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第一部 四季姫覚醒の巻
第七章 姫君召集 14
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十四
「……何だ、お前ら。アタシとやる気か?」
武器を構える榎たちに、萩は睨みを利かせた。
もう、怯えている場合ではない。榎は強気に、萩の目を見つめ返した。
萩めがけて突き出した、白銀の剣を握る手に、力を込める。
「ええんか、榎? お仲間に武器なんぞ、向けたりして」
普段と変わらない、柊の飄々とした物言い。
「柊こそ、殺気、だだ漏れだぞ」
そんな柊が構えた薙刀も、寸分違わず、萩に狙いを定めていた。柊は萩から目を逸らさず、鼻で笑った。
「初対面の人間の印象を見る時に、軽率な判断したらあかんて言うんが、うちのポリシーなんやけどな。たまーにおるんや。一目見て、いけ好かん奴、っちゅうのがな」
「椿もあの人、好きになれそうにないわ……。たとえ、秋姫であっても」
椿も、柊の言葉に同意を示す。二人の嫌悪感が、はっきりと伝わってきた。
「四季姫同士の戦いか、悪くないな。退屈凌ぎくらいには、なってくれよ」
萩は、何の躊躇いもなく、榎たちに武器を向けてくる。相手が誰であろうと、お構いなしだ。
「武器を収めろ。お前と戦いたくない。仲間なんだから」
椿や柊ほど、榎は萩を毛嫌いしているわけではない。確かに、行き過ぎた言動や、圧倒的な力を目の当たりにして、逃げ出したい恐怖は、間違いなく味わった。
でも、相手は秋姫なのだから。一緒に戦って、この世界を救わなければいけない、大切な存在なのだから。
嫌悪なんて、している場合ではない。何とかして、分かり合いたい。
「仲間? 笑わせるな。ろくに妖怪と戦おうともしない、貧弱な無能どもが」
萩は榎たちに嘲笑を向けてくる。萩ほどの強さを持っていれば、榎たちの行動なんて、役立たずに見えて当然だろう。
でも、違うのだと、榎たちの戦いにかける想いを、分かってもらいたかった。
「あたしたちには、あたしたちの戦い方がある! お前に強要するつもりはないけれど……。一般人にまで手を出す凶行なんて、黙って見ていられない」
「弱者が、強者に口答えか。度胸だけは一人前だな、くだらねぇ虚栄心だ。無事に山を下りられると思うなよ。〝落葉の叫び〟」
榎の言葉は、届かなかった。萩は遠慮の欠片(かけら)もなく、技を繰り出す。
凄まじい風が吹き荒れた。榎たちは咄嗟に防御の構えを取ったが、風は、幾数もの細い針の群れみたいになって襲い掛かり、鋭利な衝撃を与えてきた。着物を突き抜け、榎たちの全身を、余すところなく突き刺してくる。
一つ一つの傷は、大したものではない。だが、連続して飛んでくる風の針が、繰り返し傷口を抉り、痛みは実際に受けている攻撃の比にもならなかった。
悲鳴をあげて、椿が倒れる。柊も、なんとか応戦しようとしていたが、風が相手では、武器を振るっても手応えがない。耐えられなくなって、膝を突いた。
風が止むまで、榎は何とか、二人を庇って立ちはだかった。だが、堪えきっただけで、相手には手も足も出せない。結局、痛みに負けて、倒れこんだ。
萩の後ろで、周(あまね)が榎たちを呼ぶ悲痛な声が聞こえた。だが、返事なんて、できる余裕はなかった。
「お前らとは、踏んできた場数が違うんだよ。アタシはずっと前から、一人で延々と、妖怪退治を繰り返して、力をつけてきたんだからな」
気だるそうに首筋を鳴らす萩は、大した疲れも見せていない。あれだけの力を駆使していても、萩にとっては、ほんの軽い技を使った程度なのだろう。
底知れない力だ。実力の差を、まざまざと見せ付けられた。
