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第52話『孫』
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タイトルを変更致しました。
ご了承下さい。
ユーカとヴェルが、水に浸かって身体を冷やしていると、ジャンが数人の戦士とみられる男たちとともに戻ってきた。
ジャンは、ユーカとヴェルが水遊びをしているのを見て、思わず自分も飛び込みそうになったが、なんとか思い留まった。
この土地に暮らしている獣族であっても、この暑さに慣れる事はないのだろう。
「お待たせしました。」
敢えてなにも聞かずに、ジャンはユーカとヴェルに話しかけた。
ユーカは水から上がって結界を解くと、ヴェルに戦闘態勢をとる様にアイコンタクトを送る。
「そんなに待ってないわ。」
ヴェルの態勢が整ったのを確認すると、ジャンの周りを取り囲む戦士をひとりずつぐるりと見渡してから、ジャンを真っ直ぐに見て応答した。
ユーカの返答の中にトゲがあるのを感じ取ったジャンは、申し訳なさそうな顔をしてユーカに謝意を述べる。
「すいません、色々と有りまして…。」
どうやら、ジャンが戦士を連れてきたのは本意ではないらしい。しかし、ユーカはヴェルに警戒を解かない様に合図を送り、不測の事態に対応できる様にした。
「許可は下りました。ついて来て下さい。」
ジャンはくるりとユーカとヴェルに背を向けると、そのまま、来た道を戻る様にして歩きはじめた。
ふたりはジャンを追って歩き出し、その周りを戦士たちが一定間隔で取り囲んだ。
「ちっ…。」
ヴェルは顔を顰めて不快感を隠す事なく表明すると、さらにまわりに聞こえる様に舌を打ち鳴らした。
しかし、戦士たちは怯むどころか、逆に緊張感を高め、警戒してしまった。
「ヴェル、抑えて。」
ユーカはヴェルの真意がなんとなく分かったので、戦士たちに警戒された事を咎めはしない。しかし、あまり良い方法とは思えなかったユーカは、ヴェルを宥めた。
「むぅ…。」
ヴェルは少し不服そうに唇を尖らせたが、それ以上は感情を表に出さない様に努めた。
「どうしたの?」
その様子に違和感を覚えたユーカは、ヴェルの本当に伝えたい事を読み取れない不甲斐なさに気を落としつつも、直接その事についてを尋ねる事にした。
しかしヴェルはそれには答えず、代わりにユーカの目をまっすぐと見つめ返した後に、視線を落とした。ヴェルが視線を向けた先には手があり、ヴェルはアイコンタクトで手の動きを見ろと伝えたかったらしい。
ユーカは小さく頷くと、誰にも悟られる事のないように、目だけを動かして盗み見る様にヴェルの手に視線を向けた。
ヴェルの手は、彼女の口の代わりに雄弁に語り、接近する対象が存在する事をユーカに伝える。
ユーカはまたも、小さく頷くとともに、気を引き締めて戦闘態勢を整えた。
獣族の戦士たちは、ジャンすらもその事に気付いている様子はなく、ユーカはつくづくヴェルの感知能力がずば抜けている事を痛感した。
その後もユーカは、隙を見てはヴェルの手元に視線を落とし、ヴェルが送り続けてくれている情報を手の動きから読み取った。
ユーカとヴェルがジャンを待っていた場所から、彼女たちの暮らしている村までは、それほど距離が離れているわけではなかったが、外部の人間に自分たちの住処がバレる事のない様に、慎重に用心を重ね合わせて、さらに神経質を出すほどの行程を踏んで、ユーカとヴェルのふたりを村まで招き入れるために、ぐるりと大きく遠回りをする様に村へと向かっていた。
そのため、出発してからかなりの時間が経っており、ヴェルが感知した対象による包囲網が、着実に形成されている。
「まだなの?」
露骨な遠回りも、ユーカの空間認識能力と記憶力の前では意味を成さず、最初の位置からの最短距離までも把握できていた。
さらには、ユーカが最も得意とする思考と云う術を封じる事は、誰であっても出来る事ではなく、長い遠回りのおかげでたっぷりと時間があるユーカは、周囲の地形まで観察し尽くし、攻め手が有利な地形や、守り手が有利な空間なども割り出していた。
「もうすぐです。」
ユーカの問いに応えたのはジャンだったが、ユーカの目線はヴェルの方へ向いていた。それと同時にヴェルが首を左右に振り、ユーカの意図を汲み取った様に口を開く。
「パッとせんの。」
ジャンはヴェルの発言が、自分の返答に対したものだと勘違いしているが、ユーカにはしっかりと伝わっていた。
