楽園異能力者

那月いくら

文字の大きさ
上 下
8 / 28
2章 能力者だけの街

7話

しおりを挟む
 学園長との話が終わって帰宅するところだった。校門には、樺音がたっていて、琉乃愛を待っていたのだ。樺音は、琉乃愛が来たのがわかった瞬間、子供のようにはしゃいで手を振っていた。2人は、寮への帰り道の途中、WALL街ウォールがいに寄り道をしたのだ。
  WALL街ウォールがいというのは、ショッピングモールを中心に、沢山のお店が建ち並んでいて、ちょっとした都会のようなところだ。ここに来れば、手に入らないものなんてひとつもない。
 当然、お金は、必要だけど、外の世界のお金は使えないようになっている。
 その代わり、楽園が支給してくれる専用コイン"Leafリーフ"がある。
 Leafも、ランク制度で貰える量が変わってくる。だいたい、1Leafで100円くらいで、月に貰える額は、
 ランク 
     3S    =    65Leaf      D   =    35Leaf
     2S    =    60Leaf       E    =    30Leaf
      S     =    55Leaf       F    =    25Leaf
      A     =    50Leaf       G   =    20Leaf
      B     =    45Leaf       H   =    15Leaf
      C     =    40Leaf        I    =    10Leaf
    となる。
   なので、買えるものも限られてくる。
 
 WALL街で楽しんだふたりは、門限の8時をすぎて寮に帰ったので、反省室で管理人さんに怒られたのであった。部屋を出た2人は、ほっとして廊下を歩いていると、誰かにぶつかったのだ。私は、慌てて離れたのだが、そこにたっていたのは、この寮の監督生だった。名前は確か、南奏音みなみかのん、高等部2年だったと思う。彼女が2人に向ける顔は、いつもの優しい顔ではなかった。2人は、彼女の顔を見て察したのか、足を1歩後ろに引いて逃げようとしたが、制服の後ろ襟をつかまれて、捕まったのだ。
 

「はぁー。」2人は、やっと、監督生の説教から解放されたのだ。
 
 監督生と言うだけあって、規律には、厳しいらしい。いつもは、優しい人だが、今日のような怖い顔は見たことがなかったのだ。2人とも、今回が初めてだったので、ちゃんと反省していたようだ。 

「ごめんね。僕のせいで。」どうやら、彼は、迷惑をかけたことに責任を感じているようだ。「私こそ、ごめん…なさい」「大丈夫。次回から気をつければいいんだから。」彼は、自分のことより、私のことを気にかけてくれていた。

 
ー 初登校日 ー

 6 : 00
 今日は、初登校の日だ。私は、鏡の前で着慣れない、真新しい制服を来て見せた。そこに映っていたのは、Infinity学園の制服を着た自分だった。

 私は、朝ごはんを食べるため、鞄を手に、部屋を後にした。

 (ちょっと早すぎたかも)広場には、誰一人としていなかったのだ。私は、いつもの席について、みんなを待つことにした。

 6 : 30
 あちらこちらで目覚まし時計のベルがなって、支度を済ませた子から、広場に集まってきた。 
 全員が揃ってようやく、朝ごはんを食べ始めたのだ。

「琉乃愛~!」朝ごはんを済ませた時だった。彼女の名前を呼んだのは、樺音だ。昨日のように、一緒に登校してくれるそうだ。

 学園に着いた私は、まず、自分が入るクラスの担任に会うため、職員室に向かった。職員室は、どこの学校も同じようだ。
 
 「あのー。中等部1年B組の担任の先生ですよね?今日からこの学園に入学することになった、鹿島琉乃愛です。これからよろしくお願いします。」「あ!こちらこそ。僕は、中等部1年B組担任、松嶋楓まつしまかえでです。ものを操ることが出来る"念力サイコキネシスのステラを持っている。」私が呼びかけた先生は、優しそうに見えた。でも喋り方から見て、誠実で真っ直ぐな性格をしてそうだった。
 
 
 「皆、今日は新入生がいます。」私は、先生の合図で教室のドアを開け、入っていった。みんなの視線が私に注がれていたけど、その中に、樺音がいたのだ。樺音は、皆にバレないよう手を振ってくれていた。「今日からこの学園に入学することになった、鹿島琉乃愛かしまるのあです。ランクは、Dで、ありとあらゆる物をまとめることが出来る"圧縮コンパクトのステラです。これからよろしくお願いします!」皆、物珍しそうに琉乃愛を見て、ざわついていたが、先生の一言で静かになったのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

Xa 〜イクサ〜

霜月麗華
ファンタジー
 この茨城の土地には、超能力者なる者が住む大きな街がある。その街では毎日事件が起きていた。強盗に、殺人、テロレベルの事件。犯罪超能力者を抑えるには、超能力者同士でぶつけ合うしかない。

幻贖のランプ 〜抗進する者たち〜

@panope
ファンタジー
共生する動物と共に生きるために体に宿る力。 同族はそれを"幻贖の力"と呼ぶ。 そんな力を持ちながらも、異能を宿さない者たちから身を隠し、生きてきた者たちがいた。 彼らは少数の仲間と共に、ひっそりと時を刻んできた。 幼い頃に両親を失った18歳の少女、パニー。 ある日、彼女は異能を持たない者たちが暮らす外の世界へ踏み出すことを決意する。 亡くなったとされる両親の生存を信じ、大好きな故郷の発展を願う。 ただひたむきに"幸せ"を追い求める彼女。 そんな、パニーの”幸せの叶え方”とは――。

妻がヌードモデルになる日

矢木羽研
大衆娯楽
男性画家のヌードモデルになりたい。妻にそう切り出された夫の動揺と受容を書いてみました。

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

処理中です...