「30代で年収が倍になった人たち」がまずやった事

30代から、どう働くか?お金、やりがい、自由――何もあきらめない人生戦略
「もうすこし年収を上げたい」という思いを抱えながらも、どうすればいいのかわからない30代がやるべきこととは?(写真:zak/PIXTA)
慣れないマネジメント、上がらない年収、次々と転職・独立していく友人や同僚たち……。仕事でもプライベートでも、悩みが尽きないのが令和の30代。
 
「もうすこし年収を上げたい」という思いを抱えながらも、どうすればいいのかわからない30代がやるべきこととは? 悩めるビジネスパーソン25万人に研修を提供してきた著者が、その解決法をまとめた1冊『30代から、どう働くか お金、やりがい、自由――何もあきらめない人生戦略』から、一部を抜粋・編集して紹介します。
 

「市場価値」を決める3要素

あなたが自身のキャリアにおける「目指すべき姿」が明確になっていないなら、まずは市場価値を意識しておいても損はありません。「売れる人材」になるためではなく、自分自身が納得できる「人生の行き先」の選択肢を広げてくれるからです。言い換えるなら、あなたの「強み」をより磨く機会になるからです。

私は、前職のリクルートで、20年以上、求人メディア事業に携わってきました。数万人の求人に携わる中で、この「市場価値」の要素を分析すると、3つの要素で構成されることがわかりました。

「市場価値」=専門性×ニーズ×希少性

つまり、この3つの要素を掛け合わせることで、市場価値が高まるということでした。では、私の知る実例(仮称:田中さん)を紹介しましょう。

【専門性】
まず、「専門性」。これは、“何のプロであるか”を指します。
田中さんは、ある大手IT企業の採用担当者をしている会社員です。
田中さんの専門性は、「エンジニア採用のプロ」となります。
 
【ニーズ】
DX化の波により、エンジニアの需要は高まっています。そのため採用に苦戦する企業も多く「エンジニアを採用したい」というニーズを持つ企業は多くあります。
 
【希少性】
田中さんの希少性は「エンジニアの要件定義」にも詳しいことです。
田中さんほど細かく理解している人事担当者は少ないのが現状です。
 

「将来がわからない」なら今の仕事を極める

こう考えると、どうでしょう。もし、田中さんが、現在勤めているIT企業を退職しても、声がかかりそうだと思いませんか。それこそが「市場価値が高い状態」というわけです。「将来がわからない」なら、今の仕事を極めてみてください。

エンジニア出身でない田中さんもそうでした。市場価値を高めるべく勉強したのです。「MBAを取得する」「難関資格を受験する」といった特別なことをしたわけではありません。自分の仕事を極めることを念頭に、独学で勉強したくらい。

自分で勉強をして、求められるニーズに合わせ、希少性を高めたというわけです。「この先、どうなりたいのか」が見つからない場合は、ファーストステップとして、市場価値を高めるトライをしてみるといいでしょう。その結果、選択肢が広がり、本当にやりたいことが見えてきます。

先述した田中さんは、転職をせずに収入が倍になりました。会社員としての年収が700万円。採用コンサルとしての事業(副業)収入が700万円。そう、オンラインを活用した採用コンサルの副業を始めたのです。

きっかけは、知人から声がかかり、ある大手製造会社の採用プロジェクトメンバーにアサインされたことでした。田中さんのように、エンジニア採用に精通している人は少ないため、声がかかったというわけです。

ここで、大事なことをお伝えします。副業は、もはや特別な選択肢ではありません。専門性を持つ会社員をはじめ、フリーランスが登録するインターレイス社(ビズリーチを抱えるビジョナルグループ)の桑田良紀代表は、次のように語ってくれました。