「どれくらいの距離なのよ。」
ユーカは尚も、ジャンとの会話を隠れ蓑にしてヴェルから情報を得る。
「5分?」
「いえ…あと10分くらいはかかります。」
ユーカとヴェルは、ジャンとは意味を成さない会話を続けつつも、ふたりの間での情報のやり取りは着実に行われていた。
「認識が阻害されてるのかしら?」
獣族は欺かれ、ヴェルのみが反応を捉えられている以上、ユーカが考えられるのはそれくらいの事だけであった。
「確かに、反応がとても微弱じゃな。」
「えぇ、だからもう少し距離があるんです。」
ジャンはそろそろ違和感に気づきはじめたのか、すこし首を傾げる。
「よく拾えるわね。」
「我にしかムリじゃな。」
ジャンはハンドシグナルでユーカとヴェルを囲む戦士たちに合図を送り、歩みを止めた。
ジャンに合図を送られた兵士たちは、ユーカとヴェルに向けていた警戒を輪の外へと向け、周囲の気配を探り始める。
しかし、兵士の全員が首を横に振り、異変は感じられないとジャンに報告した。
「ヴェルさん、何か気配を感じ取ってはいませんか?」
ジャン自身も、何かを感じ取ることはできなかったので、兵士たちの意見に首を縦に振って同意を示してからヴェルに尋ねた。
「私たちが答えるメリットはあるの?」
ヴェルが応えるよりも早く、ユーカが割り込んでジャンに質問する。
「という事は、やはり何かを感知しているのですね。」
ジャンが瞬時に戦闘態勢を整える。
ユーカは、ヴェルが何かの反応を捉えている事を既にジャンも気付いていると考えていたので、特に隠す様な真似はしなかった。
「まぁの。」
ヴェルも得意げに鼻の下を指でこすり、感知能力の高さを自慢した。
「では、教えていただけますか?」
ヴェルが認めたので、もはや疑う余地のなくなったジャンは、ヴェルに情報の開示を求めた。
「情報料は?」
ヴェルはユーカの真似をする様に、ジャンに見返りを要求する。
「身の安全を保障します。」
「いらぬ。」
ヴェルはジャンの言葉を切り捨てると、エンペラードラゴンとしての風格をほんの一瞬だけ解放させた。
ヴェルの周りを取り囲む様に突風が発生し、周囲の木々を吹き飛ばす。
先ほどの露骨な舌打ちよりも、ヴェルがほんの一瞬のチカラを解放させた方が破壊力を持っており、、ユーカとヴェルを取り囲んでいた兵士を怯ませるどころか、 数人は突風に吹き飛ばされる始末であった。
「ねぇ、あなたは私たちの敵?それとも味方?」
ユーカの最後通告が、ジャンの額に汗を浮かばせ、ジャンの頬を一筋の汗が伝って、地に落ちた。
「分かりません。あなた達こそ、私たちの敵ですか?」
ジャンはユーカの目を睨み、腰に佩いていた刀を抜いて、切っ先をユーカとヴェルの方へと向けた。
その瞬間、ヴェルが目を大きく開き、ユーカに何かの接近を伝えた。
「ユーカっ!」
ユーカは見えない何かの攻撃を防ぐために、自分を中心にした半球の結界を瞬時に展開する。
ユーカの展開した結界は、ヴェルは勿論のこと、ジャンや周りを囲っていた兵士をもぐるりと囲み、襲撃を弾き返した。
ようやく姿を現した集団は、全身を緑色の布で覆っており、その緑の布こそが、気配を極限まで消すことができる要因になっているのではないかとユーカは予想した。
「で、あの人たちに見覚えは?」
ユーカは何事もなかったかの様にジャンに向き直ると、彼らの正体を知ってはいないか尋ねる。
ジャンは何度か躊躇った後、素直に彼らについて分かっている事をユーカとヴェルに話した。
「彼らは過激派の一味です。」
「獣王領の内紛って事?」
少し前に訪れた魔王領でも内紛が起こっており、 ユーカはつくづく内紛に縁があると己の不運を嘆いた。
「いえ、少し違います…。」
しかし、事態はもう少し複雑で内紛と云う言葉では片付ける事は出来ないらしい。
「そう。じゃ、あとで聞くわ。」
ユーカはジャンとの会話を切り上げると、ヴェルと簡単に打ち合わせを行う。
「敵は5人で全部?」
「少し離れた場所にあと3人おる。」
ヴェルは残りの3人がいる方向を指で指して示しつつ、攻撃してきた5人についても気配を探った。
「じゃああなたは3人の方をお願い。」
ユーカはヴェルが示した方向を見るが、残念ながら気配を感じる事は出来なかった。そのため、目視で確認できた5人は相手取る事はできるが、遠くにいる3人はヴェルに任せるしかなかった。
「うむ、油断は禁物じゃぞ。」
ヴェルは、過激派たちが先ほど、一瞬で移動したのを目の当たりににしていたので、ユーカに警戒を怠らない様に言って聞かせた。
