TSUTAYAはなぜ倒産しないのか…レンタル事業衰退でも業績堅調のワケ

TSUTAYAはなぜ倒産しないのか
かつてのTSUTAYAの店舗(「Wikipedia」より)

 レンタル業界大手のTSUTAYAは、なぜ倒産しないのか、とネット上で話題になっている。確かにCDやDVDなどのソフトレンタル市場は苦境にある。定額制(サブスクリプション方式)の動画・音楽配信サービスが普及したことで、リアル店舗を訪れる客は激減している。

 レンタル事業を行うリアル店舗は続々と閉店しており、特に東日本でTSUTAYAの店舗を展開していたトップカルチャー社がレンタル事業から撤退すると発表した際には、「ついにTSUTAYAはレンタルをやめるのか」と誤解が広がった。

 一般社団法人 日本映像ソフト協会の「映像ソフト市場規模及びユーザー動向調査2022」によると、映像ソフト市場におけるレンタル市場の割合は、2007年の3604億円から2022年には572億円にまで84%も減少。

 TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)は、TSUTAYAのフランチャイズ本部として設立されたが、現在はほかにも蔦屋書店などのプラットフォーム事業、Tポイントなどのデータベースマーケティング事業を展開している。これまで主業だったはずのレンタル事業が右肩下がりの今、CCCは何が収益の柱になっているのだろうか。

 流通ジャーナリストの西川立一氏に話を聞いた。

――レンタル事業が右肩下がりのなかで、なぜTSUTAYAは倒産しないのでしょうか。

「TSUTAYAに限らずレンタル事業はリアル店舗が衰退し、今はサブスクがメインになっています。DVDやCDを宅配レンタルできるプランや、宅配レンタルに加えてネットでU-NEXTのサービスを利用できるプランなど、複数の定額サービスを提供しており、レンタル事業自体は続いています。

 また、蔦屋書店事業は年間1500億円ほどの売上があり、リアル店舗の事業はそちらに移行しています。もうひとつ、Tポイント事業がありますが、今はそれが収益の柱になっています。加盟店料や情報提供サービスでの売上がメインです」

――Tポイント事業は調子が良いのでしょうか。

「この事業に関しては、ソフトバンクと提携解消があったり、一部で加盟店が離れていくといったことはありますが、Tポイントは今春、三井住友フィナンシャルグループが展開するVポイントと統合するので、そこに活路を見いだしていくのではないかと思います」

――ポイント事業に関して国内ではdポイントや楽天ポイント、ポンタポイントなど競争が激しいなかですが、Tポイントが生き残る可能性は高いと思いますか。

「ポンタはauと連携しはじめたほか、三菱商事・ローソン・KDDIが資本業務提携するなど、大きな経済圏を作っています。ドコモや楽天、イオン、ソフトバンクも大きな経済圏の中でポイント事業を行っています。そんななかでTポイントはVポイントと統合することで、それらと伍する展開をすることができるかもしれません」

――CCCは地方公共団体の公共施設の運営受託などが話題に上ることも多いですが、それは収益を上げているのでしょうか。

「収益の柱になってはいませんが、赤字にはなっていないので、それなりに運営できているのだとは思います」

――CCC全体として、経営状況は良好だといえるのでしょうか。

「メイン事業となっているTポイントがVポイントと統合することによって、新たな活路がひらけたというのが現在地だといえるのではないでしょうか。これまでは加盟店にとって、CCCの情報提供サービスはコスパが良くないところがあり、離反を招いたりしていましたが、それが一段落するでしょう。たとえば、すき家などを展開するゼンショーも4月22日からVポイントを導入すると発表しています。三井住友のクレジット決済ができるというメリットが大きいと思います。Tポイントにもクレジット決済はありましたが、これまではあまり機能していませんでした」

 CCCは来年、創業40年を迎える。これまでのメイン事業だったレンタル事業が衰退していっても、Tポイントを中心に約100億円の経常利益を出しており、経営は安定しているといえる。社長も交代し、企業としても新たな局面に入ったといえる。

(文=Business Journal編集部、協力=西川立一/流通ジャーナリスト)