榎は痛みと戦いながら、地面に這い蹲(つくば)り、萩を見上げるだけで精一杯だった。
直後。余裕を見せていた萩が、突然、背後から吹き飛ばされた。
萩はすかさず、バランスをとって、体を安定させる。素早く振り返り、さっきまで立っていた場所を凝視した。
その場所には、返り血に塗れた周が、座り込んでいる。だが、周の背後から、鋭い爪の生えた腕が、萩めがけて伸びていた。
凄まじい妖気だ。今までに経験した覚えのない、重く垂れ込めた妖気。
妖気の一番近くにいた周が、顔をこわばらせながら、首を回す。
背後で倒れていたはずの宵月夜が立ち上がり、深い息を吐き出していた。
乾いた血飛沫に汚れた眼鏡の奥で、周の瞳が怯えを見せる。宵月夜は、今までの姿からは想像できないほど、おぞましく変貌していた。
肌は浅黒くなり、血管が浮かび上がっている。裂けた口からは長い牙が覗く。腹部の傷口からは、血が沸騰しているのか、水泡を弾けさせて湯気が立っていた。
「いかん、宵月夜の力が、暴走しはじめとる!」
しばらく、姿を消していた了生が戻ってきた。手には、錫杖(しゃくじょう)を握り締めている。悪い予感を察知して、取りに行っていたのだろう。
了生は先刻と同様に、輪を取り外して宵月夜に投げつけた。再び、動きを封じるつもりだ。
だが、宵月夜は獣みたいな手で輪を掴み、握りつぶした。手は凄まじい熱を発していた。輪は湯気を上げながらどろどろに熔けて、液状になって地面に滴り落ちた。
「俺の力では、通用せんか……」
了生は舌を打つ。力が解放された状態では、同じ手は通用しなかった。
宵月夜は、おぞましい咆哮(ほうこう)を放つ。声は、山中に、不気味に響き渡った。
まずい。宵月夜の妖力も危険だが、力を解放した宵月夜の気配を感じ取って、悪鬼(オニ)が集まってくるかもしれない。
榎は焦りに呑まれた。だが、痛みで体もろくに動かない今、どう対処していいのか、分からなかった。
「宵月夜さまぁ! 気をお確かに!」
妖怪たちを非難させて戻ってきた八咫(やた)が、主の変貌に衝撃を受け、慌てて滑空してきた。
八咫の接近に気付いた宵月夜は、激しく腕を振り乱し、襲い掛かった。
宵月夜の鋭い爪が、八咫の体を切り裂く。八咫は悲鳴をあげて、地面に落ちた。
そのまま、体をピクピクと痙攣させて、失神した。
「そんな……。八咫ちゃんが、八咫ちゃんが……」
「嘘だろ。宵月夜のやつ、仲間まで……」
「完璧に、我を忘れとる。敵も味方も、お構いなしや」
榎たちは愕然とした。今までの宵月夜なら、有り得なかった事態に、衝撃が大きかった。
萩を相手にするだけでも精一杯なのに、宵月夜にまで暴れられたら、榎たちには成す術もない。
「こんな、化け物(もん)ばっかり相手にして、うちらに勝機はあるんか!?」
「もう嫌! 無理よ。椿、家に帰る!」
二人が喚き、叫ぶ。完全に、パニック状態だ。
みんな傷付き、満足に戦える状態ではない。それ以前に、戦っても勝てる気がしない。
「この妖力! いいぞ、もっと暴れろ、本気を出せ! アタシを楽しませろ!」
最悪の展開に打ちひしがれている中、萩だけは最高潮に騒いでいた。暴走する宵月夜を、さらに挑発しようとする。強い妖怪と、戦うスリルを存分に味わっていた。
榎たちには、理解できない感性だ。
萩の声に反応して、宵月夜は激しく、唸り声を上げる。萩に襲い掛かろうと、体を動かし始めた。
だが、傷口のダメージは大きいらしく、動きは鈍い。
「宵月夜はん、落ち着くどす! あなたには、守らなあかん妖怪はんたちが、たくさんいるやろう!?」
周が、宵月夜の動きを止めようと、正面から体に抱きついた。宵月夜はもがき、周の背中を爪で引き裂く。周の服が破け、血が流れ出た。
