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第一章 始まりの館
Chapter107 味噌の使い道
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ドアプレートは完成に時間が掛かるので、仕上がるまでは四角いドアプレートに番号を書いてドアに付けておく事にした。
夕方頃に、紙商人のヘルベンが厚紙を届けに来てくれた。
紙はミシン部屋に置いた。
ヘルベンはついでに夕食を食べていく。
「噂通りに美味いよ!」
「ふふ、ありがとうございます」
アルシャインは笑って料理をする。
宿泊客も食事をする中で、みんなで交代で食事を摂る。
「メニューさ…黒板だと見づらく無いかな」とリナメイシー。
「多くなったもんね」とアルベルティーナ。
「何かいい方法は無いかな…一目でメニューが見れるような」とルベルジュノー。
「例えば?」とレオリアム。
4人はうーんと唸る。
「カササギ亭は紙のメニュー表を見せてたな」
カシアンが言いながらハンバーガーを手にして座る。
「みんなが一目で分かって注文出来るのがいいんだよ」とレオリアム。
今の黒板のメニューは大きくて見やすいが、バラバラとした感じだ。
交代でリュカシオンとルーベンスが座り、リナメイシーとアルベルティーナが抜ける。
「メニュー?木札にしたらどうだい?」
穀物倉でアルシャインとグリーンティーについて話し込んでいたミルコがふいに言う。
「木札?」
みんなが首をかしげる。
「ん?知らない?均等な大きさの木にメニューを書いて、壁に掛けるんだ」
「え、書いてみてくれません?」
アルシャインが興味津々に万年筆とノートを差し出す。
するとミルコは考えなら書いていく。
「こんな風に…壁に釘でね、並べるんだよ。無いメニューはすぐに外せるし、付け足すのも簡単だよ。…黒板なら鉄で出来てるから木札の裏にマグネットを着けるといいよ。確か、この国だと魔石でもそんなのがあったな…」
「これなら見やすく出来そう!見てみて!」
アルシャインがみんなにノートを見せる。
「これなら綺麗に並べられるね!」とレオリアム。
「これいいじゃん!」とルベルジュノー。
「文字はマスターが書いた方がいいね」とノアセルジオ。
「磁石かぁ…壁に貼り付ければ増やせるし…まずは明日、廃材置き場でも見に行くか」
そうカシアンが言い、みんなで賛成した。
「あ、それとミルコさん」
アルシャインが料理の本と味噌の壷を手にして側に行く。
「この中には味噌を使った料理が無くて…何かありませんか?」
「味噌はね…そうだなー…。魚の味噌焼き、味噌和えに味噌スープ…田楽……ソースとして扱うのもいいよ。味噌と生姜で魚を煮込んだり、肉と野菜を白ワインと味噌で和えてみたり、酒と砂糖とみりんで甘辛くして餅…団子とかに掛けたり。ゴマやクルミとかナッツを混ぜても美味いし…」
言っているとみんなが集まっていた。
アルシャインとルーベンスはメモを取っている。
「詳しく教えて下さい!」
アルシャインを筆頭にみんなが言うと、ミルコは苦笑してグリーンティーのカゴを置く。
「……その…知っているレシピでいいかな…?」
そう聞くとコクコクと頷かれたので、ミルコは忙しいキッチンには立たずに、ノートにレシピを書いた。
そして、味噌ダレを穀物倉で作ってみてアルシャインに渡す。
アルシャインは小さなスプーンに付けて舐めてみる。
「んん…!なんだかまろやかな感じ!とれどれ…」
オススメされた食べ方は田楽と団子。
まずは茹でた大根を一つ付けて食べてみる。
「ん、美味しい!ジュワッと口の中に大根の味と甘辛い味噌ダレが交ざってよく合うわ!サラダにしか合わないと思ってたのに!」
アルシャインの言葉にみんながドキドキする。
自分も早く食べてみたいが、今はディナーで忙しい。
お客さんまでみている中で、ミルコが違う味噌ダレを渡す。
「これは砂糖の代わりに蜂蜜を入れた物だよ。焼け目が付くまで団子を焼いて、付けてごらん」
「蜂蜜を……」
