なお、借入の用途としては、事業性資金、野村證券取扱の募集・売出し有価証券の購入資金および野村SMA・野村SMA信託・野村ファンドラップ・ラップ信託、保険商品の契約資金は対象外となっている。
この「野村Webローン」もしくは類似の商品というのは、富裕層にとっては旨味が大きな商品なのか。また、一定の資産額を持つ富裕層ではないと、やるのは難しいのか。前出・佐々木氏はいう。
「野村Webローンを利用するメリットが大きい人は、なんらかの理由で株式を現金化できない・やりたくない人でしょう。例えば、企業の経営者などは自社の株を自由に動かせるわけではありません。どうしても現金が必要な時に有価証券を担保に現金を借り入れできます。
また野村Webローンでは『資産額いくら以上』という制限はありません。したがって、富裕層限定のサービスではありません。借入金の資金使途に細かい制限が少ないこともメリットです。金利も銀行のカードローンなどに比べれば、かなり低い水準です」
では、リスクも大きいのか。利用する場合の注意点は何か。
「野村Webローンのような証券担保ローンは、担保にしている有価証券の価格が下落した時に大きなリスクが発生します。証券担保ローンの借り入れ限度額は、担保としている有価証券の時価によって決まります。仮に有価証券の価格が下落(担保の価値が下落)した場合、担保有価証券を売却し借り入れ残高・利息の返済に充てられる場合があります。
さらにその売却代金が、借り入れ元本と利息の総額に満たない場合は、不足額を追加で支払う必要がある商品です。簡単に言うと、『担保の株や投資信託の時価が下落した場合、有価証券が強制売却され借入金の返済に充てられる場合がある。それで足りなければ、他の自己資金で返済しなくてはいけない』。このようなリスクがあります」
証券アナリストはいう。
「要は保有する株などをテコに現金を確保できるということ。ただ、もちろん返済義務はあるし利子も払わなければならない。借金であることに変わりはなく、担保の有価証券を失うリスクもあるので“やると儲けられる”という類いのものではない。どうしてもまとまった現金が必要な人以外は、利用する理由はないし、高額な資産を持つ富裕層であれば家をぽんと買うくらいのキャッシュは持っているだろう」
(文=Business Journal編集部、協力=佐々木悠/つばめ投資顧問アナリスト)