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第5章 コーハ王国の近衛には、わがまま姫がいる。フィリス・ガランという子爵家子息。コーハ王国のイイ男を侍らせて、手玉にとっているらしいよ?
553.汝ら、旗幟を鮮明にせよ。汝らの忠誠を捧げている先を答えよ。コーハ王国か、ティリリ王国か、それ以外か。赤色、青色、変化なし。
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「赤色、青色、変化なし。」
とサブリーは上機嫌に口ずさんでいる。
赤色が青くなった。
青色が赤くなった。
赤も青も変化しなかった。
まるで、わらべ歌のようにサブリーは、節をつけて繰り返し歌う。
「とても分かりやすいの。」
と称賛するフィリス。
「目のつけどころが、サブリー。」
と褒めるユージュアル。
何がしたかったんだ?
と疑問に思いながらも、セドリックは、コーハ王国の外交部の到着に備えた。
フィリスのすぐ上の兄ハーマルが来ることは、分かっている。
ハーマルは、弟第一主義。フィリスが、『お兄様、お願い。』とお強請りしたことは、基本的に叶えている。
その他は、誰が来るのか。
「注目。サブリーから、大事なお知らせ。」
とフィリス。
「今から、ティリリ王国に滞在している近衛本隊と別働隊の全員が外交部の出迎えに行くだろ?」
とサブリー。
「ティリリ王国に来てから、コーハ王国の近衛全員が一堂に揃うのは、今日を含めて3回。到着日とイベントのあった近衛交流会の最終日と、今日。」
「今日は、フィリスが、『汝らの旗幟を鮮明にせよ』と言う。」
「近衛本隊の近衛達の色が、変化するか、変化しないか、覚えて報告しろ。」
「今から、1人、1人、担当を割り振るから、担当になった人間の変化は記憶して、記録するように。」
本隊の隊員を役割から3分割にする。
上層部、中堅または中間層、下っ端。
セドリックとラウルの担当は、リーダー、グループリーダーといった上層部。
シュクナとエスターの担当は、中堅または、中間層。
ダンシェル、ロウウェル、レイモンドは下っ端をさらに3分割。
等分にしないのは、一目で顔と名前が一致する相手を優先的に担当に回すため。
セドリックとラウルは、公の仕事が割り振られるので、人数は少なめにしてある。
「見るべき変化は、3つ。1人1人、違う変化がある。俺達は、ハーマルの近くにいるから、よく見えるはずだ。」
「そんな話はなかったぞ?」
とセドリック。
「フィリスと俺達が動くからついてこい。」
とサブリー。
「もう1度言う。見るべき点は3つ。」
「赤色が青くなったか。
青色が赤くなったか。
赤色も青色も変化がないか。」
「担当する名簿を用意した。1人1人に配ったものを後で俺が回収する。」
「すぐに変化した色がなくなることはない。1回の変化で、2分は状態を維持する。」
「色の変化を試す順番は、赤色が青くなるか、から。
まず、担当する全体をざっと見て、変化した者をチェック。
これを2回繰り返す。
変化しなかった者は、なし、とすること。」
「会場へ出発。」
とフィリス。
ダンシェル、ロウウェル、レイモンドは、新しい何かにワクワクしている。
サブリーの近衛らしからぬ閃きと行動力が、後輩には、楽しい。
セドリックは、説明を要求したが、今説明できることはないとサブリーに繰り返された。
後で必ず説明すると約束したので、とりあえず引き下がる。
担当する名簿を見て、リーダーの若者の名前が1番に目にとまる。
この外交は、若者もさぞ苦労しただろう。
とセドリックは、同病相憐れむ。
帰国したら、彼と話す時間をとってみてもいいかもしれない。
出迎え会場に到着。
ハーマルの姿を見て、フィリスとサブリー、ユージュアルが飛び出していくのを追いかける形で、別働隊は、ハーマルの側に控える。
本隊のリーダーである若者が、挨拶を述べている。
続いて、別働隊の代表挨拶がある。
フィリスは、ハーマルの隣に立った。
近衛本隊の隊員から、お前の場所はそこじゃねえ、という非難の眼差しがささるが、フィリスは気にしない。
「ボクからは、今回の外交の締めに、1番大切なことを聞く。外交部から人もきたから、ちょうどいい。」
突然、サブリーが設置した魔導具から、赤色に着色した水が、本隊の隊員が全員濡れるように噴射された。
「何する。遊びじゃない。」
とリーダーの若者が物申す。
「必要なの。」
とフィリス。
「最初は、赤色から。」
とサブリー。
「汝ら、旗幟を鮮明にせよ。汝らの忠誠を捧げている先を答えよ。コーハ王国か、ティリリ王国か、それ以外か。赤色、青色、変化なし。」
とフィリス。
サブリーとユージュアルが繰り返す。
「赤色、青色、変化なし。」
「忠誠はコーハ王国にあると復唱せよ。」
とフィリス。
「言う通りにしないと、言うこと聞くまで、繰り返すからな。早めに終わらせるぞ。」
とユージュアル。
「「「「「「忠誠はコーハ王国にある。」」」」」」
と渋々ながらの大合唱が響く。
1人も色が変わらない。
「変化なし。」
とサブリー。
「ふざけるな。」
と騒ぐ本隊の隊員に、まだ続くと告げるフィリス。
隊員達の被った赤色の水は、2分経過すると、色が抜けて、無色になった。
魔導具から、再び、水が噴射された。青色の水だ。
「次に、青色。」
とサブリーが説明しているが、見た方が早い。
本隊の隊員達は、青色の水でずぶ濡れだ。
「汝らに復唱を命じる。忠誠は、ティリリ王国にあると唱えよ。」
とフィリス。
「復唱せよ。忠誠はティリリ王国にある。」
とサブリーは上機嫌に口ずさんでいる。
赤色が青くなった。
青色が赤くなった。
赤も青も変化しなかった。
まるで、わらべ歌のようにサブリーは、節をつけて繰り返し歌う。
「とても分かりやすいの。」
と称賛するフィリス。
「目のつけどころが、サブリー。」
と褒めるユージュアル。
何がしたかったんだ?