勿論ユーカは、油断などしてやるつもりはこれっぽっちもなかったが、ヴェルの忠告には素直に頷いて返す。
「あなたも、気をつけてね。」
ユーカは結界を解除すると、暇な道すがらに何度もシュミレートした結果を基に、有利な状況を整えるために行動を始める。
ヴェルも、少し離れた場所で機を狙っている3人組に向けて勢いよく飛び出し、すぐにユーカの視界から消えて行った。
ユーカは後ろを振り返らずに左手だけを後方へ向け、瞬時に新しい結界を張って後方の憂いを断つと、目視でしか確認出来ない5つの影を見失わない様に、前方に集中した。目では見えているはずなのに、どれだけ近くに寄ったとしても、その反応だけは捉えることができない。
まるで幽霊の様な相手に、ユーカの闘志はメラメラと燃え上がる。忘れてはいけないが、彼女はヴェルよりもよっぽど戦闘が好きな、バトルジャンキーなのだ。
5人の襲撃者は、自分たちの存在が未だに捉えられてはいないと思っているのか、木々の影に隠れながらもユーカの事を囲む様に動き始めた。しかし、ユーカの空間認識能力と広い視野、鋭い観察眼をもってすれば、反応がなくても痕跡を捉える事は十分可能であった。
ユーカはニヤりと笑みをこぼし、目の前の幽霊を相手に、一体どれほど自分が通じるのかを試したくなった。
もっとも、相手は幽霊などでは無く確かに存在する5人の襲撃者の事であるが、ユーカにとってその事実は、この密林に生えている草木の数よりも些細でどうでも良い事に過ぎなかった。
ひどく高い湿度だと云うのに、ユーカは唇が乾いた気がして、ペロりと舐めて湿らせると、少しだけ目を細めて、自身の前の空間をかざす様に右手を突き出す。
ユーカが放った魔法は、寸分違わずに襲撃者の影を捉え、5人のうち3人はなすすべもなく無力化された。
残りのふたりかろうじて躱すと、その場から急速に離脱して、姿を密林の中へと隠した。
ユーカはシュミレート通りに状況が進んでいる事に満足したが、それでも気を緩めることはなかった。
ユーカは、見失った残るふたりの襲撃者の痕跡を探り、不意打ちに警戒する。
シュミレートした結果のパターンをいくつか試しながら襲撃者の影を探していると、その痕跡を発見することができた。
襲撃者は急速に離脱した弊害で、ユーカの存在を把握できてはいなかった。そのため、ユーカは気付かれる事なく襲撃者の背後に忍び寄って距離を詰めると、ふたりの襲撃者を囲む牢の様に結界を展開した。
展開した結界は、ユーカが扱える限界の硬さまで硬度を増してあり、ヴェルの本気の攻撃でも一度くらいなら耐えられるはずだと、ユーカも自信を持っていた。
つまり、常人であれば傷ひとつつけられないほど、堅牢な結界を張ったのである。
気がついた頃には、頑丈な結界によって閉じ込められていたふたりの襲撃者は、何かを喚きながら、結界の内側から結界を破壊しようと、試みてはいるが、残念ながらとうとう結界を破る事を諦めてしまった。
ユーカは結界の中に結界を張り、襲撃してきたふたりのいる空間を狭めながら、ふたりを分断する。
その作業が終わると、ようやくユーカはひと息つき、ほんの少しだけ気を緩めてしまった。
すると、ユーカの背後から金属同士が擦れ合う様な甲高い音がする。
「ヴェルさんに言われたんじゃありませんか?油断してはいけませんよ。」
ユーカが声のした方へと振り向くと、そこには刀を構えたジャンが背中を向けて立っていた。そのすぐそばには、飛んできたとみられる金属片が地面や木の幹に刺さっており、ジャンがユーカの認知していなかった対象からの奇襲を防いでくれた事が分かった。
ユーカが礼を言おうと口を開きかけた瞬間、ユーカの視界にヴェルが入ってくる。
ヴェルはジャンの頭上の死角から急降下しながら向かってきた。そして、ユーカもヴェルが急いで降下してくる意味が分かった。
その直後、ジャンの頭上で金属が弾け飛ぶ音がなり、少し間を置いてヴェルがジャンの前に着地した。
「お主もな。」
どうやら狙われていたのはユーカだけでは無かったらしく、ジャンも死角からの奇襲を受ける寸前であった。
ジャンは何の事か分からずにいたが、ヴェルの右腕に鋭く切った傷が浮かび血が滲みはじめてから、ようやく理解した。
「申し訳ありません…。」
ジャンは悲痛な面持ちでヴェルに謝罪した。
ヴェルは左手をひらひらと振り、ユーカとジャンを襲撃した対象の無力化へと向かった。
ユーカは取り残されたジャンのもとに歩み寄り、頭を撫でて言った。
「さっきはありがとう。」
「いえ…。」
