3連休中日の9月15日、「志摩スペイン村に行ったら地獄だった」との投稿がSNS上で注目され、大きな話題になった。入園する前に大渋滞に巻き込まれ、園内でもあちこちで大行列ができ、なかには「チュロスを買うのに3時間待った」との情報もある。さらに、帰りには電車が止まり、帰宅難民も発生したという。なぜこれほどの混雑になったのか、志摩スペイン村に聞いた。
9月15日、X上に志摩スペイン村へ行った際の報告をあげている人がいた。最初は、最寄り駅の鵜方駅から志摩スペイン村への直通シャトルバスが全然来ない、という内容だった。それは志摩スペイン村へ向かう道路上で交通事故が起き、激しい渋滞が発生したためだという。バス停には大行列ができ、数時間待ちの状況との見込みから、一部の来園者は4km以上の道のりを歩いたようだ。
ようやくの思いで到着した来園者たちを待っていたのは、激しい混雑ぶりだった。多くのアトラクションで行列ができたほか、飲食店なども混雑し、食事はあきらめたとの声も多々ある。さらに。チュロスを買うだけでも最大3時間ほどの待ち時間だったという。
なぜこれほどの混雑となったのか。志摩スペイン村の広報に話を聞いた。
――15日は非常に激しい混雑だったとの報告がありますが、なぜこれほどの混雑となったのでしょうか。
広報担当者「公式発表は用意していないのですが、ポケモンコラボの終了を翌週に控え、駆け込みでいらしたお客さんが予想以上に多かったというところです。また、周辺道路で事故が発生したことで渋滞し、入園に時間がかかったとの状況も把握しております。シャトルバスを運行していますが、駅から志摩スペイン村までは1本道のため、渋滞すると動けなくなってしまいます」
――ポケモンとのコラボ効果が大きいとは思いますが、混雑状況は予想できなかったということでしょうか。
広報担当者「結果的に予測がはずれたという形ですが、3連休の中日ということもあり、多少の混雑は予測しておりました。しかし、通常9月は閑散期のため、これほどまでになるとは思いませんでした」
――事故渋滞は仕方ないところですが、チュロスを買うのにも3時間ほどかかったという声があります。バイトを増やすなどの対応はできなかったのでしょうか。
広報担当者「混雑は申し訳ありませんが、混雑したからといって急にスタッフを用意できるものではないので、どうしようもありませんでした」
志摩スペイン村では開業30周年記念企画第3弾として、『「ポケットモンスタースカーレット・バイオレット」ポケモン課外授業 in 志摩スペイン村』と題し、今年6月29日から9月23日までポケットモンスターとコラボしている。
ポケモンは、元はゲームだが、アニメ化されたほかカードゲームとなったことで世界中に人気が拡大。関連ゲームソフトの累計出荷本数は4億8000万本を超え、9言語に対応。カードゲームに関しては累計製造枚数648億枚以上、15言語で93の国と地域で販売されている。テレビアニメも192の国と地域で放送されており、世界中に熱狂的なファンがいる。
ポケモンのコラボイベントは、各地でさまざまな社会現象を生み出すほど、多くの人が集まる。たとえば、ポケモンのスマホゲーム「Pokemon GO」のイベントが世界各地で行われているが、今年5月30日~6月2日に仙台市で行われたイベントでは、3日間で少なくとも26万人のプレーヤーが参加したと発表された。2017年には横浜でのイベントに1週間で200万人が集結したとも報じられており、多くのファンを動員するパワーがあることを見せつけた。
そのような集客力のあるポケモンが、志摩スペイン村において、普段では想像できないほどの来園者を集めたのだ。志摩スペイン村のキャパシティを大幅に超える来園者により、大混雑を引き起こしたといえる。
ちなみに、来園者たちの帰宅時間に、近畿鉄道で分岐器の破損およびポイント故障が発生し、電車の運行が止まり、鵜方駅には人があふれたという。駅周辺には宿泊施設も多くはなく、帰宅難民も発生したとの報告もある。
道路で発生した事故渋滞や、電車設備の故障運休は不運としか言いようがないが、悪いことは重なるという典型的な事例となってしまった。
(文=Business Journal編集部)