「建設業界は低賃金」というイメージも世間の誤解だと高木氏はいう。
「上下のレンジが広いとはいえ、国税庁『民間給与実態統計調査結果』によれば、建設業の平均給与は全産業平均より高くなっており、大手企業や、先ほど申し上げた2割の優良企業では管理職年収700万円レベルは一般的になってきます。そのため、現在では地銀や地方公務員、介護職からの転職も増えています。また、今では工業高校の求人倍率は10倍以上、高専は20倍以上と高い水準になっていますが、建設業界は技術と専門性が求められる世界なので、多くの工業高校・高専卒業者が大手の工事会社や優良企業に就職して、大卒者並みの給与を得ています。他方で、製造業では大手企業の正社員が半数を超えるのに対し、建設業は資本金1,000万円以下の小規模企業(家族経営の会社など)で勤務する人が就業者の4割もいます。この4割の人の給与水準が上がっていないことが課題です。また、業界努力で死傷労災件数もピーク時から9割近く減っています」(高木氏)
もっとも、転職を考える上では建設業に向いている人とそうではない人がいる点には留意したほうがよいという。
「理系社会・資格社会なので工業高校・高専・大学でエンジニアリングを勉強していたような人は歓迎される一方、普通科、文系大学卒の人はかなり勉強する必要があるでしょう。また、夏は暑く冬は寒い屋外での力作業が主になるのでハードな仕事であることは事実であり、体育会系文化が根強く、荒っぽいタイプの人も少なくないので、そうした人々と仲良くなれるメンタリティーも必要になってくるでしょう。そういう負けん気が強く、かつ専門性を持っていれば頑張るほど稼げる世界なので、夢がある業界だといえるでしょう」(高木氏)
(文=Business Journal編集部、協力=高木健次/クラフトバンク総研所長)