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第十六章 最終学年
31、父に夏休みの相談
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上野和枝から夏休みの旅行の打診があったその夕飯に父に相談することにした。
「お父さん、お話があるんですが。」
「ん?どうしたんだい?」
「女学校のお友達の別荘が館山にあって一緒に過ごさないかってお誘いがあって。」
「櫻は行きたいの?」
「はい。行ってみたいです。」
「なら、ぜひ行ってみるべきだね。」
「いいんですか?」
「うん。館山は実は僕の思い出もあるからね。」
「え?」
「夏は百貨店がかきいれどきだろ。だから、今までほとんど家族と旅行なんて行かなかったんだ。でも、櫻に昔の家族の話をするのは良くないかな?」
「いえ、聞きたいです。」
「あるとき、八月の下旬に全館点検があるからって百貨店が休みになってね。娘たちもまだ10歳とかだったしね。」
「それで館山に?」
「縁あって、そこにお得意さんが旅館を開いていて、ぜひ泊まりに来て欲しいと言われていたんだ。」
「そうだったんですか。」
「ちょうど、花火の日でね。」
「私が行く日も花火のようです。」
「それはいい。海岸から上がる花火は本当にいいものだよ。」
「お父さんにとって大切な思い出の地なんですね。」
「うん、こんなこと言うと櫻は嫌かもしれないけど、櫻とも行ってみたいよ。」
「いえ、嬉しいです。でも、中々お休み取れないですよね。」
「ああ、でも、日帰りならお休みが取れそうなんだ。近くで行けそうな横浜など行ってみようか?」
「え?いいんですか?」
「だって家族だろ?」
「大切なお休みを。」
「大切な休みは家族と過ごしたいよ。」
「私、夏休みが楽しみです。」
「今まで、櫻は働きすぎたんだね。」
「でも、今の働いているところは楽しいところが多いです。」
「君が楽しそうにしているとすごくいいよ。」
「そうですか?」
「たくさん、思い出ができるといいね。」
「でも、勉強もしなきゃですね。」
「ああ。そういえば、ノア先生だけでいいのかい?家庭教師は?」
「それって?」
「個人教授をつけることもできるよ。」
「そうなんですか?」
「自分では勉強が及ばない部分はそうした方がいい。」
「だったら、そうしたいです。でも、どうしたら?」
「ああ、会合で知り合った友人に家庭教師を派遣している人がいるんだ。その友人に相談してみるよ。」
「何から何までありがとうございます。」
「家族なんだから、そんなふうに思わなくていいんだよ。」
「え?」
「当たり前っていう顔していいんだよ。」
「でも、嬉しくて。」
「なら、そのままでいいよ。櫻は櫻のままで。」
櫻は夏休みの予定が増えたことと、家庭教師が来てくれることと本当に父に感謝した。
たとえ、家族であっても感謝を言うことは重要だと再度思うのであった。
「お父さん、お話があるんですが。」
「ん?どうしたんだい?」
「女学校のお友達の別荘が館山にあって一緒に過ごさないかってお誘いがあって。」
「櫻は行きたいの?」
「はい。行ってみたいです。」
「なら、ぜひ行ってみるべきだね。」
「いいんですか?」
「うん。館山は実は僕の思い出もあるからね。」
「え?」
「夏は百貨店がかきいれどきだろ。だから、今までほとんど家族と旅行なんて行かなかったんだ。でも、櫻に昔の家族の話をするのは良くないかな?」
「いえ、聞きたいです。」
「あるとき、八月の下旬に全館点検があるからって百貨店が休みになってね。娘たちもまだ10歳とかだったしね。」
「それで館山に?」
「縁あって、そこにお得意さんが旅館を開いていて、ぜひ泊まりに来て欲しいと言われていたんだ。」
「そうだったんですか。」
「ちょうど、花火の日でね。」
「私が行く日も花火のようです。」
「それはいい。海岸から上がる花火は本当にいいものだよ。」
「お父さんにとって大切な思い出の地なんですね。」
「うん、こんなこと言うと櫻は嫌かもしれないけど、櫻とも行ってみたいよ。」
「いえ、嬉しいです。でも、中々お休み取れないですよね。」
「ああ、でも、日帰りならお休みが取れそうなんだ。近くで行けそうな横浜など行ってみようか?」
「え?いいんですか?」
「だって家族だろ?」
「大切なお休みを。」
「大切な休みは家族と過ごしたいよ。」
「私、夏休みが楽しみです。」
「今まで、櫻は働きすぎたんだね。」
「でも、今の働いているところは楽しいところが多いです。」
「君が楽しそうにしているとすごくいいよ。」
「そうですか?」
「たくさん、思い出ができるといいね。」
「でも、勉強もしなきゃですね。」
「ああ。そういえば、ノア先生だけでいいのかい?家庭教師は?」
「それって?」
「個人教授をつけることもできるよ。」
「そうなんですか?」
「自分では勉強が及ばない部分はそうした方がいい。」
「だったら、そうしたいです。でも、どうしたら?」
「ああ、会合で知り合った友人に家庭教師を派遣している人がいるんだ。その友人に相談してみるよ。」
「何から何までありがとうございます。」
「家族なんだから、そんなふうに思わなくていいんだよ。」
「え?」
「当たり前っていう顔していいんだよ。」
「でも、嬉しくて。」
「なら、そのままでいいよ。櫻は櫻のままで。」
櫻は夏休みの予定が増えたことと、家庭教師が来てくれることと本当に父に感謝した。
たとえ、家族であっても感謝を言うことは重要だと再度思うのであった。
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