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璃星は母親の心がわからなかった。どれだけ殴られても、最後は抱きしめてくれるから、愛されているのだと思っていた。
だが。
未子は、冷えた視線を父親に向けている璃星に訊ねた。
「今、璃星のお母さんは……?」
「死んだよ。ボクが殺した」
璃星が小学生になる前のことだ。瑠璃は、どうにか璃星に心を読む力を身に付けさせたかった。
と、同時に、天城の宿命も伝えなければならなかった。
天城家の血を絶やさないこと。天城の力を受け継いでいくこと。
そのためには、できるだけ天城の血を引き継いでいる者同士で交わり、子どもを作らなければならない。
天城家ではそう信じられてきた。
これも冬の夜のことだった。璃星は6歳。母親の瑠璃に連れられて、父親の心児が眠る部屋に入った。
「……なんだ?」
心児がかすれた声で問いかけてきた。璃星も、わけがわからず、瑠璃を見上げた。
「これから儀式をするの。天城家の力を継承する儀式を」
「お母さん……?」
瑠璃は璃星の前にしゃがみこんで、璃星のパジャマを脱がし始めた。パジャマだけでなく、肌着のシャツもパンツも脱がせ、裸にした。
「お母さん、寒いよ」
璃星は不安になり、瑠璃に抱きついた。そのまま璃星を抱き上げて、瑠璃は心児の布団を剥ぎ取り、心児の下腹部を露わにした。
「瑠璃、何を……っ」
瑠璃は璃星を片腕で抱いたまま、心児の精器をくわえた。心児はぞっとした。だが、瑠璃は心児の愛撫の仕方をよくわかっていた。子どもを作ろうと必死になっていたときに学んだ。
どこをどう刺激すればよろこぶのか。しだいに膨張する精器。上下に揺れ、先からは透明な液体がこぼれ始める。
「やめろ……っ」
心児が懇願するも、瑠璃は行為をやめない。父親の精器をくわえたまま、上目遣いで父親を見る母親の姿を、璃星はおぞましいと思った。
張り裂けそうなほど膨張したそれを口から離すと、瑠璃は、璃星の身体を起こした。
「さあ、儀式を始めましょう」
瑠璃が璃星の股を広げる。璃星は、何が始まろうとしているのか、本能的に察した。
「いや、お母さん、いやだ」
「大丈夫。痛いのは最初だけ」
「いや……!」
直後、張り裂けそうな痛みが下半身から脳天に伝わった。璃星が飛び上がりそうになるのを、瑠璃が押さえつける。無理やり父親の下腹部の上に座らされ、父親の精器を受け入れさせられた。
「うう……っ」
璃星の両目から涙が溢れた。
なんでこんなことをしなければならないの。これが儀式? ああ、そうか、お父さんの、他人の心を読む力を手に入れるには、こうしなければならないのか。こうしたら、私は、完璧になれる? 天城家の跡取りとして、完成するの?
「無駄だよ」
心児は憐みの目を璃星に向けた。
「心を読む力は、那由果にあげた。那由果の娘が引き継いだから」
それを聞いて、瑠璃は立ち上がり、心児の身体を蹴り飛ばした。同時に、璃星の身体が心児から離れた。
「ふざけるな! やっぱり、那由果も、その娘も殺さなければ。言え、あいつらをどこに隠したんだ!」
「知らないよ。僕にももう、わからない。那由果の記憶から僕の存在を消したから。もう、わからないんだよ……」
心児は涙を流しながら、すべてをあきらめたように笑っていた。瑠璃は心児を蹴るだけでは怒りが収まらなかった。
「お母さん……」
瑠璃は、まだ下半身の痛みで動くことができない璃星の髪を掴み上げ、頬を叩いた。
「お前が! どうしてお前が、天城の力のすべてを受け継がなかったんだ! 今、心児とひとつになっただろう。何か変わったはずだ。何かを得たはずだ。そうだろう!?」
「……うう……っ」
今まで経験したことのない痛みを受けただけで、他には何も変わっていない。璃星は泣きながら首を横に振った。すると、瑠璃の平手が飛んできた。
「ちくしょう、どいつもこいつも。なんで思い通りにならない! なんで。
……ちくしょう、璃星が男だったら、那由果の娘をはらませてやることだってできたのに。
そうだ、男に生まれなかったから、天城の力が欠けたんじゃないか? きっとそうだ。お前が男に生まれなかったのがいけないんだ!」
瑠璃は、璃星がまったく動くことができなくなるまで暴力をふるいつづけた。そして、真冬の夜中に、瑠璃は心児と璃星を裸のままで屋敷から一人ずつ引きずり出し、車の中に入れた。
車を運転して、向かったのは、天城家でもめったなことでは訪れてはならないとされる、禁足地。沼垂中学校のある山の中、天城の本家である。
瑠璃は汗だくになりながら、まずは璃星を本家の地下に放り込んだ。次に、心児を引きずりこんだ。
