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合格したければ真似しろ――難関資格試験合格者の「教材の選び方」

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テキスト・問題集の選び方

合格者ブログで収集すべき情報は多岐にわたりますが、なかでも重視すべき内容を挙げていきます。

最初に調べたいことは、使うべきテキストや問題集です。何人かの体験記を読んでいると、合格者が共通して使用している定番のものがわかってきます。候補となるテキストを選んだら、実際に書店で手に取ってみましょう。
合格者が実際に使っていたもののうち、なるべく薄く、スムーズに読める本を選びましょう。テキストは一度決めたものを変更すると、お金もかかりますし、時間も余計にかかります。決めたものを本番まで使うことが望ましいので、慎重に検討したほうがよいでしょう。
テキストや問題集は合格に大きく影響します。時間をかけて集中し、しっかり比較検討しましょう。

私が司法書士試験を受験した際、最初の挑戦では合格者の評判のよかったテキストを選びました。勉強を始めてからひと月ほどで、読んでいて引っかかる部分が多くなり、なんとなく違和感を覚えるようになりました。テキストを買い直すお金と時間がもったいないと考えて、そのまま試験本番まで使用を続けたものの、違和感は解消されませんでした。結局、ほかにも要因はあったものの、そのときの挑戦は失敗しました。
二度目は、合格者の意見を鵜呑みにせず、自分により合いそうなテキストに変更したところ、すらすらと読めるようになり、学習効率が上がりました。二度目の試験は、少し余裕のある順位で合格できたので、ほかにも落ちる要因があったことは否定できませんが、少しの手間を惜しんだことで大きく損をしてしまったような気もします。
私のような失敗をしないためにも、テキスト選びは集中して、慎重に行いましょう。とはいえ、多くの合格者が推薦しており、自分にとって読みやすいものであれば、おおむね大丈夫だと思います。

なお、テキストは最新のものを購入することをおすすめします。
資格試験の前提となる法律やルールは、定期的に変更されます。科目によっては、毎年変更されるものもあります。たとえば、税法は「税制改正の大綱」が毎年末に公表され、必ず変更されます。
古いテキストや問題集はそれらの変更を反映できません。そのまま使用すると、努力して誤った知識を覚えてしまうことになりかねません。
過年度の書籍が安値でメルカリなどに出品されることもありますが、購入を検討する際は、内容の変更に注意しましょう。

その他、見習うポイント

続いて参考にすべきは、学習スケジュールです。
細かい人は、1日あたりの勉強時間、科目ごとに割り振った時間、模試の日程など、詳細なスケジュールを公表しています。
公表された学習記録は、それぞれが積み重ねた努力の結果であり、異なるスタート地点から、ゴールまでたどり着いた道のりの記録です。やり方は異なるものの、合格したという結果は変わりません。自分のモデルになりそうな合格者を見つけ、参考にしてスケジュールを組むとよいでしょう。
勉強を実行してみて無理がありそうなら、少しずつ自分に合うように修正して、続けられるオリジナルのスケジュールをつくり上げましょう。

もう一つ、参考にしたいのは、失敗したところです。
合格者は勉強を振り返ったとき、「もっとこうしたほうが効率的だった」という点に気づきます。いらぬ苦労をしないために、合格者が失敗したことをあらかじめ調べておきましょう。これは、いわば地雷を避けるためのプロセスです。独学の社会人受験生は、時間にも費用にも制約がありますので、避けられる失敗をしないようにあらかじめ備えておきましょう。

私の場合だと、すでに書きましたが、司法書士試験の直前にサボってしまったことが大きな失敗の一つです。ほんの少し我慢できなかったせいで、1年を棒に振ることになりました。ぜひ同じ失敗をしないよう、試験が終わるまで気を抜かないでください。

定期的に模試を受ける

これらの事前準備を整えたら、いよいよ勉強を開始しましょう。あとは、定期的に休みを入れつつ、続けることを最優先に努力を続けます。
勉強が進んできたら、定期的に模試を受けましょう。
独学者にとって、模試は客観的な実力を確認する絶好の機会です。結果が出たら、合格者のブログを再び調べましょう。人によっては、模試の成績を記録していることがあるためです。
自分と合格者の成長曲線を比較することで、実力が順調に伸びているかを確認することができるでしょう。

実力が予定どおりに伸びているか、または予定を上回っていれば問題ありません。
しばらくは勉強を続けることに注力し、成長が鈍らなければ本番までペースを保つことを心がけましょう。
目標を下回っている場合は、軌道修正が必要です。
勉強時間が足りない、集中できていない、特定の論点に対応できていない、など原因は様々です。

自分だけでの分析には限界があるので、その際も、過去の合格者の記録を参考にすると、ヒントを得られる可能性が高いでしょう。
合格者のつづった記録を羅針盤とし、孤独な独学の日々を乗り越えましょう。

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プロフィール

石動龍
石動龍

青森県八戸市在住。公認会計士、税理士、司法書士、行政書士。読売新聞社記者などを経て、働きながら独学で司法書士試験、公認会計士試験に合格。石動総合会計法務事務所代表。ドラゴンラーメン(八戸市)元店長、ワイン専門店vin+共同オーナー、十和田子ども食堂ボランティアとしても活動している。趣味はブラジリアン柔術(黒帯)と煮干しラーメンの研究。

著書

意志の力に頼らないすごい独学術

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石動龍 /
キャリアアップ、資格試験、公務員試験、TOEIC、リスキリングなどにおいて、予備...
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