
──はじめに、「peep」のおおまかな概要をご説明いただいてもよろしいでしょうか。
大石:peepは2017年12月から開始したノベル・マンガアプリで、現在では450万ダウンロードを突破しています。作品はすべてオリジナルであることが特徴で、自社アプリであるpeepのほか、「LINEマンガ」等の外部サービスにも配信しています。
──例えばpeepで掲載されている縦スクロールマンガの人気ジャンルを見ると、ホラーやサスペンスが上位を占めていて、異世界恋愛や転生ファンタジーが多い他サービスと比べるとかなり異色に感じます。なぜ、このような方向性になったのでしょうか。
大石:ピッコマさんやLINEマンガさんのようなサービスとpeepを比較すると、彼らが「プラットフォーム」なら、我々は「メディア」と言えるのではないかと思います。
彼らは出版社の持つコンテンツを流通させて売り上げを上げていくのが目的ですが、我々は自分たちのコンテンツしか流通させていないので、コンテンツを作る際には大前提として「peepを利用しているユーザーさんにいかに刺さるか?」を重視しています。そして、そういうメディアのカラーを決めるのは、たいてい最初に当たったヒット作の場合が多いんです。
──peepの場合は、それが大石さん自身が執筆されたホラー作品『監禁区域レベルX』だったわけですね。
大石:そうです。今でこそマンガのイメージで認知していただいていますが、もともと弊社では「チャットノベル」と呼ばれるコンテンツを扱っていました。最初にヒットした作品がチャットノベル版の『監禁区域レベルX』で、とある著名なゲーム実況者の方が紹介してくださったのをきっかけに多くの方に知っていただくようになりました。
だからこそ、これを楽しんでくれるような読者に向けた作品を生み出そう、となりホラーやサスペンスのような作品が人気になった経緯があります。
──大石さんが過去に書かれていたnoteを拝見すると、サービス黎明期に原宿で女子高生にiTunesカードを配ってインタビューを行ったそうですね。
大石:アプリのデモが完成した際に、ターゲットとなりうる10代の女性にヒアリングしていたんです。ごった返す休日の原宿で500円のiTunesカードを100枚ほど手に持って、原宿駅から渋谷駅までを練り歩き、「アプリのテストを行っています。500円のiTunesカードを渡すから、10分だけ時間をください」と声をかけて。その結果を反映しながら、作品を作っていきました。
──とても印象的だったのですが、今でも若い世代(Z世代)に向けてアプリやコンテンツを開発する姿勢は変わっていないのでしょうか。