骨壺に囲まれた部屋に2人を閉じ込めると、瑠璃は満足したように去って行った。
だが。
未子は、冷えた視線を父親に向けている璃星に訊ねた。
「今、璃星のお母さんは……?」
「死んだよ。ボクが殺した」
璃星が小学生になる前のことだ。瑠璃は、どうにか璃星に心を読む力を身に付けさせたかった。
と、同時に、天城の宿命も伝えなければならなかった。
天城家の血を絶やさないこと。天城の力を受け継いでいくこと。
そのためには、できるだけ天城の血を引き継いでいる者同士で交わり、子どもを作らなければならない。
天城家ではそう信じられてきた。
これも冬の夜のことだった。璃星は6歳。母親の瑠璃に連れられて、父親の心児が眠る部屋に入った。
「……なんだ?」
心児がかすれた声で問いかけてきた。璃星も、わけがわからず、瑠璃を見上げた。
「これから儀式をするの。天城家の力を継承する儀式を」
「お母さん……?」
瑠璃は璃星の前にしゃがみこんで、璃星のパジャマを脱がし始めた。パジャマだけでなく、肌着のシャツもパンツも脱がせ、裸にした。
「お母さん、寒いよ」
璃星は不安になり、瑠璃に抱きついた。そのまま璃星を抱き上げて、瑠璃は心児の布団を剥ぎ取り、心児の下腹部を露わにした。
「瑠璃、何を……っ」
瑠璃は璃星を片腕で抱いたまま、心児の精器をくわえた。心児はぞっとした。だが、瑠璃は心児の愛撫の仕方をよくわかっていた。子どもを作ろうと必死になっていたときに学んだ。
どこをどう刺激すればよろこぶのか。しだいに膨張する精器。上下に揺れ、先からは透明な液体がこぼれ始める。
「やめろ……っ」
心児が懇願するも、瑠璃は行為をやめない。父親の精器をくわえたまま、上目遣いで父親を見る母親の姿を、璃星はおぞましいと思った。
張り裂けそうなほど膨張したそれを口から離すと、瑠璃は、璃星の身体を起こした。
「さあ、儀式を始めましょう」
瑠璃が璃星の股を広げる。璃星は、何が始まろうとしているのか、本能的に察した。
「いや、お母さん、いやだ」
「大丈夫。痛いのは最初だけ」
「いや……!」
直後、張り裂けそうな痛みが下半身から脳天に伝わった。璃星が飛び上がりそうになるのを、瑠璃が押さえつける。無理やり父親の下腹部の上に座らされ、父親の精器を受け入れさせられた。
「うう……っ」
璃星の両目から涙が溢れた。
なんでこんなことをしなければならないの。これが儀式? ああ、そうか、お父さんの、他人の心を読む力を手に入れるには、こうしなければならないのか。こうしたら、私は、完璧になれる? 天城家の跡取りとして、完成するの?
「無駄だよ」
心児は憐みの目を璃星に向けた。
「心を読む力は、那由果にあげた。那由果の娘が引き継いだから」
それを聞いて、瑠璃は立ち上がり、心児の身体を蹴り飛ばした。同時に、璃星の身体が心児から離れた。
「ふざけるな! やっぱり、那由果も、その娘も殺さなければ。言え、あいつらをどこに隠したんだ!」
「知らないよ。僕にももう、わからない。那由果の記憶から僕の存在を消したから。もう、わからないんだよ……」
心児は涙を流しながら、すべてをあきらめたように笑っていた。瑠璃は心児を蹴るだけでは怒りが収まらなかった。
「お母さん……」
瑠璃は、まだ下半身の痛みで動くことができない璃星の髪を掴み上げ、頬を叩いた。
「お前が! どうしてお前が、天城の力のすべてを受け継がなかったんだ! 今、心児とひとつになっただろう。何か変わったはずだ。何かを得たはずだ。そうだろう!?」
「……うう……っ」
今まで経験したことのない痛みを受けただけで、他には何も変わっていない。璃星は泣きながら首を横に振った。すると、瑠璃の平手が飛んできた。
「ちくしょう、どいつもこいつも。なんで思い通りにならない! なんで。
……ちくしょう、璃星が男だったら、那由果の娘をはらませてやることだってできたのに。
そうだ、男に生まれなかったから、天城の力が欠けたんじゃないか? きっとそうだ。お前が男に生まれなかったのがいけないんだ!」
瑠璃は、璃星がまったく動くことができなくなるまで暴力をふるいつづけた。そして、真冬の夜中に、瑠璃は心児と璃星を裸のままで屋敷から一人ずつ引きずり出し、車の中に入れた。
車を運転して、向かったのは、天城家でもめったなことでは訪れてはならないとされる、禁足地。沼垂中学校のある山の中、天城の本家である。
瑠璃は汗だくになりながら、まずは璃星を本家の地下に放り込んだ。次に、心児を引きずりこんだ。
骨壺に囲まれた部屋に2人を閉じ込めると、瑠璃は満足したように去って行った。
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