「VBAを本でマスター→社員の残業がゼロに&年収増」なぜ現実に?

 さらに一般的な話ではありますが、人間が繰り返しの作業を行う場合、ヒューマンエラーをゼロにするというのは難しい話です。一方コンピューターであればミスもないわけですから、より業務の効率化を図れるといえるでしょう」(同)

 次に気になるのは、VBAを習得するにはどれくらいの時間が必要なのかということだ。

「これも一概には言いにくい部分なので、今回は私が授業を受け持っている近畿大学経済学部を例にご説明します。現在経済学部では1年生後期、2年生前期、2年生後期の1年半でExcelをマスターできるようにカリキュラムを設定しています。

 まず1年生後期にはExcelを体系的に学習して、Microsoftが行うMOS試験の合格を目指してもらいます。次に2年生前期には関数を中心に実務的な表を作るような学習。そして2年生の後期でようやくVBAについて学習してもらっています。

 大学の授業は1回90分を半期で15回行うので、Excel全体の授業時間で67.5時間、VBAの授業だけで22.5時間を費やしている計算です。ですから最低でもこれくらいの勉強時間は必要になってくるでしょう」(同)

 ではSNSで話題を集めているように、市販の本を購入して独学で習得するというのは可能なのか。

「もちろん個人差はあると思いますが、充分可能でしょう。独学でやる場合は、ご自身が読みやすいと感じた体系的な入門書を1冊仕上げることが大切です。またコンピューターに関する本なので、実際に操作しながら勉強するのがベスト。こちらもExcel初心者の方であれば、Excelの入門書を読破したうえでVBAの入門書を読むのが良いと思います。

 また社会人の方であれば、何かしらの業務でExcelを使う機会もあるでしょうから、職場の上司や先輩から教えてもらう機会などもあるかと思います。ですので会社内でヒントを得ながら、足りないものを参考書で補うというような学習方法であれば、効率良く学べるのではないでしょうか」(同)

 独学ではなくVBAを学べるスクールに通うことを検討する人もいるだろう。

「スクールに通う余裕がある場合、活用して損はないと思います。基本的な話ですが、勉強をしていればわかりにくい部分というのは出てくると思うので、その場その場で講師に直接聞けるのはとても効率の良い学習法です。唯一の懸念は授業料のコストがかかるということでしょうか。それ以外にはマイナス要因が浮かばないほど、スクールでの学習はおすすめです」(同)

VBAは習得して損がないプログラミング言語

 だが、プログラミング言語は移り変わりが早いともいわれる。せっかくVBAを学んでも、習得した頃には実用性がなくなっているということもあるかもしれない。

「プログラミング言語の移り変わりが早いというのは間違いありません。しかしVBAは一般的なプログラミング言語とは異なり、Excelに付属している機能なので、Excelがなくならない限り活用できる言語です。Excel自体が表計算アプリケーションとして非常に需要が高いので、VBAの需要はむしろ今後拡大していくのではないでしょうか。

 もちろんバージョンアップして体系的なコードが変わる可能性はありますが、それでも基本的な考え方は変わらないと思いますし、何らかの形では生き残っていくはずです。ですからVBAは今からでも学んでおいて損がないスキルといえるでしょう」(同)

 SNSで話題を呼んでいた“残業を激減させる機能”はVBAのマクロの記録というものだった。またVBA自体も今後需要が拡大していく可能性が高そうなので、繰り返し行う業務を効率化させたいという方は習得を検討してみてほしい。

(文=あかいあおい/A4studio)