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西野夫婦、暗躍
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「ねえ、北村君。あの子とまだ番ってないわよね?」
講義の後、西野は北村拓海をつかまえた。
蜂谷君と北村君が別れて安心したのだろう。
吉田花梨は聴講生を辞め、大学に姿を見せないようになっていた。
「番ってないよ。妊娠中はヒートにならないし、そもそも抱く気もないし。」
「良かったわ。結婚の話はどんな進捗なの?」
「直ぐに籍を入れて、結婚するよう初めは言われてたんだけど……。俺が渋ったからかな?父さんが大学卒業してから、って。」
「そう。良かったわ。」
兄さんの話を、和泉大臣は聞いてくれたのね。
西野は身を乗り出して、小声で続けた。
「吉田花梨は、肉体関係を持つようなアルファの男がいたわ。正月くらいに捨てられたみたい。本人は恋人のつもりだったようだけど、セフレよね。」
「………えっ?」
「あなた、はめられたのよ。」
「………そうか。」
俺は蜜璃を裏切っていなかった。
安心するとともに、花梨に怒りを覚える。
もはや、幼なじみの情さえ湧く気がしなかった。
「いい?あいつはヤバイ女よ。今は、結婚や番になるのを、のらりくらり躱して。遺伝子検査は拒否するだろうし……、最終的には必要になるかもしれないけど、それの根回しはあなたのお父さんや蜂谷君のお父さんがやってくれる。下手にまた蜂谷君に会ったら、蜂谷君に何をするかわからないから。」
「ありがとう。」
西野がいて、良かった。
「社長。話って……。」
氷室は事務所の社長に呼び出しを受けていた。
中に入ると、神妙な顔をした自分のマネージャーと社長がソファに座っている。
それに向かい合うように。
「西野プロデューサー!」
「まあ、まずは座りなさい。」
マネージャーと社長の間に挟まれて、プロデューサーと向かい合うように腰掛ける。
「吉田花梨が妊娠した。彼女は、君に捨てられて、幼なじみを嵌めた。君との子を彼との子と偽って。状況を聞くに、薬を盛って寝てる間に、彼に襲われたように偽装したようだ。」
「ちょっと待ってください!俺と彼女は………」
「君の体から濃厚な彼女のフェロモンが匂っていたけど?俺は上位アルファだよ?間違えないよ。………そうそう、俺の妻は彼女や彼女の幼なじみの彼と同じ大学の同級生なんだよ。こないだ、彼女本人に会ったしね。」
逃げられない。
カエルを睨む蛇のように、西野健吾は目を光らせた。
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「良かったわ。結婚の話はどんな進捗なの?」
「直ぐに籍を入れて、結婚するよう初めは言われてたんだけど……。俺が渋ったからかな?父さんが大学卒業してから、って。」
「そう。良かったわ。」
兄さんの話を、和泉大臣は聞いてくれたのね。
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「吉田花梨は、肉体関係を持つようなアルファの男がいたわ。正月くらいに捨てられたみたい。本人は恋人のつもりだったようだけど、セフレよね。」
「………えっ?」
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「………そうか。」
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安心するとともに、花梨に怒りを覚える。
もはや、幼なじみの情さえ湧く気がしなかった。
「いい?あいつはヤバイ女よ。今は、結婚や番になるのを、のらりくらり躱して。遺伝子検査は拒否するだろうし……、最終的には必要になるかもしれないけど、それの根回しはあなたのお父さんや蜂谷君のお父さんがやってくれる。下手にまた蜂谷君に会ったら、蜂谷君に何をするかわからないから。」
「ありがとう。」
西野がいて、良かった。
「社長。話って……。」
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それに向かい合うように。
「西野プロデューサー!」
「まあ、まずは座りなさい。」
マネージャーと社長の間に挟まれて、プロデューサーと向かい合うように腰掛ける。
「吉田花梨が妊娠した。彼女は、君に捨てられて、幼なじみを嵌めた。君との子を彼との子と偽って。状況を聞くに、薬を盛って寝てる間に、彼に襲われたように偽装したようだ。」
「ちょっと待ってください!俺と彼女は………」
「君の体から濃厚な彼女のフェロモンが匂っていたけど?俺は上位アルファだよ?間違えないよ。………そうそう、俺の妻は彼女や彼女の幼なじみの彼と同じ大学の同級生なんだよ。こないだ、彼女本人に会ったしね。」
逃げられない。
カエルを睨む蛇のように、西野健吾は目を光らせた。
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