周は悲鳴をあげた。だが、肩を震わせながらも必死で踏ん張って、宵月夜を押さえ込もうとしていた。
しばらく周を振り払おうとしていた宵月夜だが、次第に動きが収まり、大人しくなった。
がくりと膝を突き、周に向かって倒れこむ。その姿は、普段の少年のものに戻っていた。
「妖気が、鎮まった……」
周の想いが届いたのか。宵月夜は完全に沈黙した。周も脱力して、地面にへたりこむ。
その様子を見ていた萩が、不愉快そうに舌を打った。
「邪魔をしやがって! 反逆者め!」
憂さ晴らしといわんばかりに、萩の鎌が動けない周と宵月夜めがけて振り翳(かざ)される。
榎は反射的に間へと割り込み、鎌を剣で受けた。
何とか止められたが、凄い力だ。
榎の体中に穴を開けていた、大量の小さな傷口が、一気に開いた。腕の筋肉に力を入れた反動で、鮮血が飛沫になって、外へと飛び出す。
萩は口笛を吹いて、鎌を退いた。支えをなくし、榎は地面に倒れこむ。
「委員長は、反逆者なんかじゃない。……妖怪たちを、大切に想っているだけだ」
何とか上体を起こし、反論した。
萩は興味深そうに、榎を見下ろしていた。
「アタシの攻撃を受けて、まだ動き回れるのか。お前は少し骨がありそうだな、夏姫。名前だけ、聞いておいてやろう」
「水無月……榎……」
名乗ると、萩は再び、邪悪な笑み浮かべた。とても、楽しそうだ。
「腕を磨いておけ、榎。いずれ、アタシの鎌を弾き返せるくらいにな」
宵月夜が気を失い、戦意が萎えたのか。萩は変身を解き、気紛れな足取りで、去っていった。
姿が見えなくなると、圧迫されていた空間が正常に戻り、穏やかな雰囲気を取り戻した。
榎は体の力を抜き、地面に膝をついて、安堵の息を吐いた。
「みんな、大丈夫か?」
望まない戦いで傷付いた、仲間たちを気遣う。
「アホか、自分のほうが、重症やろうが! 無茶ばっかりしよって……」
柊に、怒られた。他人の心配をしている場合ではない、と。
だが、榎にとっては、榎自身の体より、みんなの容態が心配だ。
「傷を癒すわ。えのちゃん、じっとしていて」
椿が、震える手で癒しの笛を吹いてくれた。だが、椿自身が激しく疲弊しているため、回復の速度も遅く、効果が薄い。怪我人も多いし、今回ばかりは、完治までに時間が掛かりそうだった。
「まずは、椿の回復が先決だよ。その後は、委員長と宵月夜の傷に集中してあげて。重症だから」
「中で、手当てしましょう。薬は常備しとりますから」
了生が名乗りを挙げ、榎たちを寺の中へと、再び誘導してくれた。
中で、消毒液や絆創膏をもらい、応急処置をする。全身に及んでいるものの、傷自体は小さく浅いものだ。すぐに塞がるだろう。
蓄積した疲労も、一晩眠れば回復しそうだ。
了生に抱きかかえられて、宵月夜も連れ込まれた。本格的な止血を施され、畳の間に敷かれた布団に寝かされた。
周も、包帯を巻きつけた、失神した八咫を連れてきた。妖怪たちも心配だが、周の背中の傷は、榎たちより酷い。無理矢理引っ張りこんで、春姫の力で止血を行った。傷跡は残ったが、一先(ひとま)ずは大丈夫だ。
「私は、ほとんど返り血どすから、大丈夫どす。宵月夜はんを、お願いします……」
宵月夜は、夢現(ゆめうつつ)の狭間で魘(うな)されていた。少し、熱が出てきているのだろうか、汗をかき、顔が赤く、苦しそうだ。
椿は怪我を圧して、笛を吹いて宵月夜に治癒を施した。だが、いまいち、効果は見られなかった。
「宵月夜には、癒しの力が効かないみたいなの。やっぱり妖怪だから、かしら」
「妖怪の治癒力は、人間よりも遥かに大きいと聞きます。安静にして、様子を見るしかありません」
了生が氷水を持ってきて手拭を浸し、宵月夜の患部や額を冷やし始めた。
「すみません、俺の力では、手も足もでんかった……。陰陽師の戦いとは、かくも強大なものなんですね。修行不足でした」
