ChatGPTで「問題解決力」を伸ばせる子の使い方

実際、プライバシー、判断の偏り、法的な問題、教育への影響(カンニングなど)など、AIを取り巻く倫理的な問題があるにせよ、生成AIが生徒の本質的なスキルの向上に役立つと考えている教師は少なくない。

これは、問題解決、批判的思考、創造性などで、こうしたスキルは数学、科学、英語などの教科で成功するために不可欠なものだ。そして、生成AIによってこうしたスキルを開拓・向上するには「どのように使うのがベストか」を教育現場で考え、実践していかなければならない。

これについて、カリフォルニア州で教える英語教師、キム・レプレは全米教育委員会に対して「これは生徒に電卓を渡すようなものです。TI85(高性能な関数電卓)を渡すのも1つの手ですが、こうしたツールの使い方を教えればさらに強力になります」と語っている。

例えば、ChatGPTを使って作文を書く生徒に対抗するために、レプレは、標準的な5段落作文の回答から、個人的な物語や批判的な推論を必要とするプロンプトに移行することを提案している。

「AIが作成した作文をパーソナライズし、不足している詳細を追加することで、リバースエンジニアリングするよう学生に指示することができます」とレプレは提案する。「生成された内容を、人間が書いた小論文と比較してどうなのかを議論することも可能です」。

中西部の私立K-12学校の学校長ジョニー・アレンは、「生徒に自分の作文の説明をするよう求めることで、生徒が自分で作ったかどうかを判断することができる」と語る。

彼女が言うには、生徒が調べ、精通しているトピックについて話すことは、AIに課題を完成させることとはまったく違う。教師はその違いをすぐに見分けることができるとしている。

AIが書いたか検出するアプリも登場

AIをめぐる倫理的問題への対処は、新しい技術も生み出している。学生がChatGPTを使って論文を書く行為が増える中、プリンストン大学の学生はAIを使って書かれた小論文かどうかを判定するアプリを開発した。
コンピューターサイエンスの学生エドゥアルド・ティアンが開発したアプリ「GPTZero」は、複雑さやランダム性といった要素を強調することでコピーを検出する仕組みだ。

このアプリの需要は非常に高く、公開当初はウェブサイトがクラッシュするほどだった。現時点で120万人がダウンロードしており、すでにシードラウンドで350万ドルを調達している。

冒頭の予測でも多くの仕事がAIに置き換えられると紹介したが、オンライン教育プラットフォームのedXも800人の経営幹部と従業員を対象とした調査を行っており、2025年には今日の労働力におけるほぼ半分のスキルは価値がなくなると見ている。だが、47%はこうした状況に備えられていない、と答えている。

スキルの置き換えが急ピッチで進むと見られる中、教育者たちは学生にこうした未来に備えさせる必要性に迫られている。学生たちは批判的思考や問題解決能力を維持しながら、生成AIをうまく活用するためのスキルや知識を蓄積していかなくてはならない。