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時は終末、世はゾンビ。地球は死に満ち溢れていた。
今や誰もが血に酔いしれる一大ゾンビ時代の中、終焉へと向かう歴史に抗う人々がいた。
彼の名は我猛心一。通称シンイチだ。
一人、また一人と仲間を失っていく中、気分転換に友人の男とドライブに出かけたシンイチは、そこで偶然にも残されていた希望を発見する。
それはふんわりとイチゴの香りが漂う、かわいらしいゾンビの女の子だった。
「ねえ、海に行こうよ!」
そんな彼女の言葉をきっかけに、シンイチは世界を変える旅へと出る。
果たしてシンイチはこのゾンビ時代に終止符を打つことができるのか?
そして無事に彼女を海に連れていくことはできるのか?
「いや、追い出せよ! ゾンビの女なんて!」
そんな友人の男もツッコミもどこ吹く風で今日もシンイチは世界の命運を変えるために戦うのだった。
衝撃の実話を基に予期せぬ恐怖に襲われるサバイバル・ヒューマンドラマが今始まる!
文字数 48,011
最終更新日 2024.06.29
登録日 2024.06.09
「そうだ」
薄暗いマンションの一室でカップラーメンを半ば食べ終えた頃、美しい容姿を持つ美青年の「たかし」は粉末スープの素を入れ忘れていた自分に気が付いた。
「さっさと死んじゃおう」
一度決めると後は早かった。財布とスマホを掴み、バスに飛び乗る。どうせ自分は死ぬのだ。片道の旅、荷物はいらない。
電車に揺られ数時間、バスから降りた彼は目的の定食屋の前に立っていた。亡き母を写した写真の背景に佇むくたびれた定食屋、ここで最後の食事をして、そして俺は死ぬのだ。
奇妙なギャラリーに囲まれて、やがて始まる最後の晩餐。微妙な味の料理を無理やり喉に詰め込んで、会計に向かった彼に告げられたのは無情な言葉だった。
「あんたのその電子マネーは使えないね」
──……これは後に史上最強の狩人と呼ばれた「たかし」の奇妙な最初の一歩である。
文字数 135,997
最終更新日 2023.11.28
登録日 2023.09.06
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