284 / 2,091
闘技祭 決戦編
神器 〈ロッド〉
しおりを挟む
「おい、聞いているのか!!その杖を下ろせ……うわっ!?」
「近寄るな」
砲撃魔法を発動させた兵士に対して隊長が近づいた瞬間、兵士は杖を構えて隊長の顔面に構える。その光景に周囲の人間が驚きの声を上げ、レナも様子を伺う。
「ま、待て……落ち着け!!冷静になるんだ……俺は警備隊長だぞ!?」
「ふんっ……碌に警備も行えない無能が偉そうに抜かすな」
「そ、その声!!お前は……い、いや貴方様は!?」
「もういい、黙れ……アイスランス」
隊長は顔を兜で覆い隠している兵士の声を聞いて表情を変えた瞬間、兵士は水属性の砲撃魔法を発動させ、隊長の身体に冷気が襲い掛かる。その光景を目撃した観光客は悲鳴を上げ、兵士達も混乱する。
「きゃあああっ!?」
「や、やりやがった……!!」
「貴様!!隊長に何てことを!!」
「こいつを取り押さえろ!!」
見物していた観光客も慌ててその場を立ち去り、兵士達は隊長に攻撃を仕掛けた兵士に武器を構えるが、攻撃を仕掛けた本人は杖を確認しながら凍り付いた隊長に視線を向けて溜息を吐き出す。
「ふむ……神器というから期待してみたが、やはり私の力量では完全に使いこなせいか……これはどちらかというとスイの方が扱えるだろうな」
「……神器?」
兵士の呟きを耳にしたレナは「神器」という言葉を聞いて視線を鋭くさせ、七つの宝石が取り付けられた杖を握りしめる兵士と向かい合う。神器とは異世界から訪れた勇者が残した強力な魔道具であり、その力は聖剣には及ばずとも驚異的な魔道具である事は間違いなく、レナが普段は異空間に預けている「チェーン」も神器の一つである。
「おっと、流石に目立ち過ぎたかな……そろそろ終わらせるぞ」
「…………」
杖を自分に向けて構えてくる兵士に対し、レナは何処かで聞き覚えのある声だと気付く。そしてシズネを取り戻すために王妃の元へ訪れた際、彼女の傍で仕えていた青年を思い出す。
(確かシズネの話によると常に王妃の傍に仕えている奴の名前が「リク」とか言ってたけど……もしかしてこいつか?)
姿は兵士に変装しているが、声に関してはレナが王妃と初めて顔を合わせた時にも居合わせていた青年の声と同じであり、試しにレナはかまをかける。
「……王妃の犬か」
「何っ……!?」
王妃という単語をレナが口にした瞬間、兵士が一瞬だけ動揺したのを見逃さず、レナは相手の正体を「リク」と呼ばれる王妃の側近だと確信する。しかし、相手の名前が分かっただけで肝心のリクが何者なのかは分からず、シズネも常に王妃の傍で仕えている人間という情報しか持っていなかった。
『王妃に仕えている子供達はバルトロス王国の有力貴族達の跡取りで間違いないわ。だけど、子供の頃から親元を離れて王妃に育てられているから彼等の情報は殆ど出回っていないの。私も何度か顔を合わせた事はあるけど、それぞれがどんな力を持っているのかはまでは分からない』
『王妃が貴族の子供達を育てた理由は第一に有力貴族を絶対に逆らえないようにするためよ。大切な跡取りを預けた貴族達は王妃に歯向かう事は出来ない。そして第二の理由は王妃が自分を守護する存在を一から作り上げるためよ』
『貴族の子供とはいえ、王妃の傍に仕える子供達は一流の武芸者から戦闘指導を受けているはずよ。断定は出来ないけど、王国内でも相当な実力者に育っているでしょうね』
シズネの言葉を思い返し、レナは自分が相対した「アマネ」と呼ばれる少女を思い出す。彼女の場合は「未来視」と呼ばれる近い将来を見通す事が出来る能力を利用して待ち伏せや奇襲をレナに仕掛けており、もしもアイリスから情報を得ていなければレナも対応出来なかった可能性も高い。そして王妃の傍仕えを許されているリクという青年は年齢的には他の側近よりも一番上である事は間違いなく、他の者よりも王妃に仕えている期間が長い可能性が高い。
(能力が分からない敵ほど厄介な相手はいないな……こういう時にアイリスと交信出来たら情報も分かるのに)
仕方がない事とはいえ、レナはアイリスと交信出来ない事に内心溜息を吐く。いつもならばどんな問題に直面しようとアイリスと交信する事で最善の答えを導き出していたが、今回ばかりは彼女には頼れない。そのため、自分の力で状況を打開するためにレナはリクに攻撃を仕掛ける。
(まだ正体がばれていないようだけど、どうせ証拠を残さなければいいか……ここでぶっ倒す!!)