ジャンには相当堪える出来事であったらしく、小さい声で絞り出す様に反応した。
程なくしてヴェルが戻ってくると、申し訳なさそうに口を開く。
「すまぬ…。あれからイキナリ反応が増えての。」
「いいえ。私が油断したのがいけないのよ。」
ヴェルは、気配を察知する能力においては、1日の長があると思っていたので、感知できなかった事に責任を感じていた。
「しかし…。」
ユーカはヴェルの所為ではなく、自分の不手際だと主張したが、それでもヴェルは納得がいかない様子であった。
「分かったわ、反省会は後にしましょ。」
埒が明かないとみたユーカは、一旦その話題を保留にして、ジャンの住む集落へ行く事にした。
「ジャン、私たちの事、連れて行ってくれるわよね?」
ジャンは顔を上げて、少し迷う様なそぶりを見せたが、すぐに頭を振って頷いた。
「こっちです。」
ジャンは連れてきた戦士たちを放って行く様に、先ほどとは違い急ぐ様な足取りで、まっすぐに自分たちの住む集落へと向かった。ユーカとヴェルは置いていかれない様に、駆け足でジャンについて行く。
先ほどまでの遠回りが嘘の様に、数分もしないうちに開けた場所が現れ、たくさんの家が建てられていた。
しかし、そう簡単にユーカとヴェルが足を踏み入れることはできない。
「止まれ!」
強い口調で声がかかり、わらわらと戦士たちが出てきては、ユーカとヴェルを取り囲む。
すると、ジャンが一歩前に出て言い返した。
「この人たちは私の客人です。直ちに包囲を解きなさい。」
ジャンは有無を言わせない態度をとって命令形で言い放つと、戦士たちは一瞬だけ戸惑った後、一歩また一歩とゆっくり後退していった。
ユーカとヴェルは、ジャンが見た目にそぐわず、かなりの権力者であると確信する。
戦士たちは後退しつつも、包囲を解いた訳では無かったが、ジャンがそれを食い破る様に、一直線に歩き始めたので、ジャンの通り道を塞いでいた戦士たちは、道を譲るしかなかった。
その後にユーカとヴェルも続き、戦士たちは3人の後ろ姿を見送ることしか出来なかった。
「すいません、彼らも悪気がある訳ではないんですが…。」
「いいわよ、私たちは他所者だもの。」
先ほどは戦士たちを責める様な態度を取っていたが、彼らがいないところでは先ほどの行動を擁護する。
ユーカもヴェルも、さほど気にしてはいないので、特にジャンが謝る必要などないとは思っていたが、彼女を安心させるためにも、しっかりと理解を示しておいた。
「それよりも我は、お主がどう云った身分なのかが気になるの。」
ユーカとヴェルは、皇帝の遣いだと身分を明らかにしていたが、ジャンの事についてユーカとヴェルが知っている事といえば、名前と刀を使う戦闘スタイルくらいしか無かった。
どう見てもユーカより幼い姿をしているジャンが、言葉だけで屈強な戦士たちを退がらせることが出来るとは、ふたりには到底思えなかった。
「本当は余り明かして良いものではありませんが…。」
ジャンは年相応の態度で、ウンウンと可愛く唸りながら、しばらく考え込んだ。
考えた末に出した答えは、意外とあっさりしたものだったが、ユーカとヴェルはその結論を笑う事はなかった。己で考え込んで出した答えなのだから、それは立派な選択と言える。その答えを笑う様であれば、それは彼女を対等と見なしていない、とても失礼な事だと、ユーカとヴェルは考えているからだ。
「迷っても仕方ありませんね。実はボク、獣王の孫なんですよ。」
本当の事を言うと、ユーカとヴェルは笑わなかったのでは無く、笑えなかったと言った方が正しいのかもしれない。
ユーカとヴェルは顔を見合わせると、お互いの瞳に映る自分の姿を確認した。
衝撃的な事実を聞いたユーカとヴェルは、衝撃的な顔をしていた。つまり、とても驚いた顔が、お互いの瞳の中に映っていた。
「そ、そう云う事もあるわよね…。」
「うぅむ。」
予想外すぎる答えに、ユーカとヴェルは言葉を失っている。
その反応が面白かったのか、ジャンはコケティッシュな笑みを浮かべて、舌をペロりと出して見せた。
「それよりも、第一人称がボクに戻っておるぞ。」
ヴェルの指摘に、今度はジャンが押し黙り、赤くした顔を両手で覆って隠した。
次回:第53話『』
お楽しみにお待ちください。
7月22日 21時を更新予定にしております。
感想や誤字脱字の指摘などなど
よろしければお願いし申し上げます。
後日加筆予定です
今しばらくお待ちください。
よろしくお願いいたします。
7月18日 10:33頃
加筆作業が完了致しました。
