歪められた日本の歴史改竄を正す為に大東亜戦争時にタイムスリップした戦闘艦の物語

蒼焔の提督

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第16話:

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 小沢機動部隊がが突入開始する前日まで話は少し遡る……。

 ”雪風”艦橋上で富嶽はドローンから送られてくる映像を見ながら呟く。
「日本軍の攻撃が終われば討ち漏らしの敵を仕留めるぞ! 水素魚雷準備」
 富嶽の言葉に突然、誰かが中断する。
「艦長、もう止めませんか? これ以上、犠牲者を出さなくてもいいのではありませんか? 虐殺と一緒だと思います」
 富嶽が後を振り向くと第三分隊長の橋山秀志が困惑の表情で立っている。
 初めて会ったときから彼はおとなしくて争いごとが嫌いな青年だと富嶽はおもったのである
「……ふむ、橋山分隊長の言う事は分かるつもりだが……これは遊びでもないしゲームでもない。我らには失われたて改善された歴史を取り戻すという使命があるのだ」
 富嶽の言葉に橋山は首を横に振りながら否定する。
「いえ、ここ最近の艦長を見ていたらこの戦争を楽しんでいるに見えます、あのアメリカ艦載機七百機の大編隊でも顔色変えずにしかも楽しそうに命令していました! 彼らには家族もいたでしょうしこの時代に関係ない私達が必要以上に干渉するのは間違っています」
 橋山の言葉に富嶽は逆に彼に尋ねる。
「では、君はなにをどうすればいいのかな? 君の意見を言ってくれないか? 安い正義感で言う事は許さないぞ?」
 富嶽の問いに橋山は、これ以上戦闘に介入せずに何とかして天照様にお願いして元の世界に戻してくれとお願いする事が正しいと思う事を言うが富嶽は、話にならないと否定する。
 富嶽はこれ以上無駄な話をする暇がないと言うと橋山は黙って敬礼すると艦橋から出ていく。
 彼の行動に富嶽はまさかここまで来てこんな事態になるとは思わなかったが一応、彼の精神状態を確認すると共に悩みを解消するようなカウセリングを探すことにして第四分隊長の内田にそういうのに相応しい人物がいるかどうかを聞くことにする。
 そんな富嶽の行動をじっと黙って見守っていた東郷は静かに艦橋を出ると舌打ちする。
「あの橋山、何かするかもしれんな……。異分子は早めに処分しないといけないが他の乗員に悪影響を与えることは不味いから少し様子を見るか」
 その時の東郷の目は、冷酷で眼力だけで殺せそうな雰囲気を出していた。

 橋山が艦橋を出た日の深夜、士官室の一室内にて二人の男がひそひそ話をしていた。
 一人は第三分隊長の橋山である。
「もうこれ以上、艦長に付いていくことは出来ない! あの戦争マニアは基地外だ」
「確かにそうだ! しかし、どうするんだ? どうやってこの戦を止めるんだ、石垣?」
 石垣と呼ばれた人物は、暫く考えて武器庫を押さえて兵器を壊そうという。
「艦長に不満を持っているのは他にもいる! 砲雷科の殆どは疑問を持っている。俺達は自衛隊でも警察でもないんだ。一般民間人から選ばれたに過ぎん」
 石垣は決行は早めの方が良いと言う。
 その言葉に橋山はにやっと笑うと既に話はつけていていつでも行動できるという。
 俺の合図で砲雷科が魚雷管制室を制圧して魚雷を使用不能にする。
「恐らく俺達が蜂起すれば元自衛隊や警察や公務員以外の者は殆ど味方してくれる筈だ!」
 橋山の言葉に石垣は頷くと決行は艦長が攻撃命令を出した瞬間にやろうと決まりここでの密談は終了して成功を祈って二人はそれまで最終準備をする。