アルシャインがドキドキしながらフォークで焼いた団子を刺して、その味噌ダレに付けて食べてみる。
「んー!この味噌ダレ美味しい!そんなにしょっぱくないし、クセになるわ!」
アルシャインは言いながら近くに居たフィナアリスとルーベンスとアルベルティーナにも食べさせる。
「んん、いい!」とルーベンス。
「美味しいわ!」とフィナアリス。
「うん美味しい!」とアルベルティーナ。
横からカシアンが来てつまみ食いをする。
「こりゃいいな!疲れた時にはちょうどいいや!」
「ずるい!」
クリストフとメルヒオールとティナジゼルもやってきてつまみ食いをした。
「これ新しい味ね!ナージィ好きよ!」とティナジゼル。
「僕もこれ好き!今から追加?」とクリストフ。
「なんて書くの?ミソ団子?」とメルヒオール。
「団子のトコにミソを書き足そう…値段は?」
同じくつまみ食いをしたルベルジュノーが聞く。
「えっと…これから醤油と味噌を定期的に仕入れるなら、25Gにしたらどうかな?」
ミルコが言うので、レオリアムが黒板に
ミソ団子 25G
と書いた。
「醤油は3百、味噌は4百だからね」
そうミルコが言うと、アルシャインは目を丸くする。
「高いんですね!」
「でも一瓶だからね。一気には無くならないだろう?…茶葉のついでに届けるようにしようか?腕の良い醤油屋と味噌屋を連れてくるよ?」
「いいんですか?」
「もちろん。…何日か掛かるけど、まだ大丈夫だよね?」
「はい!いつでも大丈夫です!」
「じゃあ、また…味噌煮込みとかのレシピはなるべく細かく書いていたから!」
そう言ってミルコは帰っていった。
途端にお客さん達がミソ団子を注文する。
「持ち帰りは出来るか?」
そうコーヒー豆屋のマティオに聞かれて、ノアセルジオはアルシャインを見る。
「今日中に食べて下さいね~?」
「分かった!」
答えてマティオは持ち帰りを頼む。
「ミソ団子を一個だけで味見したい!」
祈りながらミュージ売りのコルマンが言うと、近所に住む男性もコクコクと頷く。
「……えー…あ!なら味見したいお客さんを5人集めればいいのよ!そしたら一人5Gになるし!」
アルベルティーナがパンと手を叩いて笑って言うと、コルマンとその男性は他の客3人と分け合う事にした。
「うん、このしょっぱさはいいな!」
「あ、こんな味なのか!」
「ん、ミソ団子追加で!」
「あー…みたらしの方が好きだな」
「なる程~、こりゃ酒に合いそうだ!」
5人はそれぞれに言って、一人前の代金とチップを払った。
「後のみんなも食べてね~」
ティナジゼルがミソ団子のお皿を手にして、まだ食べていない皿洗いや野菜切りをしているリュカシオンやリナメイシーなどに食べさせた。
お客さんもまばらになって、ちょうどベアトリスがマリアンナと降りてきたので、アルシャインはピアノを弾く。
「やあおはよう!私は蝶々!君の名前は?」
「え?」
きょとんとするベアトリスにマリアンナが笑いかけてお手本に答える。
「あたしはアンヌよ」
「え…あ…ヴェーチェ…」
「アンヌとヴェーチェ!一緒に海のハイビスカスまでお散歩しよう♪」
アルシャインはそう言葉遊びをする。
マリアンナはベアトリスを座らせて言う。
「これはね、アイシャママが毎日やってる言葉遊びなの。今日は蝶々がハイビスカスの蜜を吸いに行くみたい。いつも違う動物とかが出るのよ」
そう説明をすると、ベアトリスはじーっとアルシャインを見つめる。
「ヒラヒラ飛んで、ガーベラで休憩だ♪お友達がやってきたよ?」
「蜜を吸う友達ならミツバチだね」とレオリアム。
「ミツバチさんおはよう!この蜜は甘いね♪さあ出発だ…おや、大きなお友達が木の陰から出てきたよ?」
「きっとキツネだよ。海にいるアザラシに会いに行くんだ!」
そう笑顔でクリストフが言う。
「キツネさんおはよう!そっか、アザラシさんに…じゃあ一緒に行こう♪海までお散歩、キツネさんとお散歩♪空から誰かが降りてきたよ!」
「コマドリ!多分ね、海で待ち合わせなんだけど、キツネの背中で休みたいの」とティナジゼル。
