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中学校で美術教師を勤めている色眼鏡現(いろめがね うつつ)は自分の犯した過ちに苦しみ続けている。
「僕、先生のことが好きです」
冷たい風の吹き抜ける屋上で、彼を呼び出した男子生徒は言った。
しかし、彼らは生徒と教師という関係にある。
現は、彼の思いに応えることができなかった。
翌日、男子生徒は二度と動くことのない冷たい体で発見された。
あの時、自分が気持ちに応えられていたら。そんな思いを引き摺りながらも教師を続ける現は、今年から担任を任せられる。
任せられたクラスで、一匹狼の優等生襟内煙(むねのうち けむり)と運命的な出会いを果たす。
現は煙に自らが自殺に追い込んでしまった男子生徒の面影を感じる。そして、彼の中に考えが浮かんだ。
「煙を愛することが、あいつを愛せなかった償いになるのではないか」
最低な教師と不器用な生徒の恋の物語。
文字数 25,054
最終更新日 2025.01.05
登録日 2024.12.24
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