と疑問に思いながらも、セドリックは、コーハ王国の外交部の到着に備えた。
フィリスのすぐ上の兄ハーマルが来ることは、分かっている。
ハーマルは、弟第一主義。フィリスが、『お兄様、お願い。』とお強請りしたことは、基本的に叶えている。
その他は、誰が来るのか。
「注目。サブリーから、大事なお知らせ。」
とフィリス。
「今から、ティリリ王国に滞在している近衛本隊と別働隊の全員が外交部の出迎えに行くだろ?」
とサブリー。
「ティリリ王国に来てから、コーハ王国の近衛全員が一堂に揃うのは、今日を含めて3回。到着日とイベントのあった近衛交流会の最終日と、今日。」
「今日は、フィリスが、『汝らの旗幟を鮮明にせよ』と言う。」
「近衛本隊の近衛達の色が、変化するか、変化しないか、覚えて報告しろ。」
「今から、1人、1人、担当を割り振るから、担当になった人間の変化は記憶して、記録するように。」
本隊の隊員を役割から3分割にする。
上層部、中堅または中間層、下っ端。
セドリックとラウルの担当は、リーダー、グループリーダーといった上層部。
シュクナとエスターの担当は、中堅または、中間層。
ダンシェル、ロウウェル、レイモンドは下っ端をさらに3分割。
等分にしないのは、一目で顔と名前が一致する相手を優先的に担当に回すため。
セドリックとラウルは、公の仕事が割り振られるので、人数は少なめにしてある。
「見るべき変化は、3つ。1人1人、違う変化がある。俺達は、ハーマルの近くにいるから、よく見えるはずだ。」
「そんな話はなかったぞ?」
とセドリック。
「フィリスと俺達が動くからついてこい。」
とサブリー。
「もう1度言う。見るべき点は3つ。」
「赤色が青くなったか。
青色が赤くなったか。
赤色も青色も変化がないか。」
「担当する名簿を用意した。1人1人に配ったものを後で俺が回収する。」
「すぐに変化した色がなくなることはない。1回の変化で、2分は状態を維持する。」
「色の変化を試す順番は、赤色が青くなるか、から。
まず、担当する全体をざっと見て、変化した者をチェック。
これを2回繰り返す。
変化しなかった者は、なし、とすること。」
「会場へ出発。」
とフィリス。
ダンシェル、ロウウェル、レイモンドは、新しい何かにワクワクしている。
サブリーの近衛らしからぬ閃きと行動力が、後輩には、楽しい。
セドリックは、説明を要求したが、今説明できることはないとサブリーに繰り返された。
後で必ず説明すると約束したので、とりあえず引き下がる。
担当する名簿を見て、リーダーの若者の名前が1番に目にとまる。
この外交は、若者もさぞ苦労しただろう。
とセドリックは、同病相憐れむ。
帰国したら、彼と話す時間をとってみてもいいかもしれない。
出迎え会場に到着。
ハーマルの姿を見て、フィリスとサブリー、ユージュアルが飛び出していくのを追いかける形で、別働隊は、ハーマルの側に控える。
本隊のリーダーである若者が、挨拶を述べている。
続いて、別働隊の代表挨拶がある。
フィリスは、ハーマルの隣に立った。
近衛本隊の隊員から、お前の場所はそこじゃねえ、という非難の眼差しがささるが、フィリスは気にしない。
「ボクからは、今回の外交の締めに、1番大切なことを聞く。外交部から人もきたから、ちょうどいい。」
突然、サブリーが設置した魔導具から、赤色に着色した水が、本隊の隊員が全員濡れるように噴射された。
「何する。遊びじゃない。」
とリーダーの若者が物申す。
「必要なの。」
とフィリス。
「最初は、赤色から。」
とサブリー。
「汝ら、旗幟を鮮明にせよ。汝らの忠誠を捧げている先を答えよ。コーハ王国か、ティリリ王国か、それ以外か。赤色、青色、変化なし。」
とフィリス。
サブリーとユージュアルが繰り返す。
「赤色、青色、変化なし。」
「忠誠はコーハ王国にあると復唱せよ。」
とフィリス。
「言う通りにしないと、言うこと聞くまで、繰り返すからな。早めに終わらせるぞ。」
とユージュアル。
「「「「「「忠誠はコーハ王国にある。」」」」」」
と渋々ながらの大合唱が響く。
1人も色が変わらない。
「変化なし。」
とサブリー。
「ふざけるな。」
と騒ぐ本隊の隊員に、まだ続くと告げるフィリス。
隊員達の被った赤色の水は、2分経過すると、色が抜けて、無色になった。
魔導具から、再び、水が噴射された。青色の水だ。
「次に、青色。」
とサブリーが説明しているが、見た方が早い。
本隊の隊員達は、青色の水でずぶ濡れだ。
「汝らに復唱を命じる。忠誠は、ティリリ王国にあると唱えよ。」
とフィリス。
「復唱せよ。忠誠はティリリ王国にある。」
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