キャッシュレス決済が広く普及し、現金で買い物をすることはほとんどなくなったという人も多いだろう。クレジットカードをはじめ、交通系ICカードのほか、スマホ決済やプリペイド型カード決済など、さまざまな方式での決済が乱立しているが、大きな金額の買い物などの主流は、クレジットカードだろう。また、事業を営んでいる人も、決済の主な手段はクレジットカードなのではないだろうか。
デビットカードなどの即時決済型や、プリペイド型のカードを除き、多くは翌月以降の後払いだろう。この後払いは“信用取引”ともいわれ、カード会社等の企業に信用を得て、一時的に立て替え払いをしてもらい、後日、返済するという制度だ。そのため、信用を失くせば、当然のごとく取引を打ち切られることになる。
その信用の基準はカード会社によって異なるが、おおまかには「過去に遅延や滞納などの“事故”がないこと」「十分な資産や収入があること」といった、誠実さと返済能力が重要視される。誠実さは、毎回きちんと支払日に遅れずに支払うことで信用が積み重ねられ、カード会社は取引回数を重ねるほど、利用者の信用を高めていく。反対に、支払いを遅延するほど信用は落ちていくことになる。
そんななかで、“たった1回支払いを遅延しただけでカードの利用が停止された”との告発が注目を浴びている。
ネット上の掲示板に、「PayPayカードの支払いが1回遅れただけで利用停止になった」と書きこまれた。その書き込みによると、「8月27日が引き落とし日で、当日に入金したものの間に合わなかった」という。その後、コロナにかかったためカード会社からの電話に出られず、9月10日に振込したもののカード利用が停止されたとしている。
この告発に対し、「ほかのカードでは、たった1回の遅延で利用停止にはならない」「PayPayカードは他社より基準が厳しい」といった声が出ている。そこで、ファイナンシャルプランナーの新井智美氏に話を聞いた。
――PayPayカードの支払いが1回遅れただけで利用停止になったとの書き込みが話題になっています。ほかのカードでは、ここまで厳しい話はあまり聞かないように思えるのですが、いかがでしょうか。
新井氏「確かに引き落としが確認されなかった時点で、原則として利用できなくなるというルールを各カード会社は設けています。とはいえ、利用できるケースもあり、そのあたりは柔軟に対応してくれるケースが多く、今回のケースは厳しい処分かと考えます。
また、追って振り込んだとしても、その後2~3日は利用できないケースはあります。実際に、プラチナカードやブラックカードを利用している方が、メイン口座を変更した際にカード会社に届け出るのを忘れてしまい、引き落とし日後に振り込んだものの、その後2日間は利用できなかったという話を、当人から聞いたことがあります」
――たった一度の遅延で信用情報に傷がつくようなことはあるのでしょうか。たとえば、今後の与信で落とされる、もしくは現在保有している他のカードに影響が出る、など。
新井氏「基本的にこれまで滞納がなければ、1回の遅延で信用事故扱いにされることはありません。信用事故に該当する『延滞』は、支払いが2~3カ月遅れた場合です。その時点で初めて『異動情報』として登録されます。よって、一度の滞納ではほかのカードに影響が出るといった心配もないと考えます。ただし、カード会社にはその履歴が一生残りますので、同じカード会社でクレジットカードを作る際には注意されたほうがいいでしょう」
――一般的には、何回支払いが遅延したら利用停止、といった判断基準なのでしょうか。回数ではなく、引き落としに間に合わなくても、翌日にすぐ振り込むのであれば特に問題はないとの声もありますが、いかがでしょうか。