「3億円当選」宝くじ売り場に並ぶ人が知らない真実

数学的思考?
数学的思考を駆使する「頭のいい人」たちが見ている世界とは(写真:metamorworks/PIXTA)
「頭のいい人は、日常をどんなふうに見ているのか?」
 
同じ日常を送っていても、知識の深さや物の見方次第で、得られる発見や洞察は驚くほど変わります。頭のいい人は探求心を持ち、日常の中で目にする何気ない言葉にも「この定義は何だろう?」と疑問を抱きます。その疑問が新たな発見を生み、さらなる知識を獲得。その答えをつなぎ合わせることで、連続的な学びを得ています。こうしたプロセスを通じて、頭のいい人たちは脳内で〈学習の自動化〉を実現しているのです。
 
この記事では、東大生作家の西岡壱誠氏の最新刊『頭のいい人だけが知っている世界の見方』より、数学的思考を駆使する「頭のいい人」たちの独自の世界の捉え方について、詳しくご紹介します。
 

宝くじ売り場の大当たり続出は利用者が多いだけ?

「この宝くじ売り場はすごい! 3億円が3人も過去に出ました!」と聞いたら、みなさんはどう思うでしょうか? おそらく多くの人は、「すごいけど、本当かなあ」と半信半疑になるのではないかと思います。全国のいろんな場所に、こうした「当たる宝くじ売り場」はあるわけですが、確率は同じはずなのに「当たる宝くじ売り場」「当たりにくい宝くじ売り場」が出るのはとても不思議ですよね。でも頭のいい人は、こういった宝くじ売り場を見て、全く別のことを考えるのです。

まずそもそも、なぜ「当たる宝くじ売り場」「当たりにくい宝くじ売り場」が出るのでしょうか? その理由はシンプルで、当選する人の「割合」は変わらなくても、「利用者」が多ければ、当選する人の「数」も多くなるからです。

仮に、10万人が買うA売り場と、100万人が買うB売り場があるとしましょう。

10万分の1で当たるくじだと仮定すると、A売り場は1人くらい当たっている可能性が高く、B売り場は10人くらい当たっている可能性が高いですね。確率的にはとても当たり前の話です。が、「何人買ったか」を隠すと、話がややこしくなります。

「A売り場は、1人当たっています」「B売り場は、10人当たっています」と言われると、「え! B売り場ってそんなに当選しているの? B売り場って当たりやすいのかな?」と考えてしまいます。

これは、分数の勉強をしている人ならわかると思うのですが、同じ割合でも、分母が多くなれば、分子も多くなります。「SSRが当たる確率1%!」というガチャは、理論上、100回回せば1回、1000回回せば10回当たる可能性があります。

割合は一緒で「1%」ですが、片方は1回・片方が10回当たっているわけです。「当たっている宝くじ売り場」は、当たりの確率が大きいのではなく、「その宝くじ売り場で宝くじを買っている人が多い」というだけなのです。

さて、この話を聞いて「騙されないようにしよう!」と考えるのは大事なことかもしれませんが、もう一個重要なポイントがあります。それは、「じゃあこの宝くじ売り場は、なんでそんなに利用者が多いんだろう?」と考えることです。

もしかしたら、そういう「この宝くじ売り場は当たる!」という広告に釣られてやってくる人が多いのかもしれません。ですがそれと同時に、確実にその宝くじ売り場は、立地が良く、多くの人が利用する場所だと考えられます。

「当たる宝くじ売り場があるってことは、この場所って、利用者が多いんだな。ここでビジネスを始めたら、多くの人が利用してくれるかもしれない」なんて考えることができると、新たなビジネスチャンスにつながるかもしれません。例えばその地域にラーメン屋を出店したら人が集まるかもなどいろんなことを考えるきっかけになります。