「コマドリさんおはよう!おや、道の上に誰か居るよ?」
「…アレだ、みんなのランチを持ったガゼルだよ」とリュカシオン。
「やあガゼルさんありがとう!みんなでランチにしよう!蝶々さんのランチは何かな?」
「パンジー!きっと甘いよ!」とリナメイシー。
「じゃあキツネさんのランチは?」
「あー…ボニートのフライ!」とルーベンス。
「うんうん、コマドリさんのランチは~?」
「そこにあるボーロ!美味しそうだもん!」
そうベアトリスが答えたので、みんなが微笑む。
「うんいいね♪さあ、お腹もいっぱい、出発だ!海までは一本道!みんなで砂浜を目指そう♪」
「ハイビスカス見えた?」
お客さんが帰るのを見てアルベルティーナが聞く。
「あったよ、ハイビスカス!キツネさんもアザラシさんに会えたね♪後でみんなで遊ぼうね~♪また後で♪」
そう締めてアルシャインはピアノをやめて、片付けに移る。
「さあ、片付けましょう」
「はーい」
答えてみんなが掃除に移る。
アルシャインはカシアンとノアセルジオに見回りを任せてベアトリスの側に行く。
「はい、ヴェーチェ」
そう言って四分の一にしたボーロを小皿で渡す。
「今はこれで我慢してね。明日はもっと食べられるようになるわ」
そう言うと、ベアトリスはコクッと頷いて少しずつ食べる。
「明日は煮魚を作ってみない?」
アルベルティーナが聞くと、アルシャインは笑って頷く。
「いいわね!煮魚は醤油と味噌で試しましょうか」
「野菜と角ウサギの味噌炒めもやろうよ!あのレシピ気になる!」
ルーベンスも言うと、フィナアリスもやってくる。
「それなら醤油とショウガで作るのも気になるわ!」
「使い道が一気に広がったわね!明日が楽しみだわ」
アルシャインは笑ってレシピをみんなと見ていた。
寝る前に、アルシャインはカバンを取り出してベアトリスに見せた。
「これはね、私のお母様が寄付して下さった物なの。好きな手鏡とブラシとポーチを選んでね」
「…選んでどうするの?」
ベアトリスはきょとんとしている。
「あなたの物になるのよ。…嫌?」
そう聞くとベアトリスはブンブンと首を振って笑顔になる。
「イヤじゃない!…わあキレイ…」
ベアトリスは目を輝かせて選んでいた。
夕方頃に、紙商人のヘルベンが厚紙を届けに来てくれた。
紙はミシン部屋に置いた。
ヘルベンはついでに夕食を食べていく。
「噂通りに美味いよ!」
「ふふ、ありがとうございます」
アルシャインは笑って料理をする。
宿泊客も食事をする中で、みんなで交代で食事を摂る。
「メニューさ…黒板だと見づらく無いかな」とリナメイシー。
「多くなったもんね」とアルベルティーナ。
「何かいい方法は無いかな…一目でメニューが見れるような」とルベルジュノー。
「例えば?」とレオリアム。
4人はうーんと唸る。
「カササギ亭は紙のメニュー表を見せてたな」
カシアンが言いながらハンバーガーを手にして座る。
「みんなが一目で分かって注文出来るのがいいんだよ」とレオリアム。
今の黒板のメニューは大きくて見やすいが、バラバラとした感じだ。
交代でリュカシオンとルーベンスが座り、リナメイシーとアルベルティーナが抜ける。
「メニュー?木札にしたらどうだい?」
穀物倉でアルシャインとグリーンティーについて話し込んでいたミルコがふいに言う。
「木札?」
みんなが首をかしげる。
「ん?知らない?均等な大きさの木にメニューを書いて、壁に掛けるんだ」
「え、書いてみてくれません?」
アルシャインが興味津々に万年筆とノートを差し出す。
するとミルコは考えなら書いていく。
「こんな風に…壁に釘でね、並べるんだよ。無いメニューはすぐに外せるし、付け足すのも簡単だよ。…黒板なら鉄で出来てるから木札の裏にマグネットを着けるといいよ。確か、この国だと魔石でもそんなのがあったな…」
「これなら見やすく出来そう!見てみて!」
アルシャインがみんなにノートを見せる。
「これなら綺麗に並べられるね!」とレオリアム。
「これいいじゃん!」とルベルジュノー。
「文字はマスターが書いた方がいいね」とノアセルジオ。