了生は、役に立たなかった己の不甲斐なさを悔やむ。
「了生さんは、悪くないですよ。あたしたちにも、どうにもならなかった」
あのまま、宵月夜の暴走が収まらなかったら。萩の猛攻が止まらなかったら。
本当に、どうなっていただろう。想像するだけで、絶望的だ。
今回ばかりは、誰を責めるわけにもいかない。
全ては、偶然が重なった悲劇だ。
「さっきの方――秋姫様は、陰陽師としてかなり熟練した腕を持っておられます。やはり、ずいぶん早(はよ)うから覚醒して、力をつけておられたのでしょうね」
了生の憶測に、間違いはない。萩は紛れもなく、四季姫の中で一番、強かった。
「椿たちよりも、数段先輩なのね。……けど、陰陽師って、あんな風に、残忍に戦えるものなの? 冷酷に戦わなくては、強くなれないの? だったら、椿は……」
椿は怯える。何が言いたいか、よく分かる。
榎たちが甘すぎるのかもしれない。だけど、甘さを忘れて強さを追い求めて、萩みたいな行動が当たり前になってしまったら――。
残虐な行為を正当化し始めるくらいなら、強くならないほうがいい、今のままでいい。
そんな考えを持ってしまう。
陰陽師として、強くなるとは、どういう意味なのだろう。分かっていたつもりだったのに、分からなくなっていた。
部屋の空気が、重苦しく感じた。
「違うよ。きっと、ずっと独りで戦ってきたから、どういう戦い方をすればいいのか、分からないだけなんだ。きちんと話し合って、仲間として接していけば、いつかは理解してくれるはずだよ」
榎は気持ちを持ち直した。
榎は、苦しむ人を助けるために、妖怪と戦っている。その意思が、一番の原動力だ。力をつけて、強くなったって、その志だけは変わらない。
萩の残酷な戦い方にも、きっと、同様の目的を見出せるはずだ。
ちゃんとお互いを知って、分かり合えれば、きっと協力できる。
同じ、四季姫なのだから。
榎は、強く信じていた。
「……何だ、お前ら。アタシとやる気か?」
武器を構える榎たちに、萩は睨みを利かせた。
もう、怯えている場合ではない。榎は強気に、萩の目を見つめ返した。
萩めがけて突き出した、白銀の剣を握る手に、力を込める。
「ええんか、榎? お仲間に武器なんぞ、向けたりして」
普段と変わらない、柊の飄々とした物言い。
「柊こそ、殺気、だだ漏れだぞ」
そんな柊が構えた薙刀も、寸分違わず、萩に狙いを定めていた。柊は萩から目を逸らさず、鼻で笑った。
「初対面の人間の印象を見る時に、軽率な判断したらあかんて言うんが、うちのポリシーなんやけどな。たまーにおるんや。一目見て、いけ好かん奴、っちゅうのがな」
「椿もあの人、好きになれそうにないわ……。たとえ、秋姫であっても」
椿も、柊の言葉に同意を示す。二人の嫌悪感が、はっきりと伝わってきた。
「四季姫同士の戦いか、悪くないな。退屈凌ぎくらいには、なってくれよ」
萩は、何の躊躇いもなく、榎たちに武器を向けてくる。相手が誰であろうと、お構いなしだ。
「武器を収めろ。お前と戦いたくない。仲間なんだから」
椿や柊ほど、榎は萩を毛嫌いしているわけではない。確かに、行き過ぎた言動や、圧倒的な力を目の当たりにして、逃げ出したい恐怖は、間違いなく味わった。
でも、相手は秋姫なのだから。一緒に戦って、この世界を救わなければいけない、大切な存在なのだから。
嫌悪なんて、している場合ではない。何とかして、分かり合いたい。
「仲間? 笑わせるな。ろくに妖怪と戦おうともしない、貧弱な無能どもが」
萩は榎たちに嘲笑を向けてくる。萩ほどの強さを持っていれば、榎たちの行動なんて、役立たずに見えて当然だろう。
でも、違うのだと、榎たちの戦いにかける想いを、分かってもらいたかった。