遅くなり、大変申し訳ございません。
これからもよろしくお願いします。
ご了承下さい。
ユーカとヴェルが、水に浸かって身体を冷やしていると、ジャンが数人の戦士とみられる男たちとともに戻ってきた。
ジャンは、ユーカとヴェルが水遊びをしているのを見て、思わず自分も飛び込みそうになったが、なんとか思い留まった。
この土地に暮らしている獣族であっても、この暑さに慣れる事はないのだろう。
「お待たせしました。」
敢えてなにも聞かずに、ジャンはユーカとヴェルに話しかけた。
ユーカは水から上がって結界を解くと、ヴェルに戦闘態勢をとる様にアイコンタクトを送る。
「そんなに待ってないわ。」
ヴェルの態勢が整ったのを確認すると、ジャンの周りを取り囲む戦士をひとりずつぐるりと見渡してから、ジャンを真っ直ぐに見て応答した。
ユーカの返答の中にトゲがあるのを感じ取ったジャンは、申し訳なさそうな顔をしてユーカに謝意を述べる。
「すいません、色々と有りまして…。」
どうやら、ジャンが戦士を連れてきたのは本意ではないらしい。しかし、ユーカはヴェルに警戒を解かない様に合図を送り、不測の事態に対応できる様にした。
「許可は下りました。ついて来て下さい。」
ジャンはくるりとユーカとヴェルに背を向けると、そのまま、来た道を戻る様にして歩きはじめた。
ふたりはジャンを追って歩き出し、その周りを戦士たちが一定間隔で取り囲んだ。
「ちっ…。」
ヴェルは顔を顰めて不快感を隠す事なく表明すると、さらにまわりに聞こえる様に舌を打ち鳴らした。
しかし、戦士たちは怯むどころか、逆に緊張感を高め、警戒してしまった。
「ヴェル、抑えて。」
ユーカはヴェルの真意がなんとなく分かったので、戦士たちに警戒された事を咎めはしない。しかし、あまり良い方法とは思えなかったユーカは、ヴェルを宥めた。
「むぅ…。」
ヴェルは少し不服そうに唇を尖らせたが、それ以上は感情を表に出さない様に努めた。
「どうしたの?」
その様子に違和感を覚えたユーカは、ヴェルの本当に伝えたい事を読み取れない不甲斐なさに気を落としつつも、直接その事についてを尋ねる事にした。
しかしヴェルはそれには答えず、代わりにユーカの目をまっすぐと見つめ返した後に、視線を落とした。ヴェルが視線を向けた先には手があり、ヴェルはアイコンタクトで手の動きを見ろと伝えたかったらしい。
ユーカは小さく頷くと、誰にも悟られる事のないように、目だけを動かして盗み見る様にヴェルの手に視線を向けた。
ヴェルの手は、彼女の口の代わりに雄弁に語り、接近する対象が存在する事をユーカに伝える。
ユーカはまたも、小さく頷くとともに、気を引き締めて戦闘態勢を整えた。
獣族の戦士たちは、ジャンすらもその事に気付いている様子はなく、ユーカはつくづくヴェルの感知能力がずば抜けている事を痛感した。
その後もユーカは、隙を見てはヴェルの手元に視線を落とし、ヴェルが送り続けてくれている情報を手の動きから読み取った。
ユーカとヴェルがジャンを待っていた場所から、彼女たちの暮らしている村までは、それほど距離が離れているわけではなかったが、外部の人間に自分たちの住処がバレる事のない様に、慎重に用心を重ね合わせて、さらに神経質を出すほどの行程を踏んで、ユーカとヴェルのふたりを村まで招き入れるために、ぐるりと大きく遠回りをする様に村へと向かっていた。
そのため、出発してからかなりの時間が経っており、ヴェルが感知した対象による包囲網が、着実に形成されている。
「まだなの?」
露骨な遠回りも、ユーカの空間認識能力と記憶力の前では意味を成さず、最初の位置からの最短距離までも把握できていた。
さらには、ユーカが最も得意とする思考と云う術を封じる事は、誰であっても出来る事ではなく、長い遠回りのおかげでたっぷりと時間があるユーカは、周囲の地形まで観察し尽くし、攻め手が有利な地形や、守り手が有利な空間なども割り出していた。
「もうすぐです。」
ユーカの問いに応えたのはジャンだったが、ユーカの目線はヴェルの方へ向いていた。それと同時にヴェルが首を左右に振り、ユーカの意図を汲み取った様に口を開く。
「パッとせんの。」
ジャンはヴェルの発言が、自分の返答に対したものだと勘違いしているが、ユーカにはしっかりと伝わっていた。
「どれくらいの距離なのよ。」
ユーカは尚も、ジャンとの会話を隠れ蓑にしてヴェルから情報を得る。
「5分?」
「いえ…あと10分くらいはかかります。」
