楽園異能力者

那月いくら

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2章 能力者だけの街

6話

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後から彼らに聞いてわかったことがあった。まず最初に、この街には、ランクに応じて、寮が変わるらしい。

ランクの低い人が住む寮を順番に言っていくと、
白夜寮びゃくやりょう紫苑寮しおんりょう新緑寮しんりょくりょう青空寮あおぞらりょう銀翼寮ぎんよくりょう金星寮きんせいりょうの6つになる。

ランクとは、楽園が見定めるステラの強さの事を表す。 

この街では、ランクが全ての実力主義。そのため、ランク制度というのもある。ランク制度は、衣食住の全てに適応されている。だから、ランクが低いと何かと不便になる。 

ランクは、3Sトリプルエス2SダブルエスSエス、A、B、C、D、E、F、G、H、I の12に分けられている。最高ランクは、3Sで、最低ランクが I になる。
ちなみに私は、Dランクになる。入ってきたばかりにしては、少し高いランクだったためか、琉乃愛は、不審に思った。 

他にも、この街には、学校、大人のステラが住む村、ショッピングモールなどがある。 

「こんなに言われても、まだ分からないと思うけど、慣れると以外に楽しいよ。」私は、彼らの話を聞いていくうちに、楽園での初めての友人になれそうだと確信した。

 その晩、この寮の管理者である湯川ゆかわさんと顔合わせ兼明日の連絡事項をした。

 さっきも言った通り、楽園には、学校がある。学校は、小・中・高・大学の一貫校だ。その名は、「Infinityインフィニティ学園」。
 学校は、この街に1つしかないため、広大な敷地を利用して設立されている。
  
 管理人さんの話によると、明日、私は、そこに向かわないといけないみたいだった。


ー 朝 ー

 「お姉ちゃん!起きて!朝ごはん一緒に食べよ~!」寝ている私の上に、飛び乗っていたのは、この寮、最年少の暁狩魔あかつきかるまくんだった。まだ4歳なのに、ステラをコントロールできていることに、私は、驚きを隠せなかった。
 「じゃあ、かるまくん。ご飯食べに行くとしますか~。」琉乃愛は、パジャマ姿を後にし、広場までかるまと手を繋いで向かったのだ。広場には、学校の制服を来た子達が、既に食事をしていた。かるまもよく見れば、制服姿だった。

 食事を済ませた子は、次々に寮を出て向かって行く中、琉乃愛は、どうしたらいいか戸惑っていた。「琉乃愛は、今日、学校に行かないといけないのだろう?道が分からないなら、僕と一緒に行かない?」話しかけてきたのは、昨日の彼だった。琉乃愛は、男の子と一緒に登校するのに、少し恥ずかしさを感じたが、彼の優しさに答えずには居られなかった。

 登校中思ったことがあった。街並みは、東京と全く違っていた。あちらこちらに、小さいお店があったり、大人のステラが住む家がたっていた。
 私は、改めて別の世界に足を踏み入れたのだと思った。
 
「そういえば、君の名前…知らないのだけれど…」琉乃愛は、親切にしてもらった恩から、こんな発言をするのは、いささか恥ずかしいと思いつつ彼に問いかけた。
  「あ!そうだった。僕、君の名前だけ聞いて、名前名乗ってなかった。えーと。僕は、Infinity学園の中等部1年、黒須樺音くろすかばねです。炎を自由自在に扱うことが出来る"フレーム"のステラ、ランクは、Dです。」彼は、顔に負けず、ステラも強そうだった。それにしたら私は、何の役にも立たなさそうな力だし、力のコントロールも上手くできない。正直、彼のことが少しうらやましく思った。
 
 ようやく学校に着いたようだ。私は、学校を一目見て、呆気に取られた。
 琉乃愛が驚くのは、無理もない。この学校は、普通の学校の10倍の大きさだったからだ。
 
 学校についてからは、彼と一旦別れて、私は、指定された場所に向かった。
 「学園長室…ここか。」琉乃愛は、ドアをノックした。「はい。どうぞ。」返ってきた返事は、少し、低音の声だった。琉乃愛は、ドアを開け、中に入ったのだ。そこに居たのは、20~30代半ばの男だった。(ここにいるってことは、学園長ってことだよね?)そう思いながら、男に近づいた。
 「どうやら、私を学園長だと信じていないようだな。」
 ーー!!私は、驚きを隠せずにいた。
 「私は、この学園の学園長、藍原譲あいはらゆずる、人の心を読むことが出来る"心読みテレパス"のステラと、第2のステラ、歳を取らず死ぬことも無い"不老不死インモータル"を持っている。」学園長と言うだけあって、ステラもステラのコントロールも、息をするかのように扱っていた。
 「今日は、君の学園入学手続きについての話をするために、呼んだのだよ。」私には、話すことなどないと思っていたけど、学園長は違うようだった。
 「さて、君には、明日から学園に通ってもらうことになっている。そのための制服も一応渡しておこう。」そう言って渡された制服は、真新しく、みんなと同じものだった。ついでに渡された学園仕様の鞄は、見たことのない作りのものだった。「あの…この鞄って…」驚きを隠せない私は、つい聞いてしまったのだ。「学園仕様の鞄は、普通の鞄と違ってステラで作られている。ついでに作りを説明すると、この鞄は、空間を操る"次元ディメンション"のステラと、重さを操る"重力グラヴィティ"のステラが協力して作ったものだ。だから、いくら道具を入れても軽くして持ち運べるのだよ。」学園長は、驚いていた私に分かるように丁寧に説明してくれた。
 そのあとの話は、1年ごとの教育課程、学園でのランク制度について話した。
 「この学園は、初等部7年制、中等部3年制、高等部3年制、大学院2年制の構成で成り立っている。初等部は、例外だ。初等部は、3~7歳の子も通えるように、3~7歳の子達は1年生、8歳から2年生ということになる。ちなみに、初等部以外は、実力があれば、飛び級も認められている。まぁそれはいいとして、君のクラスは、これに書いてある。明日、遅れずそこに向かうこと。いいね?」 あれよこれよで渡された紙には、「中等部1年B組」しか書いてなかった。
 
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