セガサミーがオンラインカジノ事業の開拓準備へ

日本の大手エンターテインメント企業であるセガサミーホールディングスが、アメリカ市場でのオンラインギャンブル事業（iGaming）への参入を計画しています。この新たな動きは、同社の事業ポートフォリオを多様化し、世界市場での競争力を高める狙いがあります。準備段階として、セガサミーはすでにアメリカのオンラインゲーミングサービス企業を複数買収しており、その足掛かりを着実に築いています。

本記事では、同社が買収した2社「GAN社」と「Stakelogic社」について詳しく見ていき、その背景や今後の展望について考察します。

オンラインギャンブル産業（iGaming）とは？

iGamingとは、インターネット技術を利用したオンラインギャンブルやゲームの全ての形態を指します。狭義では、電子手段を通じてゲームの結果に賭けることを指し、特に運に依存するゲーム（例：オンラインカジノやスポーツベッティング）が含まれます。広義では、カジノ、スポーツベッティング、宝くじ、ビンゴなどのさまざまなオンラインギャンブルを含む広大な産業を形成しています。iGamingには、運に基づくゲームとは対照的に、プレイヤーのスキルが結果に影響を与えるスキルゲーム（例：ポーカーやチェス）も含まれるかどうかについての意見の相違があります。

参考：What Is iGaming? | SOFTSWISS

GAN社の買収

セガサミーは、オンラインゲーミングプラットフォームを提供するGAN社を買収しました。この企業は、アメリカで急速に拡大しているオンラインギャンブル市場において、強力な基盤を築いています。特に、GAN社の技術力と既存のパートナーシップネットワークは、セガサミーがアメリカ市場で成功を収めるための重要な要素となるでしょう。

GAN社は、オンラインゲーミング市場において、エンドユーザーデータを統合的に管理するプレーヤーアカウントマネジメントシステム（PAM）や、オンラインカジノの中核となるリモートゲーミングサーバー（RGS）を提供する企業です。これらのソリューションを通じて、アメリカ市場でのオンラインゲーミング事業を成功に導いてきました。また、2021年には欧州および南米でオンラインギャンブルプラットフォーム「Coolbet」を開発・運営するVincent Group p.l.c.を買収し、オンラインカジノゲームを開発するブルガリアのSilverback Gamingも傘下に収めています。これにより、iGaming、スポーツベッティング、ソーシャルカジノゲーミング、そしてコンテンツ開発を統合的に提供できる、オンラインゲーミングプラットフォームプロバイダーとしての地位を確立しています。

セガサミーにとってGAN社の買収は、オンラインカジノ事業への参入を円滑に進めるための戦略的な一歩です。この買収により、セガサミーは以下の恩恵を受けると考えられます。既存の顧客基盤へのアクセス、オンラインカジノ事業の立ち上げに必要な技術インフラの獲得、そしてアメリカ市場における規制対応ノウハウの強化です。この買収は、セガサミーがアメリカ市場で独自のiGamingプラットフォームを展開し、さらなる成長を目指すための重要な土台となるでしょう。

Stakelogic社の買収

次にセガサミーが目をつけたのは、オンラインカジノ向けのゲームコンテンツを提供するStakelogic社です。このStakelogic社の買収は、セガサミーがオンラインカジノ事業で他社との差別化を図るための重要な一手と言えます。Stakelogic社は、革新的で高品質なオンラインスロットゲームを提供する企業として知られており、そのゲームは優れたグラフィックと魅力的なボーナス機能により、多くのプレイヤーから高い評価を得ています。さらに、同社はライブカジノ市場にも進出し、リアルタイムで楽しめるコンテンツを提供することで競争力を強化しています。