
キャッシュレス決済が一般的になり、現金を持ち歩かないという人は増えています。そんな中、学校の部活動に関わる集金はいまだ現金で行われることがほとんどで、突然の集金案内に慌てた経験を持つ保護者も多いものです。実は、部活動の「現金主義」に頭を悩ませているのは、学校側も同じだそう。
今回は、お金の流れをキャッシュレス化・見える化できるクラウド型の部活動管理システム「スクウる。」の営業責任者、株式会社PAY ROUTE 取締役 ペイメント事業本部長の和田 直樹氏に、部活動の集金や管理に関する課題や、「スクウる。」が提供するソリューション、今後の展望についてお聞きしました。
——高等学校において集金が行われるシチュエーションについて教えてください。
高等学校ではおもに、受験費用や授業料、部活動に関わる費用の部分で集金が行われています。受験費用や授業料に関しては、カード決済やキャッシュレス決済などでDX化が進む学校も増えています。一方、部活動の集金方法は旧態依然で、DXが進んでいない印象です。
——部活動に関する集金のDX化が遅々として進まない理由はなんでしょうか?
部活動は勝ち上がることで大会期間が長くなったり、地方遠征が発生したりと、臨時的な徴収が増えてしまいます。事前に出費の予測や計算が難しいことが、DX化が遅れる原因です。
また、集金は顧問や監督に一任されている場合が多く、学校側で一括管理できないことも原因のひとつです。
現在、部活動の集金のほとんどは、生徒経由で保護者に集金の案内が行き、また生徒経由で昔ながらの集金袋などを使用して集金が行われています。集金管理に関しても、手書きやエクセルでされていることが多いようですね。
「スクウる。」の開発やローンチも、実際に我々が学校という現場で悩みのタネを耳にしたことがきっかけになっています。ほとんど定額の受験費用や授業料の徴収は、管理やDX化が比較的容易だそうです。一方、部活動に関わる集金については、ただ集金をするだけのツールはいくつか存在しているものの、「管理」が可能なツールがほとんど存在しないとのことでした。
——部活動の集金に関するDXが遅れていることで、学校側はどのような課題を抱えているのか教えてください。
部活動におけるDX化が進まないことで、学校側には、
●部活動費用のブラックボックス化
●部活動管理が非効率になる
この2つの課題があると考えています。部活動からの収支報告は受けるものの、ほとんどが事後報告で中身を把握できていないという学校が多く存在します。これは先述の臨時的な徴収が多く発生し、事前の報告が難しいことに起因するものです。
部活動に関するお金がブラックボックス化することで、生徒会から部活動に出ているお金と保護者から徴収したお金に重複が発生する、顧問による不正請求や水増し請求が行われる、などの事態も発生しかねません。実際、顧問が部活動にかかるお金を横領したり、後援会から勝手にお金を徴収したりという事例もあります。
不祥事が明るみに出ると学校名が出てしまうにもかかわらず、重大なコンプライアンス違反につながる可能性がある事態を、学校が管理できないというのが1つ目の課題です。
2つ目の部活動管理の非効率さは、おもに人的なコストに対する課題です。DX化がなされていない場合、集金の案内や受け渡し、集金管理、収支報告書の作成など、集金に関わる一連の流れがすべて手作業で行われます。集金ひとつに、顧問の工数が大きく割かれてしまっているのです。紙ベースでのやりとりが多いと、金銭的なコストも大きくなります。