「あたしたちには、あたしたちの戦い方がある! お前に強要するつもりはないけれど……。一般人にまで手を出す凶行なんて、黙って見ていられない」
「弱者が、強者に口答えか。度胸だけは一人前だな、くだらねぇ虚栄心だ。無事に山を下りられると思うなよ。〝落葉の叫び〟」
榎の言葉は、届かなかった。萩は遠慮の欠片(かけら)もなく、技を繰り出す。
凄まじい風が吹き荒れた。榎たちは咄嗟に防御の構えを取ったが、風は、幾数もの細い針の群れみたいになって襲い掛かり、鋭利な衝撃を与えてきた。着物を突き抜け、榎たちの全身を、余すところなく突き刺してくる。
一つ一つの傷は、大したものではない。だが、連続して飛んでくる風の針が、繰り返し傷口を抉り、痛みは実際に受けている攻撃の比にもならなかった。
悲鳴をあげて、椿が倒れる。柊も、なんとか応戦しようとしていたが、風が相手では、武器を振るっても手応えがない。耐えられなくなって、膝を突いた。
風が止むまで、榎は何とか、二人を庇って立ちはだかった。だが、堪えきっただけで、相手には手も足も出せない。結局、痛みに負けて、倒れこんだ。
萩の後ろで、周(あまね)が榎たちを呼ぶ悲痛な声が聞こえた。だが、返事なんて、できる余裕はなかった。
「お前らとは、踏んできた場数が違うんだよ。アタシはずっと前から、一人で延々と、妖怪退治を繰り返して、力をつけてきたんだからな」
気だるそうに首筋を鳴らす萩は、大した疲れも見せていない。あれだけの力を駆使していても、萩にとっては、ほんの軽い技を使った程度なのだろう。
底知れない力だ。実力の差を、まざまざと見せ付けられた。
榎は痛みと戦いながら、地面に這い蹲(つくば)り、萩を見上げるだけで精一杯だった。
直後。余裕を見せていた萩が、突然、背後から吹き飛ばされた。
萩はすかさず、バランスをとって、体を安定させる。素早く振り返り、さっきまで立っていた場所を凝視した。
その場所には、返り血に塗れた周が、座り込んでいる。だが、周の背後から、鋭い爪の生えた腕が、萩めがけて伸びていた。
凄まじい妖気だ。今までに経験した覚えのない、重く垂れ込めた妖気。
妖気の一番近くにいた周が、顔をこわばらせながら、首を回す。
背後で倒れていたはずの宵月夜が立ち上がり、深い息を吐き出していた。
乾いた血飛沫に汚れた眼鏡の奥で、周の瞳が怯えを見せる。宵月夜は、今までの姿からは想像できないほど、おぞましく変貌していた。
肌は浅黒くなり、血管が浮かび上がっている。裂けた口からは長い牙が覗く。腹部の傷口からは、血が沸騰しているのか、水泡を弾けさせて湯気が立っていた。
「いかん、宵月夜の力が、暴走しはじめとる!」
しばらく、姿を消していた了生が戻ってきた。手には、錫杖(しゃくじょう)を握り締めている。悪い予感を察知して、取りに行っていたのだろう。
了生は先刻と同様に、輪を取り外して宵月夜に投げつけた。再び、動きを封じるつもりだ。
だが、宵月夜は獣みたいな手で輪を掴み、握りつぶした。手は凄まじい熱を発していた。輪は湯気を上げながらどろどろに熔けて、液状になって地面に滴り落ちた。
「俺の力では、通用せんか……」
了生は舌を打つ。力が解放された状態では、同じ手は通用しなかった。
宵月夜は、おぞましい咆哮(ほうこう)を放つ。声は、山中に、不気味に響き渡った。
まずい。宵月夜の妖力も危険だが、力を解放した宵月夜の気配を感じ取って、悪鬼(オニ)が集まってくるかもしれない。
榎は焦りに呑まれた。だが、痛みで体もろくに動かない今、どう対処していいのか、分からなかった。
「宵月夜さまぁ! 気をお確かに!」
妖怪たちを非難させて戻ってきた八咫(やた)が、主の変貌に衝撃を受け、慌てて滑空してきた。
