一般企業には、まったくといっていいほど意味の見出せない仕事も少なくない。難しい入学試験や入社試験を突破して一流企業に採用されたものの、何の意味があるのかわからない仕事に追われて虚しさを感じている人も多いはずだ。
だったら、そんな仕事は辞めたほうがいい。自分にとって居心地のいい場所を見つけて、人生を楽しんでほしい。かくいう私は、それを実践している一人だ。無意味だと思う仕事はしたくないし、実際、やらない。
それでは、私がしたいと思っている仕事とは何か。それはまず、人に必要とされている仕事である。働いたことで人に感謝されたいのだ。つまり、人に必要とされない仕事をしてまでお金を稼ぎたいと思ったことがないのである。
知人にもこんな人がいる。北海道の小さな町に移住し、私が発案した地方活性型のベーカリーブランド「小麦の奴隷」を運営しているのだが、家賃はなんと1万2000円だという。LCCを使えば東京と北海道は2万円程度で往復できるから、月に何度か行き来しても、東京の賃貸マンションで暮らすより安上がりだ。毎日、満員電車に耐え忍ぶ必要もない。
彼は店舗を全国的に展開し、それぞれの地を楽しみながら生きている。何しろ生活費の多くを占める家賃がたったの1万2000円なのだから、月に30~40万円も稼げば十分、豊かな暮らしができる。
私がオンラインサロンを運営しているのも、実は、必要とされる仕事をしたいと思ってのことだ。非常に楽しく働けるし、ミニマムな生活をすることで、生活の仕方や生き方がより自由になった。そんなことを発信していきたいと思っていたのだ。
これからの仕事選びは、このように、「人に必要とされ喜ばれているか」「自分自身が楽しい日々を送れているか」が目安になっていくべきだし、そうなっていくはずである。面倒な仕事、ルーティン的な仕事、誰にでもできる仕事はAIがやってくれるからだ。
AIに取って代わられる可能性があるのは、ホワイトカラーやエンジニアだけではない。AIの画像生成能力も劇的に上がっているのだ。
今後は広告クリエイティブの世界でも、その商品にふさわしいモデルを探すより、AIで理想的な人物像を生成したほうが合理的になっていく可能性が高い。AIならパターンを無限に作ることができるので、コストパフォーマンスもいい。
Kindleの「写真」カテゴリーの売れ筋ランキング上位に、AIによる写真集が入っていたこともある。
また、2023年に開催された「Sony World Photography Awards 2023」のクリエイティブ部門で最優秀賞を受賞した写真が、受賞後、出品者エルダグセン氏の開示により生成AIが作った画像であると判明した。
結局、同氏は賞を辞退したが、その際、「受賞作が生成AIによるものとわかった人、あるいは、せめて疑った人がどれくらい、いるだろうか?」
「私は生意気な猿として、主催側にAI画像を受け入れる準備があるかどうかを調べるために応募した。結果、準備はなかった」などと語ったという。意図的に問題提起をしたわけだ。
たしかに、写真に関しては、今後、プロとアマの境目は限りなく曖昧になっていくだろう。学校で教えているような撮影技術がなくても、AIを使えば、素人の下手な写真をプロ級のものに処理することができる。