奥様同士の会話を聞いたことがありますでしょうか?
そこは、男性からすると、恐ろしく生々しい夫への不満・愚痴大会である場合があります。
自分の夫がいかに不完全な存在であり、至らない点があるのかをリアリティあふれる描写でこき下ろすことができます。
もしそれを聞いたなら、当事者である夫は強いショックを受けるか、怒りを感じるかもしれません。そんなに不満があるなら離婚したらどうか、と切り出す人もいそうです。
ですが、じつはそんな夫婦であっても、関係性が極めて良好で、そんな不満点など、まったく気にしていない、ということがありえるのです。
つまり、奥様からすると、愚痴や不満はほとんど呼吸をするかのように出てくるだけもの。だからこそ、問題解決に動いても意味がないのです。
そればかりか、愚痴が組織の生産性を40%も落としてしまったように、あなたの生産性も落としかねないのです。
この腐ったリンゴの実験には続きがあります。この続きが、私がこの実験で最も感銘を受けた点で、家族というチームを作るうえで、1つの希望ともいえる結果を示しました。
腐ったリンゴをビジネスチームに送り込み、ほとんどの組織で生産性の大幅な下落が起こった実験でしたが、まったく生産性を落とさないチームが出てくることがわかりました。
どのタイプを送り込んでも、生産性が落ちない。そういった組織の共通点を調べると、ある人物が浮かび上がってきました。ある特徴をもった人がメンバーの中にいると、腐ったリンゴを送り込んでも、生産性が落ちないのです。
それは、とても目立たない、一見すると見逃してしまいそうな特徴でした。
「ニコニコ話を聴きながら、それでもブレずに目標に向かう人」
これがその特徴です。
会議で反抗的な人がいても、ニコニコ話を聞きます。そして、「よくわかりました。それでは、どうしたら目標に届くでしょうか?」とブレずに目標に向かいます。決して戦うわけでもなく、相手を否定し返すでもなく、ニコニコと話を聞いて、目標に向かう。サボる人がいても、ニコニコとサボりたくなる気持ちには共感しつつ、それでもブレずに、どうやったら目標に到達するかを話し合います。愚痴る人がいても、ニコニコ話を聞き、じゃあどうしましょうか、とブレずに目標に向かいます。
この人がいるだけで、腐ったリンゴたちは、組織の生産性を落とすことができないのだそうです。
私はこの話を聞いて、衝撃を受けました。
言われてみれば、確かにそういう人はときどきいて、その人がいると、ギスギスした組織が1つにまとまっていくような印象を受けていました。そして、当時の私自身は、腐ったリンゴが組織にいると、なかなかうまくいかないため、どうしたらいいのか、頭を悩ませていました。
解決策が見えて、希望の光を見た気がしました。
再び、話を家庭のケースに戻しましょう。
つまり、奥様の愚痴の最強の対処法は、ニコニコ話を聞き、それでもブレずに目標に向かうことです。
奥さんが子供が通う小学校での問題をぐちぐちと話すようなら、ニコニコと話を聞きます。そのうえで、目標に立ち返ります。
子どもが小学校に通うのは、どういう目標なのか。ちゃんと勉強し、学力と社会性を身につけ、幸せに生きる力を身につけることならば、今の問題が、その目標から遠ざかっているのか、目標が達せられない大きな問題なのか確認をします。
そこまで大きな問題ではない、ということになるはずです。これを、ニコニコしながら確認できれば、最強です。
愚痴る人は、きっと不安なのです。
この小さな火種が大きくならないか、そのささやかな不安の芽を、小さいうちに誰かと共有したいのです。
ニコニコ話を聞いてくれる人がいると、安心するはずです。
目標に照らしたときに、今はまだ大きな問題ではないと確認できれば、大きな安心感が得られるはずです。
こう考えてみると、いかがですか。
「問題を解決しなければ」と考える男性脳から、「共感を示すだけでいい」という女性脳には一足飛びには行けない人も、「ニコニコ話を聞き、それでもブレずに目標に向かう」という指針は、男性脳としても目的が明確であり、とても取り組みやすい解決策なのではないでしょうか。