3つ目のポイントは「パーソナリティ」。これは性格的特徴や行動傾向性を指します。パーソナリティは、生まれつき備わっている性格や素質に加え、家族や生活環境、周囲との人間関係など、子どもから大人への成長過程で次第に形成されるものと考えられています。そのため、人によって考え方や行動に以下のような違いがあります。
「周囲に気を使う」⇔「周囲に惑わされずに行動する」
「物事をすぐに決めたい」⇔「決めるまでに慎重に行動する」
「計画好き」⇔「アドリブ好き」
「人と一緒にいたい」⇔「周囲に惑わされずに行動したい」
これらは、どちらかが「正しい・間違っている」ということはありません。しかし、自社の仕事や社風に「合う・合わない」はあると考えられます。たとえば、チームプレーを重視する会社なら「周囲に気を使う人」を採用すべきでしょう。逆に主体的に動くことを重視する会社なら「周囲に惑わされずに行動する人」を採用すべきです。
職種や仕事内容、社風によって、採用すべき人材のパーソナリティは異なります。自社が求める人材像を明確にしたうえで、それに合った性格的特徴や行動傾向性を持つ人を採用していけば、採用後のミスマッチや離職を防ぎやすくなります。
とはいえ面接のやりとりだけで応募者のパーソナリティを判断するのは、正直かなり難しいものがあります。求人情報の「求める人物像」などを参考にすれば、応募者は演じることもできてしまいます。パーソナリティの判定については、SPIなどの適性検査(パーソナリティ検査)も活用することをおすすめします(詳細は第17回参照)。
面接による主観的な判定の妥当性は2割未満と言われていますが、適性検査の妥当性は長期的には4割、その時点におけるものなら7割ぐらいの確率で出力できるとされています(長期的には、人は環境等によって変化していくので妥当性は下がります)。
いずれにしても比較的高い確率で応募者のパーソナリティを判定できると考えていいでしょう。適性検査も併用することによって、より自社に合った人材を採用しやすくなります。
自社にとっての「いい人」を採用するためには、面接における大事なポイントがもう1つあります。それは「応募者の話を聞く」だけでなく「自社についての話もする」こと。優秀な人材を獲得するためには、これは特に重要です。
応募者に対して「自己紹介」「志望動機」「長所・短所」「将来のキャリアビジョン」などを質問するのと同じように、採用担当者も「自社の紹介」「募集理由」「強み・課題」「中長期的な経営戦略」などを伝えるようにしましょう。
面接とは、企業と求職者がお互いについて情報交換をする場。企業が「いい人」を求めているように、求職者も「いい会社」を求めています。企業がより良い人材を選ぼうとしているのと同じように、求職者もより良い企業を選ぼうと考えています。
優秀な人材は、特にその傾向が強いです。彼ら・彼女らは、やりたいことが明確にあり、それができる環境を探しています。ましてや今は、あらゆる業界が人手不足。優秀な人材を欲しがっている企業はいくらでもあります。自社についての情報提供を行い、しっかりアピールしなければ、優秀な人材ほど寄ってきません。
自社の情報を伝えたうえで「いかがですか、応募されますか」と尋ねると「でしたら、ちょっと違いますね」と辞退する人もいるでしょう。しかし「ぜひやってみたいです」と入社意欲を高める人もいます。自社にとっての「いい人」は、当然後者です。
面接が1時間だったら「自社の話」と「応募者の話」は半々ぐらいが理想的。それぞれが30分ずつぐらい時間をかけて情報提供を行い、「合う・合わない」の判断をする。そうすることによって、自社にとっての「いい人」を見つけやすくなります。また、採用のミスマッチや離職を防ぐことにもつながります。ぜひ参考にしてみてください。
次回につづく