八咫の接近に気付いた宵月夜は、激しく腕を振り乱し、襲い掛かった。
宵月夜の鋭い爪が、八咫の体を切り裂く。八咫は悲鳴をあげて、地面に落ちた。
そのまま、体をピクピクと痙攣させて、失神した。
「そんな……。八咫ちゃんが、八咫ちゃんが……」
「嘘だろ。宵月夜のやつ、仲間まで……」
「完璧に、我を忘れとる。敵も味方も、お構いなしや」
榎たちは愕然とした。今までの宵月夜なら、有り得なかった事態に、衝撃が大きかった。
萩を相手にするだけでも精一杯なのに、宵月夜にまで暴れられたら、榎たちには成す術もない。
「こんな、化け物(もん)ばっかり相手にして、うちらに勝機はあるんか!?」
「もう嫌! 無理よ。椿、家に帰る!」
二人が喚き、叫ぶ。完全に、パニック状態だ。
みんな傷付き、満足に戦える状態ではない。それ以前に、戦っても勝てる気がしない。
「この妖力! いいぞ、もっと暴れろ、本気を出せ! アタシを楽しませろ!」
最悪の展開に打ちひしがれている中、萩だけは最高潮に騒いでいた。暴走する宵月夜を、さらに挑発しようとする。強い妖怪と、戦うスリルを存分に味わっていた。
榎たちには、理解できない感性だ。
萩の声に反応して、宵月夜は激しく、唸り声を上げる。萩に襲い掛かろうと、体を動かし始めた。
だが、傷口のダメージは大きいらしく、動きは鈍い。
「宵月夜はん、落ち着くどす! あなたには、守らなあかん妖怪はんたちが、たくさんいるやろう!?」
周が、宵月夜の動きを止めようと、正面から体に抱きついた。宵月夜はもがき、周の背中を爪で引き裂く。周の服が破け、血が流れ出た。
周は悲鳴をあげた。だが、肩を震わせながらも必死で踏ん張って、宵月夜を押さえ込もうとしていた。
しばらく周を振り払おうとしていた宵月夜だが、次第に動きが収まり、大人しくなった。
がくりと膝を突き、周に向かって倒れこむ。その姿は、普段の少年のものに戻っていた。
「妖気が、鎮まった……」
周の想いが届いたのか。宵月夜は完全に沈黙した。周も脱力して、地面にへたりこむ。
その様子を見ていた萩が、不愉快そうに舌を打った。
「邪魔をしやがって! 反逆者め!」
憂さ晴らしといわんばかりに、萩の鎌が動けない周と宵月夜めがけて振り翳(かざ)される。
榎は反射的に間へと割り込み、鎌を剣で受けた。
何とか止められたが、凄い力だ。
榎の体中に穴を開けていた、大量の小さな傷口が、一気に開いた。腕の筋肉に力を入れた反動で、鮮血が飛沫になって、外へと飛び出す。
萩は口笛を吹いて、鎌を退いた。支えをなくし、榎は地面に倒れこむ。
「委員長は、反逆者なんかじゃない。……妖怪たちを、大切に想っているだけだ」
何とか上体を起こし、反論した。
萩は興味深そうに、榎を見下ろしていた。
「アタシの攻撃を受けて、まだ動き回れるのか。お前は少し骨がありそうだな、夏姫。名前だけ、聞いておいてやろう」
「水無月……榎……」
名乗ると、萩は再び、邪悪な笑み浮かべた。とても、楽しそうだ。
「腕を磨いておけ、榎。いずれ、アタシの鎌を弾き返せるくらいにな」
宵月夜が気を失い、戦意が萎えたのか。萩は変身を解き、気紛れな足取りで、去っていった。
姿が見えなくなると、圧迫されていた空間が正常に戻り、穏やかな雰囲気を取り戻した。
榎は体の力を抜き、地面に膝をついて、安堵の息を吐いた。
「みんな、大丈夫か?」
望まない戦いで傷付いた、仲間たちを気遣う。
「アホか、自分のほうが、重症やろうが! 無茶ばっかりしよって……」
柊に、怒られた。他人の心配をしている場合ではない、と。
だが、榎にとっては、榎自身の体より、みんなの容態が心配だ。
「傷を癒すわ。えのちゃん、じっとしていて」
