東京ディズニーリゾート(R)の来園者が高齢化しているとして、一部で話題を呼んでいる。運営会社のオリエンタルランドが公表している「年代別来園者比率」によれば、40歳以上が占める比率は年々上昇し、2024年3月期には約3割に達しており、原因としてチケット料金の上昇も指摘されている。来場者の年代構成比率の変化の背景には何があるのか。また、若者層や子どもがいるファミリー層は東京ディズニーリゾートよりユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)のほうを好む傾向が出つつあるともいわれているが、実際にはどうなのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。
6月には約3200億円をかけて完成された新エリア「ファンタジースプリングス(FS)」(東京ディズニーシー)が開業するなど、話題が尽きない東京ディズニーR。東京ディズニーランドの開業から40年が経過した今も客足に衰えはみえず、オリエンタルランドの24年3月期決算は、売上高・純利益ともに過去最高を更新した。
そんな東京ディズニーRの来園者が高齢化しているとして、一部で話題を呼んでいる。オリエンタルランドが公表している「FACT BOOK 2024」の「年代別来園者比率」によれば、24年3月期は40歳以上が33.2%、18~39歳が41.0%、12~17歳が12.4%、4~11歳が13.4%。5年前の19年3月期と比較してみると、40歳以上は21.2%から12.0ポイント増となる一方、18~39歳は50.7%から9.7ポイント減となっている。12~17歳は0.5ポイント減でほぼ横ばい、4~11歳は1.8ポイント減。
この変化の原因は何であると考えられるのか。テーマパーク経営に詳しい明治大学経営学部兼任講師の中島恵氏はいう。
「大きな流れとして、少子高齢化という人口動態が反映されている点が大きいと考えられます。加えて、料金の高額化により若者層にとっては行くハードルが高くなった一方、『スタンバイパス』『ディズニー・プレミアアクセス(DPA)』といったアプリ機能を使えば長時間行列に並ばなくてもアトラクションに乗れるようになったことで、40代以上の人にとっては行くハードルが下がった点も要因でしょう。このほか、2年前に園内で撮影した動画をネット配信して収益を得る行為が禁止された影響がじわじわと出てきて、若者層がYouTubeなどで東京ディズニーRの魅力に触れる機会が減りつつあるという可能性も考えられます。
日本の人口動態を踏まえると東京ディズニーRの来園者は今後も40代以上が増えて子どもと若者が減っていくのは間違いないので、園内のアトラクションやショー、施設もそうした来園者の年代構成を意識したものに徐々に変化していくことになるでしょう」
来園者一人当たりの売上高は増加傾向にある。10年前と比較してみると、14年3月期には1万1075円だったのが、24年3月期は1万6644円と約1.5倍に上昇。要因は料金の値上がりだ。01年に5500円だった「1デーパスポート」の価格は年々値上がりし、21年3月に価格変動制が導入された時点で大人料金は休日が8700円、平日が8200円。21年10月1日からは7900円、8400円、8900円、9400円の4段階となり、昨年10月からはさらに9900円と1万900円が追加され6段階に。基本的に土曜日は1万900円となることが多い。
また、来園者一人当たりの商品販売収入および飲食販売収入も右肩上がりとなっている。
そんななか、若者層や子どもがいるファミリー層は東京ディズニーRよりUSJのほうを好む傾向が出ているという声もある。米テーマエンターテインメント協会(TEA)が発表した「2023年の世界のテーマパークの来園客数」によれば、USJは1600万人で世界3位、東京ディズニーランドは1510万人で4位、東京ディズニーシーは1240万人で7位。東京ディズニーR全体でみるとUSJよりも多い。