陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

136君

文字の大きさ
489 / 774
アケボノ

ルスツ⑭

しおりを挟む
『うおおおおぉぉぉ!すっげえええぇぇぇぇ!』

俺たちを乗せたゴンドラは上に上がっていく。その度に見える景色は変わっていき、そして言葉では表しきれないほどの絶景になっていた。足元には真っ白い世界が広がっていて、スキー客もたまにいる程度。後ろを見たらそびえる羊蹄山と澄んだ空のコラボ。

 ゴンドラ内では写真の撮影会が始まっている。

「賀屋、こっちヤバいぞ。」
「どんなん?うお!すっげえ!」
「カレンもこっち見ろって。」
「ちょっと待て…こっち見ろ!はいチーズ!」

カレンが自撮り棒を伸ばして、俺たちがその画角に収まる。傷だらけになった窓から少し覗く羊蹄山をバックに俺たちは写真を撮った。

「由良は今日はスマホ持ってきてるんだな。」
「天気予報見とったら今日は晴れやったから。これは撮らなあかんやろ。あと昨日あんなこと言ってたし。」

俺の頭の中に蘇るのは昨日のイントラの人の言葉。

(あれよりもすごい景色って、これ以上?)

目の前の景色を超えるものを俺は知らない。けど、このゴンドラに乗る人があんなにいるってことは、相当な景色があるってことだ。

「終点見えてきたで。」

白野のその言葉でスマホを直し始める。そして外していたヘルメットやその他諸々を装着して出る準備をする。

 ゴンドラから降りると気圧の差を肌で感じた。

「こっちこーい!」

そう言うイントラの人について行くと、そこには今までの絶景の概念が崩れてしまうほどの風景があった。

「………」

誰も何も言わない。が、板をそこにおいて、ストックを雪に突き刺して、手袋を置き、ポケットからスマホを取り出していた。

 ちなみにスキー中にスマホを使うのはルールで禁止されている。だから、一応はホテルに置いてきておくことになっている。

 でも、そんなルールがあるのに、先生がいないことの確認をせず、スマホを取り出していた。

「俺、今スマホバレてもいいわ。本望や。」
『それな!』

カレンのその言葉に全員が同意した。そしてあちこちに走り回って、写真を撮る。電波塔をバックにした羊蹄山や、崖ギリギリに立って綺麗に見える洞爺湖。澄んだ空。樹氷。そして、

「集合写真撮ろうや。スキー1班の集合写真。」
「ええなそれ。」
「イントラの人にも入ってもらお。」

賀屋が走ってイントラの人を呼びに行って、画角を決める。やはりこれは羊蹄山バックだろう。

「連れてきたで。」

しばらくすると賀屋が帰ってきて、後ろにイントラの人を連れていた。

「誰のスマホで撮る?」
「やっぱり一番画質良い奴のやろ。」
「じゃあ俺のやな。」

疋田が手を挙げるその手に握りしめられていたのは、最近発売されたばっかのスマホだった。

「それで撮ろ。誰か撮ってくれそうな人…Excuse me?Could you please take a photo of us?」

カレンが近くにいた外国人のお兄さんに話しかける。すると撮ってくれるようで、スマホを渡してこっちに戻ってきた。

「ジャアトリマスネー。ハイチーズ!」

微かなシャッター音が聞こえ、そしてお兄さんは手でOKを作った。

『Thank you!』
「Your welcome!」

スマホをカレンに返すと、お兄さんは近くにいたグループの人の所に滑っていった。

「後で送ってな。」
「俺もよろ!」
「頼んだで。」

俺たちももうそろそろ行かないといけない。またここには戻ってくることになるだろうから、また撮ろう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

クラスで1番の美少女のことが好きなのに、なぜかクラスで3番目に可愛い子に絡まれる

グミ食べたい
青春
高校一年生の高居宙は、クラスで一番の美少女・一ノ瀬雫に一目惚れし、片想い中。 彼女と仲良くなりたい一心で高校生活を送っていた……はずだった。 だが、なぜか隣の席の女子、三間坂雪が頻繁に絡んでくる。 容姿は良いが、距離感が近く、からかってくる厄介な存在――のはずだった。 「一ノ瀬さんのこと、好きなんでしょ? 手伝ってあげる」 そう言って始まったのは、恋の応援か、それとも別の何かか。 これは、一ノ瀬雫への恋をきっかけに始まる、 高居宙と三間坂雪の、少し騒がしくて少し甘い学園ラブコメディ。

学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。

たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】 『み、見えるの?』 「見えるかと言われると……ギリ見えない……」 『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』  ◆◆◆  仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。  劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。  ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。  後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。  尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。    また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。  尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……    霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。  3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。  愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー! ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

処理中です...