ユーカとヴェルは、ジャンとは意味を成さない会話を続けつつも、ふたりの間での情報のやり取りは着実に行われていた。
「認識が阻害されてるのかしら?」
獣族は欺かれ、ヴェルのみが反応を捉えられている以上、ユーカが考えられるのはそれくらいの事だけであった。
「確かに、反応がとても微弱じゃな。」
「えぇ、だからもう少し距離があるんです。」
ジャンはそろそろ違和感に気づきはじめたのか、すこし首を傾げる。
「よく拾えるわね。」
「我にしかムリじゃな。」
ジャンはハンドシグナルでユーカとヴェルを囲む戦士たちに合図を送り、歩みを止めた。
ジャンに合図を送られた兵士たちは、ユーカとヴェルに向けていた警戒を輪の外へと向け、周囲の気配を探り始める。
しかし、兵士の全員が首を横に振り、異変は感じられないとジャンに報告した。
「ヴェルさん、何か気配を感じ取ってはいませんか?」
ジャン自身も、何かを感じ取ることはできなかったので、兵士たちの意見に首を縦に振って同意を示してからヴェルに尋ねた。
「私たちが答えるメリットはあるの?」
ヴェルが応えるよりも早く、ユーカが割り込んでジャンに質問する。
「という事は、やはり何かを感知しているのですね。」
ジャンが瞬時に戦闘態勢を整える。
ユーカは、ヴェルが何かの反応を捉えている事を既にジャンも気付いていると考えていたので、特に隠す様な真似はしなかった。
「まぁの。」
ヴェルも得意げに鼻の下を指でこすり、感知能力の高さを自慢した。
「では、教えていただけますか?」
ヴェルが認めたので、もはや疑う余地のなくなったジャンは、ヴェルに情報の開示を求めた。
「情報料は?」
ヴェルはユーカの真似をする様に、ジャンに見返りを要求する。
「身の安全を保障します。」
「いらぬ。」
ヴェルはジャンの言葉を切り捨てると、エンペラードラゴンとしての風格をほんの一瞬だけ解放させた。
ヴェルの周りを取り囲む様に突風が発生し、周囲の木々を吹き飛ばす。
先ほどの露骨な舌打ちよりも、ヴェルがほんの一瞬のチカラを解放させた方が破壊力を持っており、、ユーカとヴェルを取り囲んでいた兵士を怯ませるどころか、 数人は突風に吹き飛ばされる始末であった。
「ねぇ、あなたは私たちの敵?それとも味方?」
ユーカの最後通告が、ジャンの額に汗を浮かばせ、ジャンの頬を一筋の汗が伝って、地に落ちた。
「分かりません。あなた達こそ、私たちの敵ですか?」
ジャンはユーカの目を睨み、腰に佩いていた刀を抜いて、切っ先をユーカとヴェルの方へと向けた。
その瞬間、ヴェルが目を大きく開き、ユーカに何かの接近を伝えた。
「ユーカっ!」
ユーカは見えない何かの攻撃を防ぐために、自分を中心にした半球の結界を瞬時に展開する。
ユーカの展開した結界は、ヴェルは勿論のこと、ジャンや周りを囲っていた兵士をもぐるりと囲み、襲撃を弾き返した。
ようやく姿を現した集団は、全身を緑色の布で覆っており、その緑の布こそが、気配を極限まで消すことができる要因になっているのではないかとユーカは予想した。
「で、あの人たちに見覚えは?」
ユーカは何事もなかったかの様にジャンに向き直ると、彼らの正体を知ってはいないか尋ねる。
ジャンは何度か躊躇った後、素直に彼らについて分かっている事をユーカとヴェルに話した。
「彼らは過激派の一味です。」
「獣王領の内紛って事?」
少し前に訪れた魔王領でも内紛が起こっており、 ユーカはつくづく内紛に縁があると己の不運を嘆いた。
「いえ、少し違います…。」
しかし、事態はもう少し複雑で内紛と云う言葉では片付ける事は出来ないらしい。
「そう。じゃ、あとで聞くわ。」
ユーカはジャンとの会話を切り上げると、ヴェルと簡単に打ち合わせを行う。
「敵は5人で全部?」
「少し離れた場所にあと3人おる。」
ヴェルは残りの3人がいる方向を指で指して示しつつ、攻撃してきた5人についても気配を探った。
「じゃああなたは3人の方をお願い。」
ユーカはヴェルが示した方向を見るが、残念ながら気配を感じる事は出来なかった。そのため、目視で確認できた5人は相手取る事はできるが、遠くにいる3人はヴェルに任せるしかなかった。
「うむ、油断は禁物じゃぞ。」
ヴェルは、過激派たちが先ほど、一瞬で移動したのを目の当たりににしていたので、ユーカに警戒を怠らない様に言って聞かせた。
勿論ユーカは、油断などしてやるつもりはこれっぽっちもなかったが、ヴェルの忠告には素直に頷いて返す。
「あなたも、気をつけてね。」
