ヨドバシカメラでAirPods 4を視聴したところ、店員がAirPods 4を酷評して他社製品を勧められた、との投稿がX上で大きな話題となっている。「製品のマイナス面も教えてくれる店員は信頼できる」と評価する声がある一方で、「マージンを得られる他社製品を売るための営業活動」と冷ややかにみる向きもある。実際のところはどうなのか、元ヨドバシカメラ店員に話を聞いた。
9月21日、X上にこんな投稿があった。
「ヨドバシ仙台でAirPods 4を試聴させていただいたんだけど、ご対応いただいた店員さんが ・音が悪くなった ・何も良くなってない ・Appleはブランドだけで性能はイマイチ ・この値段なら他を買った方が良い とAirPods4を全否定してきて、非常に悲しかった。 Apple頼む。仙台にStoreは必要だよ」
AirPodsは、米アップルが開発・製造・販売するワイヤレスイヤフォン。その第4世代が9月20日に発売され、アップルファンをはじめとしてワイヤレスイヤフォンが好きな層から関心を集めている。アクティブノイズキャンセリングの機能が搭載されていないモデルで2万1800円(税込、以下同)、搭載モデルは2万9800円と高額だが、高精細な音質と、周囲の音を消す技術によって、臨場感のある音を再現できるとの触れ込みで、注目度は高い。
購入を検討している人にしてみれば、家電量販店などで使い勝手や音質を事前に確認したいところだろう。そのなかで、ヨドバシカメラを訪れた方が、店員からAirPods 4はあまり性能が良くないため、他社製品を勧められたというのだ。
この投稿を受けてX上では、「そんなに間違った事言ってないです。 あくまでiPhoneとの連携やデザイン嗜好で選ぶ製品」「ブランドや互換性の音質以外に付加価値を感じるならAppleで良いんだろうけど 音質をこだわるなら同価格の別メーカーの方が絶対に良い」と店員の発言を支持する声が上がった。
さらには、「めちゃくちゃいい店員じゃないか デメリットを話す売り手は良い人だぞ」「やっぱヨドバシちゃんと店員行き届いてるな客観的な事実を示した上で他の商品を提案してる 頭ごなしにAirPods4買ってくださいなんて接客は一番評価と信頼損なうのでね」「ヨドバシの店員のこういう忖度ナシな所が信用できるんだけどな」など、製品のデメリットも含めて丁寧に説明するヨドバシカメラの店員を、信頼できると評価する声が続出した。
一方で、元ヨドバシカメラ店員を名乗る方が「ヨドバシって○○のメーカーを○○台以上売ればインセンティブが会社に入るから○○を売るようにしてっていう指示される ちなこのインセンティブは社員には一切還元されん Apple製品は利益少ないから他社を売るようにしろって言われてた」との暴露もある。つまり、アップル製品を売っても利益が少ないから、他社製品を売るようにとの指示があるというのだ。
そこで、かつてヨドバシカメラの店舗で働いていた方に話を聞いた。
「確かに、Xに投稿されているような、特定のメーカーの製品を売るとインセンティブが入ることはありますが、だからといって嘘を言ってお客さんに売りつけることはないと思います。少なくとも私がいた店舗では、そのようなことはありませんでした。
ただ、来店される方は、まったく予備知識なしで製品を見に来られる場合もありますが、ものすごく細かく調べて、業界の専門家のような知識を持っている場合もあり、中途半端なことは言えないんです。ですから、しっかりと自分でも試してみて、正直な感想を伝えるというのが重要になります。
X上で話題になっている、AirPods 4を全否定した店員さんのコメントも、アップル製品を売りたくないのではなく、正直な感想を言っているだけだと思います。少なくとも、AirPodsの過去製品を知っている方の多くは、同じような意見を持っていると想像します」
ちなみに、Business Journal編集部は、ノジマとヤマダ電機でAirPods 4について店員に話を聞いたところ、いずれの店舗も「H2チップ搭載、シアターのような臨場感あふれるサウンド、超クリアな通話品質、ユーザーの耳に合わせてサウンドを調整可能、アクティブノイズキャンセリングを初搭載」といった、カタログに掲載されているような性能の説明があり、特に悪いところを挙げるわけではなかった。だが、ヤマダ電機に関しては、オーディオ専門メーカーのイヤフォンを勧められた。
最初からアップル製品を購入することを決めている場合は、アップルストアやネットでの購入し、第三者の客観的な意見を聞きたい場合にはヨドバシカメラで購入する、という選択がいいのかもしれない。
(文=Business Journal編集部)