あなたが自身のキャリアにおける「目指すべき姿」が明確になっていないなら、まずは市場価値を意識しておいても損はありません。「売れる人材」になるためではなく、自分自身が納得できる「人生の行き先」の選択肢を広げてくれるからです。言い換えるなら、あなたの「強み」をより磨く機会になるからです。
私は、前職のリクルートで、20年以上、求人メディア事業に携わってきました。数万人の求人に携わる中で、この「市場価値」の要素を分析すると、3つの要素で構成されることがわかりました。
「市場価値」=専門性×ニーズ×希少性
つまり、この3つの要素を掛け合わせることで、市場価値が高まるということでした。では、私の知る実例(仮称:田中さん)を紹介しましょう。
こう考えると、どうでしょう。もし、田中さんが、現在勤めているIT企業を退職しても、声がかかりそうだと思いませんか。それこそが「市場価値が高い状態」というわけです。「将来がわからない」なら、今の仕事を極めてみてください。
エンジニア出身でない田中さんもそうでした。市場価値を高めるべく勉強したのです。「MBAを取得する」「難関資格を受験する」といった特別なことをしたわけではありません。自分の仕事を極めることを念頭に、独学で勉強したくらい。
自分で勉強をして、求められるニーズに合わせ、希少性を高めたというわけです。「この先、どうなりたいのか」が見つからない場合は、ファーストステップとして、市場価値を高めるトライをしてみるといいでしょう。その結果、選択肢が広がり、本当にやりたいことが見えてきます。
先述した田中さんは、転職をせずに収入が倍になりました。会社員としての年収が700万円。採用コンサルとしての事業(副業)収入が700万円。そう、オンラインを活用した採用コンサルの副業を始めたのです。
きっかけは、知人から声がかかり、ある大手製造会社の採用プロジェクトメンバーにアサインされたことでした。田中さんのように、エンジニア採用に精通している人は少ないため、声がかかったというわけです。
ここで、大事なことをお伝えします。副業は、もはや特別な選択肢ではありません。専門性を持つ会社員をはじめ、フリーランスが登録するインターレイス社(ビズリーチを抱えるビジョナルグループ)の桑田良紀代表は、次のように語ってくれました。