4
件
ここは帝国海軍が誇る重巡洋艦「古鷹」のとある一室。
そして現在、ここでは主計科の長たる主計少佐が人生最大級の危機を迎えようとしていた。
すわ、緊急事態か、敵襲か。いいや、違う。「古鷹」主計長にとって目下最大の敵とは即ち──来週の、献立。
時は昭和初期。世界情勢が徐々に悪化していく中で、軍艦勤務の者も日に日に緊張感が高まっていた。
そんな海の男のご飯事情を支えているのが、軍艦の衣糧を担当する主計科所属の将兵たちだ。それはここ、重巡「古鷹」も例外ではない。
「主計看護が兵隊ならば、蝶々も蜻蛉も鳥の内」
などという嘲笑にもめげず、自分たちがいなければみんなの仕事が回らないという矜持を胸に、今日も主計科は独楽鼠のように駆け回る。
──これはそんな主計科の長として日々奮闘する、主計少佐のお話。
※時と場合によっては飯テロに分類される話ですので注意してください
※主計科とは経理を担当している部署です
※この物語は実在する帝国海軍の重巡「古鷹」とも史実の人物とも一切関係の無い話です。
※作中に登場する旧海軍に関するうんちく話についても「ふーん」程度に聞き流してください。
※ライト文芸大賞に出しています
参考資料
『海の男の艦隊料理─「海軍主計兵調理術教科書」復刻─』
『写真で見る海軍糧食史』
『海軍カレー伝説』
『海軍と酒』
『日本海軍がよくわかる辞典』
『海軍よもやま物語』
『物価の文化史辞典』
文字数 221,543
最終更新日 2020.06.19
登録日 2020.04.18
昭和六年、広島。季節は冬から春へ向かおうとしていた。
海軍大尉である瀧本は、密かに関係を持っている陸軍将校の尾坂の家で情事を買わした後の一服を楽しんでいる最中だ。思いを寄せる尾坂の寝顔をこっそり楽しみつつ貴重な一本を堪能していると、不意に目覚めた尾坂が寄ってきて瀧本の煙草を奪い……
※こちらは『海辺のハティに鳳仙花』の番外編となっております。詳しい噺はそちらにあります。
※キャラの喫煙描写があります。
※そのものズバリの描写はありませんが、事後表現とディープなキス表現があるのでR15で……
※pixivにも投稿しています。
文字数 11,058
最終更新日 2020.04.08
登録日 2020.04.08
───彼女が初めての恋を捧げた相手は、血の繋がった実の兄でした。
某伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢である芙三は、寒い冬の夜に夫と共に一計を案じて、とある陸軍の青年将校を誘い出すことに成功する。
その青年将校とは、かつて実家を飛び出して陸軍幼年学校に入校した生粋の陸軍エリートである男で、そして彼女の実の兄であった。
芙三の父が外で作った妾の子である兄は、外国の血を引いていたため灰色の瞳を持っている。そのため狭い華族社会では白い目で見られて陰口を叩かれていたのだ。
奸計を張り巡らせ、兄を華やかな社交界に引き摺り出すことに成功した芙三。いったい彼女は何を考えて兄を罠に嵌めたのだろうか……その真意とはいかに。
とある寒い日の夜のこと。少女の恋が、夢の内に眠っていく話。
※この話は大正~昭和五年を舞台にしているため、差別用語など現代では不適切な表現等が見受けられますが、作者にはそれらを称賛する意図はありません。あしからず。差別ダメ、ゼッタイ。
※読む人によって意味が変わる系の話です。どうぞ「最後まで」読んでください。
文字数 152,697
最終更新日 2020.03.02
登録日 2020.01.31
「さっさと降伏したらどうだ、海軍!」
「それはこっちの台詞だ、陸軍!」
大陸で戦禍の火種が燻る昭和六年八月、広島県呉港の近くにて。今宵も将来を約束されたエリート海軍大尉・瀧本零士と素行不良が原因で出世コースを外された陸軍大尉・尾坂仙が大喧嘩を繰り広げていた。周囲を呆れさせるほどの罵倒と殴り合いを続ける瀧本と尾坂だったが、しかしどういうわけか二人は喧嘩の最中に忽然と姿を消してしまうことでも有名だった。そんな彼らが乱闘現場から抜け出して向かう先は尾坂の下宿先。
実は喧嘩をしているその裏で、二人は密かに逢い引きを行っていたのだ。
瀧本が上陸するその日は、二人は尾坂の下宿先で激しい交接を行い夜を明かしていた。無論、これは誰にもバレてはいけない秘密である。
犬猿の仲で有名な二人が、態々危険を冒してまで逢い引きを繰り返す理由。それは名門華族の一族出身であり、恩賜組として輝かしい出世を約束されていたはずの尾坂が抱えた薄暗い過去に原因があり……
・殴る蹴る系の暴力描写があります。
・サブタイトルの後ろに「※」が付いているのがR18です。
・作中である登場人物が多数の人間から暴行を受けていたことを示唆する描写や自i傷i行為を行っていた描写がありますが、作者はそれらを称賛する意図はありません。
・また、舞台背景が1931年であるため、現代の価値観にそぐわない表現が散見されますが、作者にはそれらを肯定する意図もありません。
・受けが過去に多数の人間と関係を結んでいた描写や、攻めが女性と関係を持っていた事を匂わす描写があります。
・受けも攻めもどっちとも腹黒いです。ピュアな受けを求めている方はベッキ(後方)へお下がりください
・愛と憎しみだけはたっぷり込めました
※現在第二部を更新中
※2019年10月24日にタイトルを『鳳仙花』から今のに変えました。
※この話は2016年11月にpixivで公開した作品の加筆修正版になっております。
※ふじょっしーさんとムーンライトノベルズさんの所にも転載してあります。
文字数 437,113
最終更新日 2020.02.09
登録日 2019.10.21
4
件