キャリアアップ、資格試験、公務員試験、TOEIC、リスキリングなどにおいて、予備校や専門学校に頼らず一人で勉強するのはうまくいかないものです。いわゆる「独学」が難しいといわれる理由は――人間の意志がそもそも弱いからです。ただし、人間の意志は弱いという事実を受け入れることで、独学の成功率を高めることができます。この本には、忙しい社会人でも実践できる、独学を成功させるためのノウハウが満載です!
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私は上司も部下もなく、比較的ストレスフリーな働き方をしているものの、金曜日はなんとなく土日の予定を考えながら過ごしています。土日も働くことになったら、お金をもらえるとしても、気は進みません。
何が楽しみで生きているかを考えたとき、「労働」や「勉強」と答える人はほとんどいないでしょう。一部の変人を除いて、休みの自由時間が楽しみだと答えると思います。
これは、資格試験に挑戦している期間にも当てはまります。資格試験に失敗してしまう多くの人が間違っている点として、「休みを重視しない」ことが挙げられます。
これまで、弁護士や同業の公認会計士など、多くの士業の方に会ってきました。ほとんどの人は、ごく普通の暮らしをしています。超人ではありません。私も含めて、月曜から金曜まで働き、土日に出かけたり休んだりして、リフレッシュを経てから業務に戻ります。
休みを取らずに機械のように動き続ける人はごく一部です。一部の天才を除き、普通の人がそのような働き方をしたら、心と体が疲れきってしまうことは目に見えています。よい成果を出すには、しっかり休むことが重要です。
受験勉強中も、これと変わりません。つまり、休まないと勉強効率が落ちるので、心と体をメンテナンスする日を作ったほうがよいのです。
繰り返しになりますが、挑戦を始める際には、余裕時間をすべて勉強にあてるのではなく、休みを必ず確保してから、勉強の計画を立てるべきです。
私の場合は、原則として日曜日を完全休養日にしていました。模試がある場合は土曜日を休みに振り替えたり、土日の両方で模試がある場合は、月曜日を休んだりするなど、柔軟に対応していました。
気をつけていたのは、週に1回のペースで必ず休養することです。仕事のない土曜日に勉強する場合も、1日中努力することは避けていました。18時ごろには机に向かうのをやめ、夜と日曜はゆっくり時間を過ごしていました。
それに加えて、勉強中も次のページの図のように、こまめに休憩を取っていました。30分ごとに目をつぶるなどの1~2分の小休憩、1時間ごとに5分のしっかりした休憩を入れて、メリハリをつけていました。
司法書士試験と公認会計士試験に働きながら2年連続で合格した人はとても珍しいかもしれません。ですが、私は特別な能力を持った人間ではありません。努力を継続する方法を確立できただけです。
合格できた秘訣は何かと考えると、「ペースを崩さなかったこと」がとても大きかったと感じています。
勉強していた約3年間に、スランプに陥って実力が伸びなかったり、疲れて勉強できなかったりする期間はほぼありませんでした。週に1日休むペースを最初から最後まで継続し、試験日まで走りきりました。
また、つらいと感じた時期もありません。働きながら通勤時間を中心にテキストを読み、帰宅までにほぼ勉強を終えていました。
私がペースを崩さずに勉強を続けられたのは、休みがあったからです。週に一度の休養を目指して、あるいは勉強中は30分ごとの小休憩を目指して、本気で頑張れたからでしょう。
楽しみがあれば苦しいときの支えになります。そこは絶対に動かさず、残りの時間にやるべきノルマを入れていくほうが、成功しやすいでしょう。