「磁石かぁ…壁に貼り付ければ増やせるし…まずは明日、廃材置き場でも見に行くか」
そうカシアンが言い、みんなで賛成した。
「あ、それとミルコさん」
アルシャインが料理の本と味噌の壷を手にして側に行く。
「この中には味噌を使った料理が無くて…何かありませんか?」
「味噌はね…そうだなー…。魚の味噌焼き、味噌和えに味噌スープ…田楽……ソースとして扱うのもいいよ。味噌と生姜で魚を煮込んだり、肉と野菜を白ワインと味噌で和えてみたり、酒と砂糖とみりんで甘辛くして餅…団子とかに掛けたり。ゴマやクルミとかナッツを混ぜても美味いし…」
言っているとみんなが集まっていた。
アルシャインとルーベンスはメモを取っている。
「詳しく教えて下さい!」
アルシャインを筆頭にみんなが言うと、ミルコは苦笑してグリーンティーのカゴを置く。
「……その…知っているレシピでいいかな…?」
そう聞くとコクコクと頷かれたので、ミルコは忙しいキッチンには立たずに、ノートにレシピを書いた。
そして、味噌ダレを穀物倉で作ってみてアルシャインに渡す。
アルシャインは小さなスプーンに付けて舐めてみる。
「んん…!なんだかまろやかな感じ!とれどれ…」
オススメされた食べ方は田楽と団子。
まずは茹でた大根を一つ付けて食べてみる。
「ん、美味しい!ジュワッと口の中に大根の味と甘辛い味噌ダレが交ざってよく合うわ!サラダにしか合わないと思ってたのに!」
アルシャインの言葉にみんながドキドキする。
自分も早く食べてみたいが、今はディナーで忙しい。
お客さんまでみている中で、ミルコが違う味噌ダレを渡す。
「これは砂糖の代わりに蜂蜜を入れた物だよ。焼け目が付くまで団子を焼いて、付けてごらん」
「蜂蜜を……」
アルシャインがドキドキしながらフォークで焼いた団子を刺して、その味噌ダレに付けて食べてみる。
「んー!この味噌ダレ美味しい!そんなにしょっぱくないし、クセになるわ!」
アルシャインは言いながら近くに居たフィナアリスとルーベンスとアルベルティーナにも食べさせる。
「んん、いい!」とルーベンス。
「美味しいわ!」とフィナアリス。
「うん美味しい!」とアルベルティーナ。
横からカシアンが来てつまみ食いをする。
「こりゃいいな!疲れた時にはちょうどいいや!」
「ずるい!」
クリストフとメルヒオールとティナジゼルもやってきてつまみ食いをした。
「これ新しい味ね!ナージィ好きよ!」とティナジゼル。
「僕もこれ好き!今から追加?」とクリストフ。
「なんて書くの?ミソ団子?」とメルヒオール。
「団子のトコにミソを書き足そう…値段は?」
同じくつまみ食いをしたルベルジュノーが聞く。
「えっと…これから醤油と味噌を定期的に仕入れるなら、25Gにしたらどうかな?」
ミルコが言うので、レオリアムが黒板に
ミソ団子 25G
と書いた。
「醤油は3百、味噌は4百だからね」
そうミルコが言うと、アルシャインは目を丸くする。
「高いんですね!」
「でも一瓶だからね。一気には無くならないだろう?…茶葉のついでに届けるようにしようか?腕の良い醤油屋と味噌屋を連れてくるよ?」
「いいんですか?」
「もちろん。…何日か掛かるけど、まだ大丈夫だよね?」
「はい!いつでも大丈夫です!」
「じゃあ、また…味噌煮込みとかのレシピはなるべく細かく書いていたから!」
そう言ってミルコは帰っていった。
途端にお客さん達がミソ団子を注文する。
「持ち帰りは出来るか?」
そうコーヒー豆屋のマティオに聞かれて、ノアセルジオはアルシャインを見る。
「今日中に食べて下さいね~?」
「分かった!」
答えてマティオは持ち帰りを頼む。
「ミソ団子を一個だけで味見したい!」
祈りながらミュージ売りのコルマンが言うと、近所に住む男性もコクコクと頷く。
「……えー…あ!なら味見したいお客さんを5人集めればいいのよ!そしたら一人5Gになるし!」
アルベルティーナがパンと手を叩いて笑って言うと、コルマンとその男性は他の客3人と分け合う事にした。
「うん、このしょっぱさはいいな!」
「あ、こんな味なのか!」
