
みなさんは、数字の約数に注目したことはありますか? おそらく多くの人はそういう経験がないと思うのですが、数字の約数に注目すると、面白いことがわかる場合があります。
例えば、みなさんが4人でコンビニに行って、お菓子を買ったとします(全員イートインとします)。そして4人のお会計が、それぞれ「330円」「726円」「1155円」「957円」だったと仮定しましょう。
このとき、この4つの数字を割ることのできる共通数=「公約数」は、なんでしょうか?
約数は、ある数を割りきることのできる整数のことです。18なら2や3や6や9、32なら2や8や16のことを指します。そして実は、例にあげた4つの数字は、すべて11の倍数になります。
「そんなの、わかりっこないよ」と思うかもしれないのですが、実はこれ、1つのカラクリがあります。消費税が10%かかるんです。10%の消費税がかかるということは、お会計の金額は1.1倍された後のものであり、つまりはほとんどの場合11の倍数になっているのです。
例外的に、1.1倍して小数が出る場合は切り捨てになるので、すべてが必ず11の倍数というわけではないのですが、それでも多くの場合、お店で買った商品の値段は11の倍数になっているわけです。
この話を知っていれば、みなさんがコンビニでバイトしたとして、11の倍数のお会計になっていなかったら「あれ? なんか計算間違っているかも?」と考えられますよね。
このように、消費税を考慮することはいろんな場面でビジネスの成功につながります。自分はある経営者の先輩から「9000円の商品は作ってはならない」と言われたことがあります。「なぜ?」と聞いたら、「1.1倍すると9900円で、すごく半端な数になってしまうから」だと言われました。
そのくらいの値段の商品を作るなら、9091円の方がいい、と。実際、9091円を1.1倍すると9091円×1.1(消費税)=10000.1円(端数切り捨てでちょうど1万円)になるわけですね。確かにこの方が計算が早くなって、事業計画も立てやすいように感じます。一方で、9900円で打ち出して、心理的に「1万円以下」として魅力的に映すという手段もあります。
結局のところ、価格設定は顧客ニーズに合わせる必要があるので、ケースバイケースにはなりますが、知っているか否かではビジネス戦略に大きな差が生まれます。