椿が、震える手で癒しの笛を吹いてくれた。だが、椿自身が激しく疲弊しているため、回復の速度も遅く、効果が薄い。怪我人も多いし、今回ばかりは、完治までに時間が掛かりそうだった。
「まずは、椿の回復が先決だよ。その後は、委員長と宵月夜の傷に集中してあげて。重症だから」
「中で、手当てしましょう。薬は常備しとりますから」
了生が名乗りを挙げ、榎たちを寺の中へと、再び誘導してくれた。
中で、消毒液や絆創膏をもらい、応急処置をする。全身に及んでいるものの、傷自体は小さく浅いものだ。すぐに塞がるだろう。
蓄積した疲労も、一晩眠れば回復しそうだ。
了生に抱きかかえられて、宵月夜も連れ込まれた。本格的な止血を施され、畳の間に敷かれた布団に寝かされた。
周も、包帯を巻きつけた、失神した八咫を連れてきた。妖怪たちも心配だが、周の背中の傷は、榎たちより酷い。無理矢理引っ張りこんで、春姫の力で止血を行った。傷跡は残ったが、一先(ひとま)ずは大丈夫だ。
「私は、ほとんど返り血どすから、大丈夫どす。宵月夜はんを、お願いします……」
宵月夜は、夢現(ゆめうつつ)の狭間で魘(うな)されていた。少し、熱が出てきているのだろうか、汗をかき、顔が赤く、苦しそうだ。
椿は怪我を圧して、笛を吹いて宵月夜に治癒を施した。だが、いまいち、効果は見られなかった。
「宵月夜には、癒しの力が効かないみたいなの。やっぱり妖怪だから、かしら」
「妖怪の治癒力は、人間よりも遥かに大きいと聞きます。安静にして、様子を見るしかありません」
了生が氷水を持ってきて手拭を浸し、宵月夜の患部や額を冷やし始めた。
「すみません、俺の力では、手も足もでんかった……。陰陽師の戦いとは、かくも強大なものなんですね。修行不足でした」
了生は、役に立たなかった己の不甲斐なさを悔やむ。
「了生さんは、悪くないですよ。あたしたちにも、どうにもならなかった」
あのまま、宵月夜の暴走が収まらなかったら。萩の猛攻が止まらなかったら。
本当に、どうなっていただろう。想像するだけで、絶望的だ。
今回ばかりは、誰を責めるわけにもいかない。
全ては、偶然が重なった悲劇だ。
「さっきの方――秋姫様は、陰陽師としてかなり熟練した腕を持っておられます。やはり、ずいぶん早(はよ)うから覚醒して、力をつけておられたのでしょうね」
了生の憶測に、間違いはない。萩は紛れもなく、四季姫の中で一番、強かった。
「椿たちよりも、数段先輩なのね。……けど、陰陽師って、あんな風に、残忍に戦えるものなの? 冷酷に戦わなくては、強くなれないの? だったら、椿は……」
椿は怯える。何が言いたいか、よく分かる。
榎たちが甘すぎるのかもしれない。だけど、甘さを忘れて強さを追い求めて、萩みたいな行動が当たり前になってしまったら――。
残虐な行為を正当化し始めるくらいなら、強くならないほうがいい、今のままでいい。
そんな考えを持ってしまう。
陰陽師として、強くなるとは、どういう意味なのだろう。分かっていたつもりだったのに、分からなくなっていた。
部屋の空気が、重苦しく感じた。
「違うよ。きっと、ずっと独りで戦ってきたから、どういう戦い方をすればいいのか、分からないだけなんだ。きちんと話し合って、仲間として接していけば、いつかは理解してくれるはずだよ」
榎は気持ちを持ち直した。
榎は、苦しむ人を助けるために、妖怪と戦っている。その意思が、一番の原動力だ。力をつけて、強くなったって、その志だけは変わらない。
萩の残酷な戦い方にも、きっと、同様の目的を見出せるはずだ。
ちゃんとお互いを知って、分かり合えれば、きっと協力できる。
同じ、四季姫なのだから。
榎は、強く信じていた。
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