「ん、ミソ団子追加で!」
「あー…みたらしの方が好きだな」
「なる程~、こりゃ酒に合いそうだ!」
5人はそれぞれに言って、一人前の代金とチップを払った。
「後のみんなも食べてね~」
ティナジゼルがミソ団子のお皿を手にして、まだ食べていない皿洗いや野菜切りをしているリュカシオンやリナメイシーなどに食べさせた。
お客さんもまばらになって、ちょうどベアトリスがマリアンナと降りてきたので、アルシャインはピアノを弾く。
「やあおはよう!私は蝶々!君の名前は?」
「え?」
きょとんとするベアトリスにマリアンナが笑いかけてお手本に答える。
「あたしはアンヌよ」
「え…あ…ヴェーチェ…」
「アンヌとヴェーチェ!一緒に海のハイビスカスまでお散歩しよう♪」
アルシャインはそう言葉遊びをする。
マリアンナはベアトリスを座らせて言う。
「これはね、アイシャママが毎日やってる言葉遊びなの。今日は蝶々がハイビスカスの蜜を吸いに行くみたい。いつも違う動物とかが出るのよ」
そう説明をすると、ベアトリスはじーっとアルシャインを見つめる。
「ヒラヒラ飛んで、ガーベラで休憩だ♪お友達がやってきたよ?」
「蜜を吸う友達ならミツバチだね」とレオリアム。
「ミツバチさんおはよう!この蜜は甘いね♪さあ出発だ…おや、大きなお友達が木の陰から出てきたよ?」
「きっとキツネだよ。海にいるアザラシに会いに行くんだ!」
そう笑顔でクリストフが言う。
「キツネさんおはよう!そっか、アザラシさんに…じゃあ一緒に行こう♪海までお散歩、キツネさんとお散歩♪空から誰かが降りてきたよ!」
「コマドリ!多分ね、海で待ち合わせなんだけど、キツネの背中で休みたいの」とティナジゼル。
「コマドリさんおはよう!おや、道の上に誰か居るよ?」
「…アレだ、みんなのランチを持ったガゼルだよ」とリュカシオン。
「やあガゼルさんありがとう!みんなでランチにしよう!蝶々さんのランチは何かな?」
「パンジー!きっと甘いよ!」とリナメイシー。
「じゃあキツネさんのランチは?」
「あー…ボニートのフライ!」とルーベンス。
「うんうん、コマドリさんのランチは~?」
「そこにあるボーロ!美味しそうだもん!」
そうベアトリスが答えたので、みんなが微笑む。
「うんいいね♪さあ、お腹もいっぱい、出発だ!海までは一本道!みんなで砂浜を目指そう♪」
「ハイビスカス見えた?」
お客さんが帰るのを見てアルベルティーナが聞く。
「あったよ、ハイビスカス!キツネさんもアザラシさんに会えたね♪後でみんなで遊ぼうね~♪また後で♪」
そう締めてアルシャインはピアノをやめて、片付けに移る。
「さあ、片付けましょう」
「はーい」
答えてみんなが掃除に移る。
アルシャインはカシアンとノアセルジオに見回りを任せてベアトリスの側に行く。
「はい、ヴェーチェ」
そう言って四分の一にしたボーロを小皿で渡す。
「今はこれで我慢してね。明日はもっと食べられるようになるわ」
そう言うと、ベアトリスはコクッと頷いて少しずつ食べる。
「明日は煮魚を作ってみない?」
アルベルティーナが聞くと、アルシャインは笑って頷く。
「いいわね!煮魚は醤油と味噌で試しましょうか」
「野菜と角ウサギの味噌炒めもやろうよ!あのレシピ気になる!」
ルーベンスも言うと、フィナアリスもやってくる。
「それなら醤油とショウガで作るのも気になるわ!」
「使い道が一気に広がったわね!明日が楽しみだわ」
アルシャインは笑ってレシピをみんなと見ていた。
寝る前に、アルシャインはカバンを取り出してベアトリスに見せた。
「これはね、私のお母様が寄付して下さった物なの。好きな手鏡とブラシとポーチを選んでね」
「…選んでどうするの?」
ベアトリスはきょとんとしている。
「あなたの物になるのよ。…嫌?」
そう聞くとベアトリスはブンブンと首を振って笑顔になる。
「イヤじゃない!…わあキレイ…」
ベアトリスは目を輝かせて選んでいた。
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