」
幼女:「わたしね、誘拐犯さんの気持ちが知りたかったの」
おじさん:「誘拐犯の気持ち…?」
幼女:「わたし、1回だけ誘拐されそうになったことがあるの」
おじさん:「………」
幼女:「知らないお兄さんがね、声かけてきたの……『寂しい』って」
おじさん:「寂しい……?」
幼女:「お兄さん、お友達もいなくて、家族もいなくて、お家に帰ってもひとりぼっちで寂しいって。オトナなのに、泣きそうな顔してわたしに言うの」
おじさん:「………」
幼女:「だからね、わたしがお友達になってあげるって言ったの! そしたらお兄さんすごく嬉しそうでね、わたしも嬉しかった!」
おじさん:「………」
幼女:「それで、これからお兄さんのお家に行こうって、車に乗せてもらうところでね、お友達のママが凄い顔で『警察呼びますよ!』って叫びながら走って来たの」
おじさん:「…! …それで、どうなったんだ…?」
幼女:「お兄さんは、車に乗ってどこかに行っちゃった。おばちゃんは車のナンバーを覚えるのを忘れちゃったって言ってて、電話はしてたけど、捕まえてくれるかどうかわからないって、心配そうにしてた」
おじさん:「そっか……」
幼女:「お兄さん、ね」
おじさん:「ん?」
幼女:「お兄さん、警察呼びますよって言われた時……ううん、つないでたわたしの手が離れた時ね、……すごく、悲しそうな顔してたの」
おじさん:「………」
幼女:「おばちゃんにも、ママにもパパにも先生にも、すっごく怒られちゃった。学校に行ったら、『誘拐されそうになったノロマな子』ってバカにされて、誘拐犯さんのせいでいっぱい嫌な思いしたんだけどね、……でも、それでも誘拐犯のお兄さんのこと、キライになれなかったの。お兄さんが最後になんであんな悲しい顔をしてたのか、ずっとずっと知りたかったの」
おじさん:「おまえ……まさかそれで………」
幼女:「おじさんごめんなさい。わたしが誘拐犯さんになってみたら、お兄さんの気持ちがわかるかなって思って。…でもわからなかったよ。おじさんと遊んで楽しかったって気持ちしか、わたしにはなかったんだもん」
おじさん:「……そうか」
幼女:「ねえおじさん、さっきのお願い覚えてるよね? わたしの代わりに誘拐犯の気持ちになって、どんなだったか教えてって言ったの」
おじさん:「……悪ぃが嬢ちゃん。お前さんにも、俺にも、そのお兄さんの気持ちをわかってやることは、きっと出来ねぇ」
幼女:「なんで?」
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幼女:「………」
おじさん:「だからあんまりみんなに心配かけんじゃねぇ。わかったらおじさんと交番行くぞ。途中でアイスぐらい買ってやる」
幼女:「……うん。わかった!」
○帰路
おじさんN:『あ~、全くどうなることかと思ったぜ。すぐに迎えも来るみてぇだし、あの嬢ちゃんのことはもう心配ねぇだろう。……俺が誘拐犯と間違われたりしてないか、そっちの方は心配だけどよ』
おじさん:「あ~、遅くなっちまったな! 早く卵買って帰らねぇと、怖いカミさんにぶっ殺されちまう。今日は子供らの大好物のオムライスなんだから、卵がなきゃ始まんねぇもんな!」
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