「副業元年」から早5年経ち、本業とは別に副業を持つ人も増えてきた。2018年、政府による「モデル就業規則」の改訂で副業・兼業に関する規定が新設され、副業解禁の流れが活発化するようになった。いまだに公務員は原則NGだったり、就業規則で禁じている企業もあるが、副業をする人は増加している。そんななか、副業で月収数十万円を稼ぐ猛者も現れているようだ。たとえば、少し前には、本業が月収40万円だが、副業で月収55万円を稼いでいるというSNS上での投稿が話題になっていた。
その投稿主の副業は、アパレル関係のネットショップで衣服を売るというもので、家族で協力しながら取り組んでいるとのこと。在庫管理と発送まで自分で行っているため、徹夜することも多くかなり苦労しているようだが、副業収入としては大成功といえる金額ではないだろうか。そこで今回は、ITアドバイザーでウェブコンサルタントの染谷昌利氏に副業の稼ぎ方、選び方について聞いた。
一口に副業といっても業種は多様なので、自分がどんな副業を始めるべきなのか、悩んでいる人も多いかもしれない。副業には大きく分けてネット系、投資系、労働系の3つがあるという。
「ネット系は、アフィリエイトやWebライティング、動画編集が代表的なところでしょう。アフィリエイトは自身のサイトやSNSを通じて商品を販売し、販売額の数割の金額を報酬として受け取る、成果報酬型の広告ビジネスになります。金銭的コストが低く、自身の発信力やPR力を活かして大きく稼げるので、初心者でも始めやすい副業でしょう。ですが、知名度を上げなければいけなかったり、ユーザーに対して商品の魅力を伝えられるようにするテクニック習得に時間がかかったりと、大きく稼げるまでのハードルも高め。なお一般的にアフィリエイトは企業と消費者を仲介する役割なので、実際に在庫や発送をするワケではありませんが、話題になった投稿主の方は、物販で仕入れから発送まで行っています。そこまでやると、もちろんさらに労力がかかりますが、軌道に乗ればより多くの収益を見込めるでしょう。
またWebライティングや動画編集も初心者のうちから始めやすい副業です。クラウドソーシングサイト(業務委託サービス)を通じて案件を受注し、仕事に取りかかることができるので、気軽に始めやすいのがポイント。ただし、実績がないうちは単価が安かったり、単純作業が多かったりと、モチベーションが続かない仕事になってしまう懸念があります」(染谷氏)
続いて投資系、労働系についてはどうか。
「投資系は、厳密には副業とは呼べないかもしれませんが、株式投資、不動産投資、FX、暗号資産など資産運用で収入を得る方法となります。ある程度初期の段階から稼ぎたいのであれば、一定以上の元金が必要になるため初期コストのハードルは高めですが、その分、相場の流れを読み取ることができればハイリターンも見込めます。しかし、相場の変動は流動的ですので、常に変動をチェックできる時間的な余裕と、そして大損することも珍しくないため折れない強靭なメンタルも必要かもしれません。
労働系は、時間の融通が利いて、隙間時間にも稼ぐことができるデリバリースタッフなどのアルバイトが、近年のホットな仕事として当てはまります。変わり種でいうと治験バイトもここに含まれるでしょう。メリットはズバリ、確実に報酬がもらえること。どれだけの時間をかければ、どの程度の金額が得られるかという目途が事前に立てやすいのはありがたいポイントでしょう。とはいえ、元金の用意も必要なくコストもかけずに報酬を得られるものの、ネット系や投資系と比べると大きな金額を稼ぐことが期待できません。労働した分の時間をそのまま収入として得るというシンプルな構造なので、将来的に多く稼げるようになるといった発展性がないともいえますね」(同)