レナは右手に意識を集中させ、久方ぶりに「氷装剣」を発動させて氷塊の長剣を作り出す。その光景を目にした兵士達は驚愕の表情を浮かべ、リクも感心した風に呟く。
「へえ……氷の剣を作り出すとはね。君の正体が掴めてきたよ」
「ああ、そうかい!!」
氷塊の長剣を握りしめながらレナはリクに向けて駆け出し、相手が攻撃に移る前に攻撃を仕掛ける。しかし、そんなレナの動作を予測していたようにリクは杖を構えた。
「近寄るな」
砲撃魔法を発動させた兵士に対して隊長が近づいた瞬間、兵士は杖を構えて隊長の顔面に構える。その光景に周囲の人間が驚きの声を上げ、レナも様子を伺う。
「ま、待て……落ち着け!!冷静になるんだ……俺は警備隊長だぞ!?」
「ふんっ……碌に警備も行えない無能が偉そうに抜かすな」
「そ、その声!!お前は……い、いや貴方様は!?」
「もういい、黙れ……アイスランス」
隊長は顔を兜で覆い隠している兵士の声を聞いて表情を変えた瞬間、兵士は水属性の砲撃魔法を発動させ、隊長の身体に冷気が襲い掛かる。その光景を目撃した観光客は悲鳴を上げ、兵士達も混乱する。
「きゃあああっ!?」
「や、やりやがった……!!」
「貴様!!隊長に何てことを!!」
「こいつを取り押さえろ!!」
見物していた観光客も慌ててその場を立ち去り、兵士達は隊長に攻撃を仕掛けた兵士に武器を構えるが、攻撃を仕掛けた本人は杖を確認しながら凍り付いた隊長に視線を向けて溜息を吐き出す。
「ふむ……神器というから期待してみたが、やはり私の力量では完全に使いこなせいか……これはどちらかというとスイの方が扱えるだろうな」
「……神器?」
兵士の呟きを耳にしたレナは「神器」という言葉を聞いて視線を鋭くさせ、七つの宝石が取り付けられた杖を握りしめる兵士と向かい合う。神器とは異世界から訪れた勇者が残した強力な魔道具であり、その力は聖剣には及ばずとも驚異的な魔道具である事は間違いなく、レナが普段は異空間に預けている「チェーン」も神器の一つである。
「おっと、流石に目立ち過ぎたかな……そろそろ終わらせるぞ」
「…………」
杖を自分に向けて構えてくる兵士に対し、レナは何処かで聞き覚えのある声だと気付く。そしてシズネを取り戻すために王妃の元へ訪れた際、彼女の傍で仕えていた青年を思い出す。
(確かシズネの話によると常に王妃の傍に仕えている奴の名前が「リク」とか言ってたけど……もしかしてこいつか?)
姿は兵士に変装しているが、声に関してはレナが王妃と初めて顔を合わせた時にも居合わせていた青年の声と同じであり、試しにレナはかまをかける。
「……王妃の犬か」
「何っ……!?」
王妃という単語をレナが口にした瞬間、兵士が一瞬だけ動揺したのを見逃さず、レナは相手の正体を「リク」と呼ばれる王妃の側近だと確信する。しかし、相手の名前が分かっただけで肝心のリクが何者なのかは分からず、シズネも常に王妃の傍で仕えている人間という情報しか持っていなかった。
『王妃に仕えている子供達はバルトロス王国の有力貴族達の跡取りで間違いないわ。だけど、子供の頃から親元を離れて王妃に育てられているから彼等の情報は殆ど出回っていないの。私も何度か顔を合わせた事はあるけど、それぞれがどんな力を持っているのかはまでは分からない』
『王妃が貴族の子供達を育てた理由は第一に有力貴族を絶対に逆らえないようにするためよ。大切な跡取りを預けた貴族達は王妃に歯向かう事は出来ない。そして第二の理由は王妃が自分を守護する存在を一から作り上げるためよ』
『貴族の子供とはいえ、王妃の傍に仕える子供達は一流の武芸者から戦闘指導を受けているはずよ。断定は出来ないけど、王国内でも相当な実力者に育っているでしょうね』
シズネの言葉を思い返し、レナは自分が相対した「アマネ」と呼ばれる少女を思い出す。彼女の場合は「未来視」と呼ばれる近い将来を見通す事が出来る能力を利用して待ち伏せや奇襲をレナに仕掛けており、もしもアイリスから情報を得ていなければレナも対応出来なかった可能性も高い。そして王妃の傍仕えを許されているリクという青年は年齢的には他の側近よりも一番上である事は間違いなく、他の者よりも王妃に仕えている期間が長い可能性が高い。
(能力が分からない敵ほど厄介な相手はいないな……こういう時にアイリスと交信出来たら情報も分かるのに)
仕方がない事とはいえ、レナはアイリスと交信出来ない事に内心溜息を吐く。いつもならばどんな問題に直面しようとアイリスと交信する事で最善の答えを導き出していたが、今回ばかりは彼女には頼れない。そのため、自分の力で状況を打開するためにレナはリクに攻撃を仕掛ける。
(まだ正体がばれていないようだけど、どうせ証拠を残さなければいいか……ここでぶっ倒す!!)
レナは右手に意識を集中させ、久方ぶりに「氷装剣」を発動させて氷塊の長剣を作り出す。その光景を目にした兵士達は驚愕の表情を浮かべ、リクも感心した風に呟く。
「へえ……氷の剣を作り出すとはね。君の正体が掴めてきたよ」
「ああ、そうかい!!」
氷塊の長剣を握りしめながらレナはリクに向けて駆け出し、相手が攻撃に移る前に攻撃を仕掛ける。しかし、そんなレナの動作を予測していたようにリクは杖を構えた。
17
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。