ユーカは結界を解除すると、暇な道すがらに何度もシュミレートした結果を基に、有利な状況を整えるために行動を始める。
ヴェルも、少し離れた場所で機を狙っている3人組に向けて勢いよく飛び出し、すぐにユーカの視界から消えて行った。
ユーカは後ろを振り返らずに左手だけを後方へ向け、瞬時に新しい結界を張って後方の憂いを断つと、目視でしか確認出来ない5つの影を見失わない様に、前方に集中した。目では見えているはずなのに、どれだけ近くに寄ったとしても、その反応だけは捉えることができない。
まるで幽霊の様な相手に、ユーカの闘志はメラメラと燃え上がる。忘れてはいけないが、彼女はヴェルよりもよっぽど戦闘が好きな、バトルジャンキーなのだ。
5人の襲撃者は、自分たちの存在が未だに捉えられてはいないと思っているのか、木々の影に隠れながらもユーカの事を囲む様に動き始めた。しかし、ユーカの空間認識能力と広い視野、鋭い観察眼をもってすれば、反応がなくても痕跡を捉える事は十分可能であった。
ユーカはニヤりと笑みをこぼし、目の前の幽霊を相手に、一体どれほど自分が通じるのかを試したくなった。
もっとも、相手は幽霊などでは無く確かに存在する5人の襲撃者の事であるが、ユーカにとってその事実は、この密林に生えている草木の数よりも些細でどうでも良い事に過ぎなかった。
ひどく高い湿度だと云うのに、ユーカは唇が乾いた気がして、ペロりと舐めて湿らせると、少しだけ目を細めて、自身の前の空間をかざす様に右手を突き出す。
ユーカが放った魔法は、寸分違わずに襲撃者の影を捉え、5人のうち3人はなすすべもなく無力化された。
残りのふたりかろうじて躱すと、その場から急速に離脱して、姿を密林の中へと隠した。
ユーカはシュミレート通りに状況が進んでいる事に満足したが、それでも気を緩めることはなかった。
ユーカは、見失った残るふたりの襲撃者の痕跡を探り、不意打ちに警戒する。
シュミレートした結果のパターンをいくつか試しながら襲撃者の影を探していると、その痕跡を発見することができた。
襲撃者は急速に離脱した弊害で、ユーカの存在を把握できてはいなかった。そのため、ユーカは気付かれる事なく襲撃者の背後に忍び寄って距離を詰めると、ふたりの襲撃者を囲む牢の様に結界を展開した。
展開した結界は、ユーカが扱える限界の硬さまで硬度を増してあり、ヴェルの本気の攻撃でも一度くらいなら耐えられるはずだと、ユーカも自信を持っていた。
つまり、常人であれば傷ひとつつけられないほど、堅牢な結界を張ったのである。
気がついた頃には、頑丈な結界によって閉じ込められていたふたりの襲撃者は、何かを喚きながら、結界の内側から結界を破壊しようと、試みてはいるが、残念ながらとうとう結界を破る事を諦めてしまった。
ユーカは結界の中に結界を張り、襲撃してきたふたりのいる空間を狭めながら、ふたりを分断する。
その作業が終わると、ようやくユーカはひと息つき、ほんの少しだけ気を緩めてしまった。
すると、ユーカの背後から金属同士が擦れ合う様な甲高い音がする。
「ヴェルさんに言われたんじゃありませんか?油断してはいけませんよ。」
ユーカが声のした方へと振り向くと、そこには刀を構えたジャンが背中を向けて立っていた。そのすぐそばには、飛んできたとみられる金属片が地面や木の幹に刺さっており、ジャンがユーカの認知していなかった対象からの奇襲を防いでくれた事が分かった。
ユーカが礼を言おうと口を開きかけた瞬間、ユーカの視界にヴェルが入ってくる。
ヴェルはジャンの頭上の死角から急降下しながら向かってきた。そして、ユーカもヴェルが急いで降下してくる意味が分かった。
その直後、ジャンの頭上で金属が弾け飛ぶ音がなり、少し間を置いてヴェルがジャンの前に着地した。
「お主もな。」
どうやら狙われていたのはユーカだけでは無かったらしく、ジャンも死角からの奇襲を受ける寸前であった。
ジャンは何の事か分からずにいたが、ヴェルの右腕に鋭く切った傷が浮かび血が滲みはじめてから、ようやく理解した。
「申し訳ありません…。」
ジャンは悲痛な面持ちでヴェルに謝罪した。
ヴェルは左手をひらひらと振り、ユーカとジャンを襲撃した対象の無力化へと向かった。
ユーカは取り残されたジャンのもとに歩み寄り、頭を撫でて言った。
「さっきはありがとう。」
「いえ…。」
ジャンには相当堪える出来事であったらしく、小さい声で絞り出す様に反応した。
程なくしてヴェルが戻ってくると、申し訳なさそうに口を開く。
「すまぬ…。あれからイキナリ反応が増えての。」