 だが、彼らは軍事関係の素人である故にこの反乱計画は落第点であった……。
 
 時間は進んで小沢機動部隊第一航空隊が戦果を上げて引き上げた頃、それをドローンで見ていた富嶽は残存米艦隊にトドメをさすためにCICルームに連絡する。
「水素魚雷を装填準備及びデータ入力開始せよ!」
 富嶽は、このまま彼らが取り残した”エンタープライズ”を初めとする巡洋艦と言った脅威になる艦を全て始末する事を決意する。
 この後、行われるであろうサイパン挟撃戦を少しでも日本有利とする為に……。
 富嶽の言葉が終わると同時に突然、爆発音がして艦が揺れる。
「何事だ!?」
 富嶽の言葉にCICから連絡が来る。
 連絡を送ってきた者も動揺しているのが感じられる。
「魚雷管制室にて爆発音! スプリンクラー装置、作動しません!」
 艦橋内にも設置されている自火報盤の主音響が鳴り響いていて艦内区画の全体図面に異常箇所を示す赤ランプが点滅している。
「魚雷管制室に救護室に食堂、第一番、第二番砲塔……! 破壊工作か、くそったれ」
 富嶽は被っていた帽子を床に投げつけると東郷に命令する。
「東郷、艦の治安回復部隊を総動員してCICルームと機関室に向かわせて死守するんだ! あそこが陥落しない限りまだまだ反撃は可能だ」
 冷静な表情で東郷は富嶽に既に向かわせていると同時にこの艦橋も大丈夫だと言う事を言う。
 富嶽の言う通り、現在の艦船の心臓部はCICルームでここで全ての機能を管理しているので現場の一つや二つが機能しなくても艦の運航には何の問題も無いのである。
「こちら機関室! 破壊工作員の姿は見当たらず。治安部隊到着にて安全確保」
「こちらCICルームも治安部隊到着にて安全確保! 及び各砲塔、魚雷管制室、食堂、救護室の電源を切り落として扉ロック完了!」
 富嶽は少しだけ安心したが肝心の事を聞くためにCICルームに質問する。
「人質は何人だ? それと工作員は誰の仕業で何名か?」
 富嶽の問いに東郷が代わりに答える。
 東郷の表情は、冷静だが怒りのマグマを押さえていると言った感じである。
「首謀者は、第三分隊長の橋山で反乱に参加した人数は総員二六名で全員が民間出身です。砲雷科一九名に航海科二名、救護科五名です。ちなみに女性は一人もいません」
 富嶽はその反乱に参加した武装は何を所持しているのかと聞くと東郷は薄笑いしながら武器を持っているのは魚雷管制室に籠もっている橋山以下二名と救護室に立て籠もっている一名が銃を持っているが他はナイフや包丁だとのこと。
「よし、強行突入で問題ないか、所で人質となっている者も分かるか?」
 富嶽の問いに東郷は勿論という表情で頷く。
 巻き込まれた隊員には何の罪もないし反乱者以外の犠牲者は一切出さないと富嶽は決めている。
「救護室に第四分隊長の内田以下三名の女性看護師、魚雷管制室に二名、食堂に四名、第一番砲塔に四名に第二番砲塔に五名の一八名です」
 東郷の言葉に杉本が叫んだ。
「内田さんが捕まっている? 怪我とかはしてないのか? 人質には」
 杉本の大声で東郷は少し驚くが恐らく軽い怪我はともかく命に関わる重傷者はいないと思いますと言うと少しは安全したようだが依然、落ち着かないようである。
「そうだったな、杉本は昔から内田さんの事、片思いというか好きだったからな、心配だろうね」
 富嶽の言葉に杉本は何も言わずに黙っている。
 代わりに富嶽は東郷に制圧は可能かと聞くと東郷は頷く。
 彼の作戦によると各部屋の天井にはエアコン等の空調機が備え付けられていて艦全体に配管が張り巡らされているので睡眠薬を流して眠らせるとの事。勿論、細かく正確にその区域のみなので他に漏れる心配はないし医療に使われているので何の心配も無いとの事を言う。
 東郷の説明に富嶽は頷いてGOサインを出す。
「杉本、心配することはないさ。これを切っ掛けにして彼女と話せば良いのでは?」
 富嶽の優しい言葉で杉本は笑みを浮かべて御礼を言う。

 反乱制圧の狼煙が上げられる。
 どのような結果になるのか?
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