「いいえ。私が油断したのがいけないのよ。」
ヴェルは、気配を察知する能力においては、1日の長があると思っていたので、感知できなかった事に責任を感じていた。
「しかし…。」
ユーカはヴェルの所為ではなく、自分の不手際だと主張したが、それでもヴェルは納得がいかない様子であった。
「分かったわ、反省会は後にしましょ。」
埒が明かないとみたユーカは、一旦その話題を保留にして、ジャンの住む集落へ行く事にした。
「ジャン、私たちの事、連れて行ってくれるわよね?」
ジャンは顔を上げて、少し迷う様なそぶりを見せたが、すぐに頭を振って頷いた。
「こっちです。」
ジャンは連れてきた戦士たちを放って行く様に、先ほどとは違い急ぐ様な足取りで、まっすぐに自分たちの住む集落へと向かった。ユーカとヴェルは置いていかれない様に、駆け足でジャンについて行く。
先ほどまでの遠回りが嘘の様に、数分もしないうちに開けた場所が現れ、たくさんの家が建てられていた。
しかし、そう簡単にユーカとヴェルが足を踏み入れることはできない。
「止まれ!」
強い口調で声がかかり、わらわらと戦士たちが出てきては、ユーカとヴェルを取り囲む。
すると、ジャンが一歩前に出て言い返した。
「この人たちは私の客人です。直ちに包囲を解きなさい。」
ジャンは有無を言わせない態度をとって命令形で言い放つと、戦士たちは一瞬だけ戸惑った後、一歩また一歩とゆっくり後退していった。
ユーカとヴェルは、ジャンが見た目にそぐわず、かなりの権力者であると確信する。
戦士たちは後退しつつも、包囲を解いた訳では無かったが、ジャンがそれを食い破る様に、一直線に歩き始めたので、ジャンの通り道を塞いでいた戦士たちは、道を譲るしかなかった。
その後にユーカとヴェルも続き、戦士たちは3人の後ろ姿を見送ることしか出来なかった。
「すいません、彼らも悪気がある訳ではないんですが…。」
「いいわよ、私たちは他所者だもの。」
先ほどは戦士たちを責める様な態度を取っていたが、彼らがいないところでは先ほどの行動を擁護する。
ユーカもヴェルも、さほど気にしてはいないので、特にジャンが謝る必要などないとは思っていたが、彼女を安心させるためにも、しっかりと理解を示しておいた。
「それよりも我は、お主がどう云った身分なのかが気になるの。」
ユーカとヴェルは、皇帝の遣いだと身分を明らかにしていたが、ジャンの事についてユーカとヴェルが知っている事といえば、名前と刀を使う戦闘スタイルくらいしか無かった。
どう見てもユーカより幼い姿をしているジャンが、言葉だけで屈強な戦士たちを退がらせることが出来るとは、ふたりには到底思えなかった。
「本当は余り明かして良いものではありませんが…。」
ジャンは年相応の態度で、ウンウンと可愛く唸りながら、しばらく考え込んだ。
考えた末に出した答えは、意外とあっさりしたものだったが、ユーカとヴェルはその結論を笑う事はなかった。己で考え込んで出した答えなのだから、それは立派な選択と言える。その答えを笑う様であれば、それは彼女を対等と見なしていない、とても失礼な事だと、ユーカとヴェルは考えているからだ。
「迷っても仕方ありませんね。実はボク、獣王の孫なんですよ。」
本当の事を言うと、ユーカとヴェルは笑わなかったのでは無く、笑えなかったと言った方が正しいのかもしれない。
ユーカとヴェルは顔を見合わせると、お互いの瞳に映る自分の姿を確認した。
衝撃的な事実を聞いたユーカとヴェルは、衝撃的な顔をしていた。つまり、とても驚いた顔が、お互いの瞳の中に映っていた。
「そ、そう云う事もあるわよね…。」
「うぅむ。」
予想外すぎる答えに、ユーカとヴェルは言葉を失っている。
その反応が面白かったのか、ジャンはコケティッシュな笑みを浮かべて、舌をペロりと出して見せた。
「それよりも、第一人称がボクに戻っておるぞ。」
ヴェルの指摘に、今度はジャンが押し黙り、赤くした顔を両手で覆って隠した。
次回:第53話『』
お楽しみにお待ちください。
7月22日 21時を更新予定にしております。
感想や誤字脱字の指摘などなど
よろしければお願いし申し上げます。
後日加筆予定です
今しばらくお待ちください。
よろしくお願いいたします。
7月18日 10:33頃
加筆作業が完了致しました。
遅くなり、大変申し訳ございません。
これからもよろしくお願いします。
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